ユーロ円は、ドル円とユーロドルとの掛け合わせによる理論値通貨ペアの典型であり、クロス円通貨ペアのなかでも国内の投資家に非常に人気があります。
実需ベースでのボリュームがあるわけではありませんが、ドル円とユーロドルという二つの通貨ペアの動きに影響を受けるため、両方の通貨ペアが上昇するような局面では、爆発的な値動きが期待できるのも大きな魅力となります。
ユーロの歴史
ユーロという通貨はEUの統合にあわせて、地域統一通貨として1999年に基準を満たした欧州10カ国のエリアで使用が始まりました。
当初はドイツ、ベルギー、イタリア、ポルトガル、オーストリア、オランダ、フランス、スペイン、アイルランド、フィンランドの各国が限定的な形で利用を開始。
しかし、ユーロが登場した当時は、ドイツマルクやフランスフランなどが平行的に使われていたため、普及は進みませんでした。その後、共通通貨として本格スタートを切りましたが、ユーロ圏の実質GDPはドイツ以外は低調であったことから、何度も弱含みに展開する歴史を辿ることとなりました。
例えば、2000年の10月には、対ドルベースで0.827まで売り込まれる事態に追い込まれたこともありました。
最近の状況は、その頃に比べますとかなり安定してきているといえます。
ユーロの特徴
ユーロという通貨は地域通貨として流通しECB(欧州中央銀行)がその流通をコントロールしています。しかし、各国の財政自体は、それぞれの財務省が責任を持って政策を担っているため、必ずしも一枚岩にはなり切れない現状があるのです。
例えば、数年前のギリシャのケースのよう急激に財務状況が悪化してデフォルト寸前までいってしまうと、単一国家のように中央銀行が簡単にコントロールできないことを露見されることになります。
ギリシャショックにより、EU全体が巻き込まれる危険性を持っていることも明らかになるなど、想像以上に難しい通貨であることが顕著になりました。
ユーロ円の値動きが活発化する経済指標
ユーロ圏は参加国が多いため指標も非常に多くなっています。
その中で、注目度が高いのはなんといっても月1回開催される「ECBの政策金利決定会合の発表」と「その後の総裁会見」です。
政策決定会合自体では新しいものがでなくても、ドラギ総裁の生会見が放送されますので、その場の発言次第で大きく相場が動くことがあり要注意となります。
また加盟各国の指標の中で大きな影響を及ぼすのはドイツ関連の指標となります。
IFO・企業景況感指数、ドイツ雇用統計やGDPなども影響を及ぼしますし、ZEWの結果を受けた動きも激しくなることが多いのが最近の特徴です。またそれとともにユーロ圏景況感指数、ユーロ鉱工業生産指数も発表になりますが、こちらにも注目が集まります。
以前は、殆ど市場が反応しなかった、フランスやイタリア、スペインなどの経済指標にも思わぬ反応があるので注意が必要となっています。
こうした国別の経済指標は同じ日の日本時間午後3時ごろから6時ごろまでに矢継ぎ早に発表となりますので、事前にユーロ円のポジションを持っていた時には、ストップの位置を調整するなど対策が必要になります。
ユーロ円トレードはこんな人にお勧め
ドル円とユーロ円を比較しますと、まず動く値幅に大きな違いがあります。ドル円は、一日の値動きで50pips以下の値幅が多いですが、ユーロ円は、ほとんどの日が50pips以上動き、また、トレンドも出やすい通貨ペアです。他のクロス円と比較しても「綺麗なチャート」を描きやすいので、テクニカル派にとっては必ずおさえておきたい通貨ペアです。
また、国内業者ではスプレッドも狭く、一定のボラティリティも確保できることから、スキャルピングやデイトレードに向いています。今まで、ドル円で取引してきて、もっと値幅を取りたいと考えている人はユーロ円の取引を検討してみてください。