おはようございます。かねてから指摘通り、米国債券10年物の金利が年初来の安値を更新しました。今回はこのことを中心に解説をしていきたいと思います。
米国債10年物利回り
よくみてみると2018年の安値さえも抜いており、かなり米金利は低い水準になります。
10年債の金利が2.27に対して、3か月は2.35、52週が2.31と、長期金利よりも短期金利の金利が高くなる「逆イールド」状態の一歩手前です。
3年と5年などはすでに逆転をしていますので実質、逆イールドが発生している状態です。この逆イールドは銀行の収益を悪化させます。
つまり銀行は短期金利で融資をして、融資をしてもらった企業、個人は長期金利で返済をするという金利が逆転をしてしまったら、銀行は利ザヤを得ることができないのです。
■シティーバンク株価
去年12月にも急落をしたのは、逆イールド現象のためです。今回も、急落過程にあると思われます。しかし、この金利低下は先物納会にからむ、金利低下であって、決して永続をするものではありません。
受け渡しが30日になりますので、日本時間の5/31までは、現在の情勢ではこの低下傾向が続くと思います。その後は、またファンドが新規に債券を売ると思われますから、おそらく、金利は上昇気味になるでしょう。
今後の動き
きのうの株価、急落の動きは連休明けとはいえ、やはりこの逆イールド現象の進行になります。決して米中貿易摩擦の結果ではありません。
この理由は再三言っていますが、本当に米中貿易摩擦の影響があるのであればアメリカの実効為替レートは急落をしているはずなのに、反対に上昇している結果をみれば、その認識は誤りというのがわかります。米中貿易摩擦の結果、傷んでいるので中国と韓国のみであって、日本やアメリカには関係がありません。
むしろ、日本を含めて、米中の摩擦が激化すればするほど、先進国の経済が良化しているのに、報道は米中貿易摩擦の結果、景気が後退していると言っている訳ですからデタラメを言うのもほどほどになさい、ということです。
トランプ大統領来日も、貿易交渉の期日に関して合意は得られない結果と報道されていますが、トランプの希望は9月の末までに決着をしたい、だから8月に期限を設定して、9月末の決着を目指しているのでしょう。日本政府が絶対に無理、とコメントをするのは農家の調整が終わらない、という意味になると推測されます。
つまりアメリカが要望しても、日本は数字を示せないという意味で無理と言っているのです。交渉は一段高いところを要求するのが当然のことですから、その言動に振り回されている人たちは交渉などやったことがないのでしょう。ディールの達人、トランプからすれば当然のことです。
つまり日米の間などには懸念材料はない、アメリカの債券も先物納会に絡むテクニカル的な事情であり、その調整を現在、行っているだけです。
また、アメリカの株価も本日の引け値でみても、安すぎる状態です。そのうえ、消費者信頼感指数もまた上伸をしている状態ですので、何れ、買いトレンドに収れんをするでしょう。
日本は去年が7月ピークでアメリカが9月です。この時期までは大きく上伸はしないと思います。逆に下値はフリーな状態になると思います。つまり何か、悪い材料が出れば、下値は簡単にわりますが、上値はガラスの天井のようになっていると思います。
ドル円に関しては日本が去年、悪すぎたので、去年よりも良くなる。アメリカは去年も好調過ぎたので、今年はそれ以上が難しい。そうなると、成長率においては日本>アメリカになります。その差が大きく拡大するとは思えません。
しかし分母が増大すれば、円高になるのですが、そうとも言い切れないのです。ここが、この為替決定理論の非常に難しい部分であり「キモ」になるのです。これを解説するとなると一苦労なのです。
この部分を理解するのには、経済指標をしっかりと押さえておかなければこれは理解できません。何度もいいますが、慣れてしまえば、かんたんなのですがね。
円安傾向になると思いますが、それほど大きくは動かないと考えています。あと、金は大きく上昇すると考えていましたが、株価に引っ張られたと認識をしています。
(この記事を書いた人:角野 實)