「直近」とは文字通り「すぐ近く」ということですが、この概念はトレーダーによって異なっています。例えば数本前のローソク足の高値・安値を指したり、時間足や日足の高値・安値を指したりといった感じです。ただ一般的には「前日における高値・安値」を指すケースが多いようです。
この直近高値・直近安値を使ったトレード方法を以下で説明いたします。
ストップロスライン(損切りライン)の設定に用いる。
出典:http://www.fxciao.com/fx-trade/trade-technic/2136/
上図を用いて説明致します。赤丸部分では円安トレンドからいったんもみ合いの状態になったあと急激な円安にシフトしています。ローソク足をよく見てみると下ヒゲの長い陽線(下影陽線といいます)が現れてから一気に円安へシフトしていますね。
そのまま円安トレンドが進行すると判断し、買い注文を入れたという例です。その場合にストップロスライン(損切りライン)を底と思われる部分に置いています。
青丸部分の例では円高トレンドが進行する中でローソク足が短くなり、円高に振れるか様子を見てそのまま一気に円安に振れている状況なので、売り注文を入れて天井部分をストップロスラインとしています。
チャートが反転しているという事は売りから買い、または買いから売りへ逆転した地点ですから、それだけ多くのエネルギーが動いた地点です。
今までの流れを覆す程多くの注文があったと予想できます。つまり、単純に注文が集中したと考える事ができ、この多くの注文があったと考えられる地点付近には多くの損切り注文があると考えられます。
従って、そのラインを抜けると一気に値が動く可能性があり危険なので、そのラインをストップロスラインとするのが基本といわれています。
上昇トレンドか下降トレンドの判断材料に用いる。
出典:http://fxeita.com/wp-content/uploads/2011/11/20111127eurusd4h0.jpg
上図を例に説明します。直近高値・直近安値にラインを引いています。そうすると、高値ライン3本とも時の経過とともに下落しています。同様に安値ライン3本とも時の経過とともに下落しています。これを見ただけでも長期的には売りを入れるほうが望ましいということがわかります。
出典:http://fxeita.com/wp-content/uploads/2011/11/20111127eurusd4h.jpg
同じように直近の円高ライン、直近の円安ラインを引いたものです。
緑の2本のラインで挟まれた部分、紫の2本のラインで挟まれた部分、水色の2本のラインで挟まれた部分はいずれも価格が一定の範囲でもみあいになっており、売買の攻防が行われています。
その間はしばらく様子を見るのが得策です。安値のラインを抜けたあとしばらくは安値トレンドを維持しています。もみあいの状態はいずれ収束し高値ラインを突き抜けるか安値ラインを抜けます。
上記の3つの組合せはいずれも安値ラインを抜ける形になっています。その段階で売りを入れて念の為に高値ラインでロスカットラインを置くのが得策です。
現実的な投資判断は直近高値・直近安値だけで判断しない。
直近高値、直近安値の位置を把握するだけでも上昇トレンド、下降トレンドなのか判断することができ、ポジションを入れるかどうか意思決定に役立ちます。
しかし実際には直近高値・直近安値の位置関係を把握するだけでなく、ローソク足の動向にも目を向けることによってさらに根拠づけた投資の意思決定を身に着けることができます。最初のほうで上影陽線という表現を用いましたが、「ローソク足の形を随時チェック」することも重要です。
ローソク足1本見るだけでもその日の高値・安値だけでなく始値や終値までわかります。上図においていずれも安値ラインを抜けたあとのチャートを見ていくと、上ヒゲが安値ラインを上回ることがなく下落しています。その場合は、しばらくは下落トレンドが継続すると判断してもよいでしょう。
100%確実にそうなりますとは断言することはできませんが、より高い確率で運用益を得るためには自分の投資判断に根拠がほしいわけです。
その他にも、諸外国の経済情勢にも目を向けることが必要です。つい最近あったイギリスのEU脱退の可否を国民投票で問うた結果、大方の予想に反してEU脱退派が過半数を占めるということになりました。
それを受けて日本を含めた諸外国の為替レートの変動が乱高下したのが好例です。トレーダーの中には大損した人がいる一方で大勝した人もいるわけです。
こういったことを知るのも投資判断に影響をあたえるのです。これを読んでいただいている皆さんに、すこしでもお役立ちいただけるなら幸いです。