いままで書いてきたことを理解していくと、今後のドル円相場が読めてきます。その具体的な方法を示しますので、今まで書いてきたことを思い起こし読んでみてください。
ただし、私が書いていることは、決して、難しいことではなく、非常にかんたんなことだ、ということは理解したら思うことでしょう。
なぜなら、言っていることは小学生でも理解できる基本的な算数だからです。私は小学生の算数しか理解できないのですから、解説も小学生の算数です。
日米のPMI
Econodayより
上記はアメリカのISM工業指数になります。去年の8月にピークをつけてその6か月後は先月の2月。このグラフではみにくいですが、2月が直近ではもっとも低くなっています。
つまりISMをも含めたPMIというのはピークや底をつけたあとの半年後に逆の目が出ることがわかると思います。つまり今月1日に発表された、ISMの2月は当面の底の可能性が高いということになります。
日本の場合は非常にわかりずらい傾向にあります。去年の4月に高値を出したのは米国と一緒ですが、去年の4月がピークなのは確かです。
この場合10月に安値を出すはずなのですが、逆に10月に高値を出してしまっています。
これは、何度も説明をしましたが、去年の場合、8月に多くの自然災害が発生をして、その結果、8月が低成長になってしまったことからの反動です。その後、米中や世界の景気減速が鮮明になり、2月の結果が景況判断の境目になる50を割ってしまったということです
。しかし50を割ると、みなさんは景気が悪いと感じることになるのですが、前から変わらないよ、という人が過半だと思います。特に不景気になったのは感じないし、不景気のまんまだよ、というのが素直な感想でしょう。
つまりこの2月の50割れというのは「やりすぎ」の数字だろうな、来月は、これ以上に悪化するのか、と言われれば、さまざまな経済指標をみると悪化するかもしれないけど、これ以上、悪くならないというのが実感に私は近いです。
現状分析を踏まえて
日米ともに、なんだか、景気は底を打ちそうだ、というのは理解できたと思います。ではドル円というのは、ドル÷円によって解が求められるのですから、それを具体的に計算をしてみればよい、ということです。
ここではシュミレーションになります。アメリカは「54.2」、日本は「48.9」です。数字の上では、アメリカのほうが良いわけです。この計算式は実際には、「54.2÷48.9」になるのですが、この解が大きくなる場合はアメリカの数字が日本の数字よりも大きくなれば良いのです。
円高の場合は日本の数字がアメリカの数字を上回ればいいのです。ではもっとかんたんな計算式で考えてみます。「アメリカ8÷日本2=4」になりますが、同じ数字づつ日米ともに成長をしたとして、「アメリカ9÷日本3」にると解は3になります。
この仕組みを説明するのは非常に面倒くさいので割愛しますが、同じ「絶対値」の成長をすると、円高になるのです。では、この解を変わらずにするためには同じ10パーセントの成長をするとやればよいのです。
すなわちアメリカ8.8÷日本2.2にすれば同じ解4になるのです。ですからGDPなどの成長率は絶対値の表現を金融関係者が使わないのはそのためです。比較しやすくするためです。
つまり、たとえばきのう、円高になってしまった理由というのは、きのうは明らかにドルが強かったのだから分子が増えたのだから、普通、円安になる訳です。
でも実際は、円高になった理由というのは、アメリカの上昇のパーセンテージに対して、円の上昇パーセンテージのほうが大きかっただけの話なのです。だから、円高になったのです。
言っていることはものすごくかんたんなことですので、ここであきらめないように。きのう、円高になった理由というのはおわかりいただけましたでしょうか?
そして、上記のPMI、ISMの話に戻ります。アメリカが54、日本が49ですのでアメリカのほうが大きいのです。日本、アメリカの最高値は54と62です。
日本54から49の下落で騰落は10パーセントのマイナスアメリカは62から54の下落で14パーセントのマイナスです。下がり幅がきついのはアメリカですが、日本の場合は50を割ってしまっている。
でも、実際には企業経営者も一般消費者も、景気は悪くないと感じています。だったら、あがりやすいのはどちらですか?というだけの話です。アメリカは下山した下りた地点は日本よりもはるか下です。
日本はなだらかな下山をしています。上るのはどちらが楽なのか? という話なのです。つまり、今後、起こり得ることは、日本の上昇>アメリカの上昇なのです。
日本の上昇が大きいということは、円高になる、ということですよね。この予測を間違えたとしても、どこで間違えたのかすぐにわかりますよね。これがこのロジックの優れている点です。
雇用統計について
すごい数字が出ると思います。給料は下がらない、雇用は増えるというような数字になる可能性のほうが高いですよね。そのときにドルと円の絶対値の上昇、どちらが大きいかを考えればいいだけの話です。その計算はこれからします。
(この記事を書いた人:角野 實)