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本当に世界景気は落ち込んでいるのか?

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おはようございます。世界の景気が落ち込んでいる、とメディアや識者が異口同音に言っています。今回は、その検証をしてまいりたいと思います。

JPモルガン世界総合指数

また、聞き慣れない指数が出てきたな、と思った方も多いと思います。ただ、PMI(景況感指数)になりますので、いつものように50が基準で50より↑が好景気、↓が不景気という考え方でいいかと思います。 

上記はJPモルガン総合PMIとNYダウを重ね合わせたものです。青い棒がJPモルガン世界総合PMIで、折れ線グラフがNYダウになります。
この比較の解説をしてまいります。まず、景況感指数(PMI)というものは、数字そのものは、相対値になりますが、実数ではない、ということです。どういうことかといえば、景況感というからには、気持ちや心理を示した指数であり実際にいくらナンボ稼いだのか、という数字ではない、ということです。
つまり、貿易や小売売上などの統計をみれば、その統計から実際にお金がいくら動いたかを観察できますし、そこから、今後の経済がどういうような状況になるかを想像できます。
しかし、景況感指数というのは、人々の気持ちや感情を示した数字であり、その人々の気持ちが前向きなのか、後ろ向きなのか、ということの指数です。
ですから、実際のお金の動きを伴っていないのが景況感指数(PMI)になるのです。お金の動きを観察するのが経済であり、感情や気持ちは経済には含まれていません。
最近は、行動ファイナンスと言って、感情なども経済に含む研究も多くなされていますが、それを実態経済にどう取り込むかの研究はまだ実用レベルに落とし込まれては個人的にはなっていないと思います。上記の説明のようにJPモルガン世界総合PMIというのは、こういう構成要件である、ということはわかってほしいと思います。
では、実際の上記のグラフの説明に移ります。このグラフによると、株価(NYダウ)とPMIは連動しているように見えますが、実際、きっちりと連動しているのか、と言われれば、言い難いと思います。
この連動が、傾向は似ているのにしても、おおまかな相関性であるのは、PMIが相対値で、株価が絶対値であるということになります。具体的にはPMIは50が平均で、上限が100、下限が0になりますが、株価は上は天井知らず、下は0が下限になりますので、そもそも数字の性質が違いますので相関性などが存在する訳がないのです。
ただ、似た様な動きになるのは、なんとなく理解できたと思います。実際に各国のPMIと株価を見た場合、連動をした動きになるのはPMIを見ながら、株などのマーケットトレーダーは相場に参入していますので、PMIは重要な指標になるのです。
なぜなら、経済指標の先行指数の中で、もっともはやく発表されるのがPMI、景況感指数になるからです。我々の仕事は、この経済の方向性を人より早く知ることが、仕事になるのですから当然のことです。

実際の動きの解説

2014-2016年まで株価も、PMIも低下傾向です。これはもっと前から掲載できればいいのですが、JPモルガン世界総合PMIが2014年からの発表ですので、これ以前よりのものはない、ということです。

2015年というのはチャイナショックの年です。このチャイナショックを受けて、日本銀行は2016/1月にマイナス金利を導入したことは記憶に新しいことです。
世界の工場である中国の景気が悪いのですから全世界的に、景気が悪いのは当然の話です。たしか、2015年の世界成長は1パーセント台だったと思いますのでPMIも株価も低迷をして当たり前の話でしょう。現在の状況は世界銀行によると、今年の世界成長は2.9パーセントと、通常、成長率が3パーセント前後であれば、世界経済は好調ということになります。
参考までにアメリカは3.4程度になると思いますが、3パーセント台の成長になると人々は通常、好景気と感じます。日本の景気が過去最高記録で続伸中と言いますが、1-2パーセント台の成長では、景気が良いと感じません。
つまり日本は1992年以来、3パーセント成長など達成をしたことがなく、この間、いくら景気が良いと騒いでも、みなさんのお財布は、重くなったと感じることがないのはこのためになります(笑)。
現況は、世界の経済成長が2.9パーセントと、去年よりも若干悪くなる予測になりますが、世界の景気は良い、ということになります。結果として、株価は今後、年後半に向けて上伸するだろうということになります。
しかし、PMIと株価の乖離が酷い状態であり、1月という単月でPMIが下がっているのに、株価が上昇をすると株価が下落する可能性があります。参考までに去年2月の急落はPMIの急速な低下が原因でした。また、年末の株価急落の原因は政府閉鎖であったのを、忘れてはいけません。
次回、このような問題が出てきたときは素直に売りになると考えておかなければいけません。アメリカの消費者は、先行指標である消費者信頼指数や残高が最悪レベルであり、その小売などが政府閉鎖の発表によってペンディングされている状況では、まったく、状況が読めないような状況です。
しかし、企業のPMIは完全に低下傾向であり、この傾向が続いているのに、株価が上昇するようであれば、株価が崩壊する可能性がある、ということに注意が必要です。

今後の金融マーケット

今後の動きに関しては、上記のように経済指標とマーケットの動きが乖離したような形になっています。本日は株価が急落しましたが、これは米中交渉が3/1までに解決されると思ったことが、見込みがない、ということで売られたとのこと。

個人的にはこの理由には全く賛同しませんが(笑)。ともかく、ドル円はほとんど前日と変わらないような状態での入電ですが、株価のテクニカルはやっと陰転しています。
このテクニカルは、押し目買いというのにはかなりの勇気が要ります。ドル円も押し目買いなんて、私には言えません。故に、私はかなり今週は多忙なのですが売り待ちとしか言いようがありません。
(この記事を書いた人:角野 實
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