トランプ大統領が非常事態宣言を行いました。今回は、その解説と、今後の展開についてお話しをしていきたいと思います。
トランプ大統領と非常事態宣言
就任以来、なにかと話題の多いトランプ大統領になりますが、ひとつだけ一貫して行っていることがあります。それは、選挙公約の実現であって、とにかく、日本の自民党と違い、選挙期間中に公約として掲げたことは必ずやり切ろうとすることです。
つまりトランプ大統領は、選挙期間中に公約として掲げた「国境の壁」建設を行うことはやり切ろうとすることはあらかじめ予測できたことです。
では、実際に非常事態宣言をして、本当に国境の壁建設ができるか、といえば、はっきりいえばできません。ですから、本日のダウは、無視して上昇をしているのです。
具体的には、民主党が法廷闘争を主張していますが、実際のアメリカの連邦裁判所はこの問題への審理を9月まで停止をしています。
これまでに、連邦裁判所はこの国境の壁問題に対して違憲という判断を下しており、いくらトランプ大統領が、国境の壁建設を非常事態宣言によって強行しようとしても司法が禁じていますので、できないのです。
ですから、株式市場などは冷静に、関係ない、と言って、上昇をするだけなのです。つまり、この連邦裁判所の審理が始まるのは早くて9月からなのですから、国境の壁を建設しようとすること自体が不法行為になりますので、メディアはいくら騒いでも、マーケットは動じないのです。
では、なぜ、ここまでトランプ大統領は、国境の壁にこだわるのか、といえば、非常にかんたんな話で、来年の次期大統領選挙をにらんで走っているだけです。
現状のトランプ大統領が再選の見込みですが、数々の世論調査をみても、トランプ再選には黄色信号がともっており、予断を許さないような状況です。
ですから、トランプ大統領は選挙期間中に公約として掲げたことは次々と実行しようとする訳です。ただ、この国境の壁は、下院で過半数を握っているときにやるべきことだった、というだけの話で、現状、下院ではペロシ議長がコントロールしている中、不可能なことでしょう。
たとえば、就任直後にアメリカ大使館のエルサレム移転をトランプ大統領は発表をしましたが、これで大騒ぎをメディアがしていましたが、実際には何の影響も、中東にも、世界にもありませんでした。
なぜならアメリカ大使館が移転する場所は西エルサレムであって、東エルサレムではないからです。これが東エルサレムであれば、世界中がハチの巣をつついたような騒ぎになってきたことでしょう。西エルサレムへの移転というのは、現状に何の変化も与えません。
これはトランプ候補時代にユダヤ人協会がトランプ候補に大量の資金援助を行ったから、その見返りとしてこの実現をした、というよりも、ウヤムヤにしてしまうでしょうが、行っただけの話です。
中身など大使館の移転にはありません。よくペンス副大統領が宗教上の問題で、この問題に肩入れしている、なんてアホなことを騒ぐ連中がいますが、アメリカは日本と政治と宗教は分離して治世を行わなければいけません。
宗教的信念を基に、治世を行うというのはどんなバカな政治家でも行いません。ましてやアメリカであればなおさらです。こういう、無知を晒しているような意見にはなびかないように願います。
要するに、国境の壁問題などはトランプ大統領のパフォーマンスであって、この行為自体に何の意味もないのです。それを大騒ぎして大山鼓動して鼠一匹動かずの典型です。私から言わせれば、どうでもいい、ということです。
週末のアメリカ指標
まず、先行指数が2つ発表されました。
■エンパイアステート指数
1月は最悪な数字でしたが、2月は持ち直しました。だいたいこのPMIなどの先行指数は、ピークの半年後にピークアウトするのが通常です。エンパイアステートは18年、6-8月にピークをもってきていますので、おおよそ、12-2月に底が入るという計算でいいと思います。
■ミシガンサーベイ
ミシガンサーベイの消費者信用指数になります。これは上記のエンパイアステートが鉱工業生産なのに対して、ミシガンサーベイは消費者の先行指数です。
エンパイアステートは企業の先行指数なのに対して、ミシガンサーベイは消費者の先行指数になります。このミシガンもエンパイアステートと同様に1月が悪く、2月は回復をしました。
18年のピークは3月ですから、9月くらいに低迷が始まると予測できます。実際は8月に低迷をして、半年後、正確には5か月後の19/1月に底をつけたと言ってもよいでしょう。
1月が底というと、7月くらいまで消費者は拡大していくのか、と考えてもいいでしょう。エンパイアステートも同様のことになります。
上記はミシガンと株価を同時にチャートに書いたものになります。株価とミシガンは相関が高いとも言えます。ですから、きのうのダウが急騰したともいえます。
しかし消費者信頼感が95ポイントで、株価が新値更新したときには信頼感指数が100を超えているのですから戻りが早すぎる、ようするに株価はフェイクとしか思っていません。
では、実際の数字、つまり、きのう一致指数なども発表されていますが、それらをみていきましょう。
■鉱工業生産
例年通り、1月になれば減ります。それだけです。ただ、きのうの、小売売上は前年比マイナスです。売り上げが去年よりも落ちているのに、こんなに生産しちゃって大丈夫? 状態です。
去年からの流れでわかっていることは。
①アメリカ政府閉鎖があるとアメリカ経済は極端に落ち込む
②米中交渉からアメリカの株価、経済は不調になっている
ということは観察しているとよくわかります。
このうち①の可能性は消えましたが、②の可能性についてもトランプ大統領はまとまりにくいのであれば交渉を延長すると言っています。
株価が電撃的に落ちたら、交渉を延長するか、解決したと発表するのでしょう。となると、不意に落ちた株は、買わざるを得なくなっている状況だ
と思います。
と思います。
現在の二番天井を目指すような動きというのは、買えませんけど、もう一度安値があるでしょう。ドルに関しては方針が変わらず、7月までドル安、ドル安が株価好調の原因となるでしょう。
(この記事を書いた人:角野 實)