エリオット波動はダウ理論でお馴染みのチャールズ・ダウよりも遅れて登場した株式アナリストのラルフ・ネルソン・エリオットにより開発された波動論です。
このエリオット氏は1871年生まれですから正に明治維新直後に生まれた人物で、第二次世界大戦終結直後の1947年に他界していますが、1960年代に入って急激にその評価が進み、今も先進的にな分析手法としてエリオット波動論が展開されています。
最近では株のみならず為替にもこの波動論が多く展開されるようになってきており、大変な注目を浴びるようになってきています。
エリオット波動は上昇5波、下降3波のサイクルが存在
エリオット波動に上昇5波、下降3波が存在するというのは、エリオット波動に詳しくないトレーダーでもよく知っている話ですが、問題はこの波動の見分け方にあります。
順番としては、上昇相場の場合、上げ→下げ→上げ→下げ→上げという順番で連続した波動から生成されるとされており、下降局面では、下げ→上げ→下げという流れをとって上昇5波、下降3波を完結させることになります。
ただ、エリオット波動論には例外規定も多く、1つのフォーマットをきれいに達成すればそれがエリオット波動というほど単純ではないところが実に悩ましい世界になるのです。
特にこの上昇と下降の局面のカウントを間違え始めるととんでもないところに帰結点がやってきてしまうことになるため、その判断はきわめて難しく、基本の枠組みだけ知っている素人では正誤の判断さえつかない難しさが存在することになります。
後から言われてみればそうだったのかと納得する情報もありますが、そのプロセスの途上と思われる段階で、現在相場がどこにいるのかを明確にするのは非常に難しいといわざるを得ません。
したがって、エリオット波動のアウトラインを知ることとそれを自分でしっかりと利用して判断していくことにはかなりのギャップが存在することだけは事前に理解しておくべきものといえます。
エリオット波動の基本原則
エリオット波動論の上昇5波については以下のような特徴が認められることになります。
このうち絶対的に表れる原則としては、第1波、3波、5波の上昇のうちで第3波が一番短くなることは絶対ないということです。また第1波の上昇を完全に打ち消すほど第2波は下落しないことも1つの特徴とされています。
さらに第4波の下落があった場合に、最初の波動である第1波の頂点を下回るほど下押しすることはないということも規定されています。したがってこうした条件が崩れるとそもそもの波動サイクルではないと断定できるようになるのです。
したがって上昇した動きが逆走してすっかり下押しになったりもっとも伸びる第3波が短いものに終わった時点でエリオット波動が始まっているとはいえなくなることはこれで理解することができるのです。
そもそもエリオット波動論は、1929年の世界大恐慌のタイミングや直近ではすでに30年近く前になりますが1987年のブラックマンデー大暴落を見事に的中させ市場の注目を浴びる契機になっているため、プラスの方向を当てることよりも下落の方向に人々の関心が集まりやすい理論であると言えます。
1つには上昇局面は既に過去のものとなってい実証されているため、下降部分を占うほうがより精度が高いせいもあるのだろうと思います。
何より相場にとって不確実なのは下押しのレベルの問題があるからであるということも出来そうです。
いずれにしてもエリオット波動理論は上昇方向の推測よりは下落方向に対する期待値の大きな理論として位置づけられており、実際下落の3波がどこまで下押しするのかがもっとも興味をもたれる情報となっていることは言うまでもありません。