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アジア通貨危機

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現在も、そして今後も「世界で最も高い経済成長率を記録し続ける」と見られているアジア地域。

中でも中国の躍進は目覚ましく、日本と並んでアジア地域経済をリードする存在となっています。

ただ、安定して成長を続けていた日中の経済にかげりが見え始め、圧倒的な存在感を示す2カ国の景気の弱さが今後も継続するなら「アジア地域全体の経済を圧迫しかねない」というリスクも抱えています。

そんなアジアにも通貨危機が訪れたことがあります。1997年7月、タイ・バーツの暴落を発端に始まり、その後アジア通貨全体の下落に繋がった現象を「アジア通貨危機」といいます。

アメリカドルと連動した通貨レート

1980年代の後半から、輸出産業で高成長を続けていた東南アジア・東アジア各国は「世界の経済成長センター」と呼ばれていました。

当時のアジア諸国は、自国の為替レートをアメリカドルと連動させる「ドルペッグ制」を採用していました。当初、ドル安で推移していた際はその恩恵を享受していたのですが、長期にわたるドル安を看過できなくなった「アメリカが突然ドル高政策へと転換」します。

すると、連動してこれらの国々の通貨も上昇。通貨高による輸出の鈍化で経済状況が悪化し、貨幣価値と経済状況に大きな乖離が見られるようになっていったのです。

ヘッジファンンドは見逃さない

実体経済と貨幣価値の乖離はヘッジファンドの大好物。「アジア通貨は高すぎる」ということに目を付けた「ヘッジファンド」は、タイバーツを皮切りにアジア地域の通貨に対して大量の売り浴びせを行いました。
自国通貨買いに苦戦したアジア各国は、売り圧力に抵抗できず為替レートは急激に低下。経済は危機的状況に追い込まれました。

1997年5月に始まったアジア各国の為替レートの急激な下げは、その後約半年間続き、インドネシアの通貨ルピーの80%を筆頭にして、タイバーツは56%、韓国ウォンは55%と大幅に下落することになったのです。

これをきっかけとして、タイの中央銀行は7月2日に「ドルペッグ制」を廃止し、現在の変動相場制に移行しました。この流れは近隣国にも伝播し、フィリピン、インドネシア、マレーシアも変動相場制に移行することになりました。

さらには、新興国全般にも影響を及ぼし、ロシア、メキシコ、アルゼンチン、ブラジルの通貨も大きく下落することになりました。

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