赤字国債とは国の予算を実行するときに税収だけでは不足した分を資金調達のために発行する国債のことをいいます。
通常の資金調達のために発行される国債は普通国債と呼ばれ建設国債など特定のインフラ整備のために発行される国債はこの普通国債に含まれることになります。
この赤字国債は21世紀になってから急激に膨れ上がり、すでにこの国の国債発行額は1100兆円を上回る状況にまで膨れあがっており、すでにGDPの2倍を上回る金額で、ほとんど返済のめどが立たない状況ですが、日銀による国債購入などにより異常とも思える低金利政策を実現していることから破綻とまぬがれる状況が続いています。
また日本国債は発行額の実に9割以上が国内の投資家により保有されており、機関投資家なども多いことから他国のように海外の投資筋から売り浴びせを受けて価格が下落し金利が跳ね上がるといった危機的状況をまぬがれているのも他国とは異なるものとなっています。
発行国債の3割以上を日銀が買い集めて保有するという異常事態
2013年の4月以降日銀は大幅な金融緩和に乗り出し国債の買い付けを行ってきていますが、その額はすでに300兆円を超えるレベルにまで膨れ上がっており、先進諸国と比べてもその額はかなり大きなもにになりつつあります。
この先日銀はさらに国債を買い進めることを新たな柱とする金融政策を打ち出していますが、そもそも国が返済しきれない発行国債を日銀が大量に買いつけ保有し続けるということ自体かなり不健全な状況であり、しかも2016年の9月からは短期国債と長期国債の買い付けバランスを変更することで日銀た主体的に国債金利をコントロールすると表明したことから、これが現実にできるのかどうか大きな議論の対象となってきています。
発行規模から言えばギリシャより断然高いリスク
日本の赤字国債発行状況はギリシャのデフォルトをかけた危機的状況の比ではないぐらい危険な状況に至っていますが、金利が上昇さえしなければ、このままの状態を継続することは可能になっています。
ただし、この莫大な赤字国債は国内で金利の上昇を止められなくなったときに本邦の金融機関が一斉に国債を売却することでその危機的状況が加速する可能性が高く、実はリスクは海外の投機筋ではなく本邦の金融機関の売りがもっとも大きなものといえるのです。
アベノミクスが始まってからの3年は赤字国債の発行額も一段と増えており、いわゆる金融抑圧でまったく支出を抑制しないままに大きな政府予算を履行する状況が続いていることから、どこでこうした動きに決定的な問題を生じることになるのかが非常に危惧される状況です。