ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)とはボラティリティを表すテクニカル指標のことをいいます。
このATRが高くなっているということはボラティリティが高いことを示していますし、逆に下降局面にあるときにはボラティリティは低くなっているといえます。
このATRはリスク管理上チェックするという使い方もありますが、逆にこれを売買に利用する動きも見られるのです。
ATRの考え方について
アベレージ・トゥルー・レンジというのは日本語で言えば真の変動幅という意味になります。
たとえばドル円で始値が107円で高値が107円50銭、安値が106円80銭となる場合、当日だけの値動きは70銭幅となります。
しかし、前日の始まり値が106円で終値が106円70銭であった場合、前日の終値から30銭上昇して始まっているわけですからその変動幅も含めて全体の変動というものを考える必要があるとしているのが、この真の変動幅というものです。
為替の場合には月曜日から金曜の夜(日本では土曜日の早朝)までエンドレスで市場が動いているのでギャップというのは週末しか物理的には表れませんが、東京市場ということで考えれば常にこうした真の幅というものがでてくることになるわけです。
ATRの計算方法
ATRの計算方法は以下のようなものになります。
図参照
このATRが高水準ですいしているということは、相場が天井圏か底値圏に到達しつつあることを示唆していることになります。
また低水準で推移するというおとはレンジ相場が継続する可能性を示唆しているわけです。
このATRの数値は、日足チャートであらば1日の本当の動きを表すことになりますし1分足のチャートであれば1分間の本当の値動きといったものが把握できることになるのです。
通常はATRは14の設定チャートが多く、これが日足であれば14日間の平均数値、また1分足なら14分間の平均数値ということになります。また数値の単位は0.01なら1銭、0.1なら10銭ということになります。
このように具体的な数値でボラティリティがわかるわけですから一定のボラティリティがでてきたらスキャルピングを行うといったようにエントリーのタイミングを見計らう上でも利用価値の高いものとなります。
またATRから考えて損切りの幅を計算することも可能となります。通常はエントリータイミング時におけるATRのほぼ2倍から3倍をストップロスの幅として活用するのが一般的となります。
ボラティリティの少ない場合には当然ストップロスの幅も狭くなりますが、大きく動く時にはそれにあわせて多少幅広くストップロスをおくといったように使っていくことができるわけです。
ボラティリティを知るためにはボリンジャーバンドの幅をチェックするとか、ローソク足や平気足の大きさとヒゲの頻度チェックする、さらにMACDが0ラインに近く水平状態になっているなどのいくつかのテクニカル指標が存在しますが、このATRの数値による指標がある意味でもっとも正確なものということができます。