おはようございます。なんだか、私専用のサイトができるようで、FX WORKSさんとはサヨナラとなるようです。1年以上前にファンダタルズの記事を書いたとTOMOZOさんはおっしゃられていますが、本人は全く記憶がない・・・。
ただ、注意をしてほしいのはものすごい勢いで私自身も進化をしていますので、過去の記事は役に立たないと感じる方もいらっしゃることでしょう。世の中、結果重視の世界に変わりましたが、思考のプロセスをみなければ私の考え方が今に至ったかもわからない部分もあると思います。
また、役に立たないということは私から言わせるとあり得ません。しかし、1年前に何を書いたかの記憶もない奴が言う台詞かという葛藤もあることも承知です(笑)。
とにもかくにも今後も、FX WORKSさんと新しいファンダメンタルズのサイトともども角野實を含めてお願い致します。今回はリスク回避の円高について考えていきたいと思います。結論からいえば、円高に計算すればなるということです。
リスク回避の円高の解説
トランプがメキシコへの課税と言い始めたとたん、円高が進行しました。私は8時に日本の鉱工業生産が発表された影響かと思っていましたので、件のツイッターには気づきませんでしたが、今回は、リスク回避の円高を、最近、とりあげている計算式によって説明をしたいと思います。
たとえば、メキシコの実効為替レートは以下のようになっています。
発表元が今週、発表のものを掲載忘れだと思いますが、掲載していませんので、5/20までのものになります。
本来は5/27まではわかっているのですけどね。ともかく、きのうも説明しましたが、GDPの半分が貿易によって稼いでいる国であり、またアメリカ向けの貿易は20パーセント、そのうち輸出はGDPに対して10パーセントというかたちになります。
その輸出に10パーセントの関税を6/10からかけるということなので、とりあえずメキシコの数を10パーセント落として計算すればよいという仮定でお話しをしていきます。
一方のアメリカは、貿易の輸入のうち13パーセントをメキシコから輸入をしています。GDPに対して、貿易の総量は10パーセント程度、そのうちの13パーセントというと、GDP全体に対する影響は1パーセント程度になります。
この報復関税はメキシコが20パーセントに対して、アメリカの影響はGDPに対して1パーセント程度、この勝者は言うまでもなくアメリカになります。
実際の計算
たとえばアメリカと日本は約4倍の経済格差があります。これを計算式でやれば
となります。
これでアメリカが10パーセント成長が減速するのに対して、日本が1パーセントと仮定すると計算式は以下のようになります。
この解は上の式が4なのに対して、下の解は3.636になります。円高になったのが、10パーセントの影響になります。
では、これをユーロドルで考えてみましょう。ユーロとアメリカの経済格差は1.1-1.2倍くらいなので、以下ののように仮定をします。
これをドル円と同様にアメリカ10パーセント下落、ユーロ1パーセント下落で考えていきます。
上の解が0.909なのに対して、下の解は1になります。
これはユーロ高が10パーセント進行したことになります。つまりドル円とユーロドルにリスク回避の動きが出た場合、そのリスク回避のドル安の場合は、その影響が同一であった場合は、同じレートの上下動パーセンテージの訳です。
参考までにドイツのアメリカへの輸出は、輸出のうち、8.8パーセントです。日本は、21パーセントになります。つまり影響は、同じ計算をしても為替相場には両方ともに10パーセントの影響が出るとでましたが、日本のほうが影響は大きいことになります。
アメリカがメキシコへの報復関税によって、アメリカ経済が収縮し、その結果、日本の輸出量が減る場合は、その影響はドイツ(ユーロ)よりも甚大になります。
この場合、日本の円高のほうがユーロ高になるよりもパーセンテージが多くなるのが事実になります。そして実際にユーロ高の幅よりも円高のほうが大きくなっていました。
しかし、計算結果から得られるのは、リスク回避の円高というのは単なる目の錯覚であってドル円の単位が100円単位なのに対して、ユーロドルは1ポイント台なので過剰に進んで見えるだけです。
たとえば1万円の10パーセントは100円になるので、大きく感じますが1円の10パーセントは0.1円になりますので、気にしないという人が多いでしょう。
つまりリスク回避の円高は目の錯覚のように感じていることが一因です。そして第二に報道がユーロドルとドル円の根本的な違いを理解していないことです。
ユーロドルなどは自国通貨が先に来るのに対して、ドル円は自国通貨が後になります。この場合、ドル安なのですからユーロ高、円高になるのは当然のことですが、ユーロは自国通貨高なのに、日本は、数字は減っていく円高ということに気づいていないのでみなさん不思議に感じるだけの話です。
要は、リスク回避の円高というのは無知から発生した知識ということもできるのです。
(この記事を書いた人:角野 實)