ユーロ危機とは、2009年にギリシャで国家財政の粉飾決算が発覚したことをきっかけに、財政状態の悪いPIIGS諸国などに波及した債務危機のことです。
ギリシャ財政はその後も不安定
ギリシャの財政は、2009年に粉飾が発覚して以降、ECB(欧州中央銀行)やIMF(国際通貨基金)などからの支援を受けながら何とか継続しています。
しかし、財政支出の削減に対する国内の反発は根強く、いつまで支援を受け続けられるかは不透明です。というのも、ギリシャ国民の多くが公務員として働いていることから、財政支出が削減すれば生活に大きな支障が出る国民が多数いるからです。
ギリシャ国家としても国内の世論にある程度配慮しない限り、政権が倒れてしまうことが懸念されます。その結果として、ギリシャの方向性が定まらないとして、ヨーロッパ諸国などからはギリシャへの支援を打ち切るべきだとの意見も出されています。
周辺の財務状態が悪い国にも影響が及ぶ
ギリシャ財政が悪化したのに伴い、アイルランドやポルトガル、イタリア、スペインなど、ヨーロッパで財政状態があまりよくない国々でも、国債利回りが急騰するなどの悪影響が見られました。
そのため、EUの共通通貨であるユーロの名をとって、欧州債務危機がユーロ危機と呼ばれています。
実際、ヨーロッパ諸国の債務問題は、共通通貨ユーロの今後の扱いについての議論を起こすきっかけともなりました。安易にユーロ圏を拡大しすぎたために、財政規律を守れない国がユーロに含まれ、ユーロ自体の存続にも影響が出てきているといえます。