おはようございます。相も変わらずドル円は膠着状態にあります。これは、絶対値のドルの価格と円の価格が同じように下がっているから膠着状態になる、というのはずっと解説をしていることです。
反対に欧州通貨は、ユーロやポンドはドルの下落よりは下落をしていないので上昇をしているということになります。さて、本日は国家非常事態宣言についての補足と今後のアメリカ政治の危機について記していきます。
国家非常事態宣言への対応
まず、議会の対応はこの国家非常事態宣言が適正であるか否かを審議する道義が上下院ともに提出されることになるでしょう。下院は民主党多数になりますので、これは違法であるという審判が下るのは当然の結果になると予想はできます。
問題は上院になります。上院は共和党が過半数を取っていますのでこの国家非常事態宣言の可否については、適当であると採択されるように思われている方は多数だと思います。
しかし、1/25に政府閉鎖が解除された直接の結果は、上院の共和党議員の造反によって政府閉鎖が解除をされているのです。
すでに、過半数を割り込む数の議員が今回の国家非常事態宣言に対して「疑念」をもつようなことを公開の場で表明をしていますので、この国家非常事態宣言が議会によって差し止められる可能性があります。
しかし、大統領には拒否権がありますので、トランプはこれを行使するでしょう。この場合、議会の国家非常事態宣言に対して疑念があるという票が2/3以上ないと国家非常事態宣言は無効とできますが、さすがに2/3以上の賛成は無理な話です。
よって、行政、立法の場では、この国家非常事態宣言は合法化されることになると思います。そして、問題の司法に関して、になります。まず、前回、この国境の壁に対して司法は今年の9月まで審理をしない、とお話しをしましたが、今回、各地で提訴される行政訴訟はこの国家非常事態宣言が適正か否か、ということになると思います。
民主党にとっては、この国境の壁は無駄なものになりますが、共和党、トランプ支持者にとっては、選挙公約の1つですので絶対にやってもらいたいというそれぞれの思惑が交錯をしています。
民主党支持者や国境の壁に反対者の狙いというのは、国境の壁は国家非常事態宣言をしてもとうの前から建設ができないのはわかっていましたが、国家非常事態宣言までも、非合法、違法なものでトランプを追い詰めるという作戦のようです。
どちらにしろ、全米各地でものすごい数の行政訴訟が提訴されますけど、その結果は1か月や2か月で出るものではないというのはみなさんでもご想像ができるでしょう。
実際、トランプは最高裁まで戦うと言っているのですからハナから長期戦です。つまりトランプにとっては国境の壁を作るのに努力をしたという実績が欲しいのであって、実際に壁ができるか否かは関係ない、というだけの話です。要するに単なる政治ショーに私たち、投資家は踊らされているだけの話なのです。
つぎの政府閉鎖
2/15の政府の再閉鎖が回避されたのは私の予測通りのことであり、別に何ら問題はない、ということです。ただし、今回の債務上限で終わりということではなく、今回も問題なく終わったからもうしばらくない、ということではありません。
みなさんは今回35日も閉鎖されたのでもう終わりだろう、とお思いの方は多数だと思いますが、実は今度は3月にその債務上限の期日が来ます。
さて、トランプは国境の壁は今回でヤマ場を終えたと思いますが、こんどは何を争点にして政府閉鎖との交換条件を出すのでしょうか?
本当に面倒くさい人ですが、メディアがこの政治ショーを面白おかしく書き立てるので政治家としてはこれを利用しない手はありません。
ただし、次回の政府閉鎖に関しては、上院の共和党議員が再び、反対に回る可能性もありますのでかんたんにはいかないでしょう。誰もが納得できる理由によって政府閉鎖をしなければ、それこそ、熱狂的なトランプ支持者以外から総スカンの可能性があります。
どちらにしてもまだ、次回の争点をトランプが話し始めていませんので無難に通過する可能性は高いですが、思い付きで何を言い出すのかわからない人ですので要注意です。
そして、ずっと話していますが、この米景気が下押しする原因は最近は2つです。
①政府閉鎖
②米中交渉
この2点だということを忘れないでください。まだ①は終わっていないし、②は期日が3/1です。これらを無事通過するまで安心して買えません。個人的な意見ですけど。
(この記事を書いた人:角野 實)