第二次世界大戦前は、「世界の基軸通貨」であったポンドは長い歴史をもった通貨です。
しかしユーロ圏の発足後は、その地位はかなり低下して、難しい通貨ともいえる存在です。
通貨としての取引量はドル、ユーロ、日本円についで四番目ですが米ドル、ユーロとの取引量が絶対的な状況で、ポンド円は理論上通貨の意味合いがかなり大きくなります。
ポンド円は実に様々な特徴を持っていることから、FXの世界では積極的に取引する層とまったく敬遠する層にわかれる実に独特の通貨ペアとなっています。
ポンドの歴史
英ポンドの歴史は英国の没落の歴史ともシンクロするものとなっています。
19世紀末までは世界の基軸通貨であったポンドは、二度の世界大戦でそのプレゼンスを大幅に下げることとなり第二次世界大戦後はUKにおける国内通貨へと大幅にその機能の後退を余儀なくされます。
これまでポンド危機は何度も訪れており、その度にその貨幣価値を落としながら現在に至っています。
直近30年間のポンドの歴史で見ますと1990年の金融危機のときに100億ドルの資金でヘッジファンドにポンド売りを仕掛けられたのは有名な話ですが、まさかの中央銀行であるBOEが買い支えに失敗し、その後ERMの変動規制ラインさえも超えて大幅に下落することとなったため、イギリスは、事実上ERMから脱退せざるを得ない状況に追い込まれた経緯をもっているのです。
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ポンド円の特徴
ポンドはきわめて流動性の高い通貨であり、しかもその中でポンド円は1日でも上下に動く通貨となっています。
一方向に動き出すと、毎日オーバーシュート気味に相場が展開するのもこの通貨の特徴で、値頃感から安易に逆張りすれば痛い目に合ってしまうのがポンド円です。
直近の歴史的な相場では、2008年10月24日の一日2000pipsの下落があります。
ロンドンオリンピック以降は中国からの投資が進み、とくに不動産価格が高騰して地価の上昇を招いており、大方の先進国の低金利政策とは別に利上げの動きが出始めています。
これにより、2014年は6月後半まで、非常に堅調な上昇の推移を果たしてきました。
しかし、直近ではスコットランドの独立を問う住民投票の結果をめぐっての大幅下落や、2015年までにEUから離脱するかどうかの住民投票も控えており、様々な懸念を抱えています。
変動要因や不安定要因が多いだけに、為替のボラティリティも大きくなることが予想され、デイトレを中心に行う層にとってはリスクが高い半面で絶好の利益機会を提供してくれそうな通貨でもあるといえます。
ポンド円が動く経済指標
ポンド円が動く、の主な経済指標として注目されるのは、雇用統計、小売物価指数、GDP,鉱工業生産指数、購買担当者指数、住宅着工件数などで、結果次第でそれなりに上下にぶれることになるのがまた大きな特徴となっています。
またユーロの下落の場合ユーロポンドだけは独自の動きをしますが、対ドルでユーロとともに下落基調になることもあるため、ユーロ圏の指標の影響も考慮しておく必要があります。
こんな人にお勧め
とにかく大きな値幅を取りたい人にお薦めの通貨ペアがポンド円です。
ここ最近は、ポンド円のスプレッドが2pips以下の業者がほとんどであり、スキャルピングも十分可能な水準になってきました。ただし、値動きの大きさを考えれば、ある程度の時間をかけて相場についていくデイトレードが最も向いている取引スタイルと言えます。
ポンド円のボラティリティを狙って、取引する投資家は多いですが、その動きの激しさにより強制ロスカットを経験してしまう投資家は多いです。(私も経験があります。)
スキャルにしてもデイトレにしても、常に予期せぬ動きを想定して、しっかりストップロスを置いて売買することが肝心となります。