為替ヘッジとは、オプション取引などのデリバティヴ(金融派生商品)を利用し、為替変動リスクに備えることを意味します。
貿易を行う企業が活用
貿易を行う企業は、為替相場の変動によって自社の利益が大きく変動してしまいます。自社にとってプラスのブレが生じるだけなら問題はないのですが、大幅なマイナス変動が生じると、資金繰りに困るといった事態も考えられます。
また、為替相場の変動という、企業が直接コントロールできない要因によって業績が大きく変動することは、企業の関係者(ステークホルダー)にとっても望ましくありません。
こうした事態を防ぐべく、貿易を活発に行っている企業では、為替ヘッジを行います。あらかじめ一定のレートで特定の通貨を売ったり買ったりする権利を買っておくことにより、為替レートの変動の影響を抑えることができます。
外貨建て債券などに投資する場合に行われることも
貿易企業のみならず、投資家も為替ヘッジを行う場合があります。
たとえば、高利回りの外貨建て債券に投資したいものの、為替変動リスクは押さえたい場合に、為替ヘッジを行います。
こうすることで、為替相場が有利に変動した場合には、為替ヘッジを行うコストが利益を減らしてしまうものの、為替相場が不利な方向に動いた場合でも、為替ヘッジを行っていたことにより、為替差損を回避する、あるいは為替差損の額を減らすことができます。為替ヘッジは、債券のみならず、不動産をはじめとする様々な外貨建て資産を購入する際に活用できます。
地域分散投資はしたいものの、為替変動リスクは負いたくない場合には、為替ヘッジを行いつつ海外資産に投資することができます。