おはようございます。注目の失業保険申請者数が発表をされました。これに関しての解説を今回はしてまいりたいと思います。
失業保険申請者数
Econodayより
上記は全米失業保険申請者数になります。明らかに、今回の数字は大きく上昇をしています。では、これと雇用統計の関連を話してまいります。
まず、この数字が1/26からの数字になりますので、これは本日、発表になる雇用統計に影響を与えることは明らかでしょう。つまり新規雇用者数は、これだけの失業者が出たのですから、新規雇用が増える可能性は少なくなってくることでしょう。
しかし、1月の雇用統計は数字が良すぎたので、多少悪化するのは織り込み済みになります。しかし、失業者数は悪くなるのが常識的になりますが、これは雇用統計と失業者数のサンプルが根本的に違いますので、この数字には相関性はありません。
平均賃金に関しては今月の発表に関しては、1月の爆発的な新規雇用から多少、上昇するでしょう。なぜなら、あれだけの人数を採用すれば、人手不足が深刻化していますので、企業が人材を確保するのであればお給料を上げるほかない訳です。
しかし、今回の場合は、失業者が大量に政府閉鎖によって発生をしましたので、安いコストで企業は人材を募集することができます。
ですから、来月からの平均賃金は下がるであろうと予測できます。何れにしても、本日発表の雇用統計はそれほど悪くもなく、よくもない、というのがコンセンサスになると思います。
失業保険申請者数の影響
この発表は、今後の統計に大きな影響を与えることが考えられます。今まで、私は、アメリカは企業が低下気味、そして消費者が絶好調なんだ、と記してまいりました。
ここで、消費者信頼感指数、残高、住宅各種指標(政府閉鎖で発表が遅れている)などの先行指標が悪化をしているので消費者関連が悪化するのは時間の問題であろう、といつも言っていることになります。
今回の、この失業保管申請者数によって、これが証左されることになります。では、実際に失業者がこれだけ増えた以上、どういう影響があるかといえば、まず、この失業した人たちは生活を質素にするのは必然になります。
つまり今まで、購買意欲が旺盛だったものが低下する。この購買意欲が低下しているのを確認するのにはレッドブックで確認をすればよい訳で、去年から引き続くレッドブックは注目に値する訳です。
なお、小売売上は政府閉鎖の影響で発表が遅れています。そして、周辺の労働者も、そういった姿をみて、やはり消費を控えようとします。もともと、ミシガンサーベイや消費者信頼感は悪化していたのですからさらに悪化するという形になります。
つまり消費者の絶好調のピークは過ぎた、ということになります。こういうときに、政府が景気刺激策を出して消費を刺激するのが通常の政策では普通のことですが、トランプが閉鎖を長期間に亘って行った結果、経済指標の発表が遅れています。
このことでわかることは日本の厚労省のデータ不正問題というのがいかに悪質であるかおわかりになると思います。あれらの数字をみて、政府は政策決定を行っているのに、それを不正にしたらお話しになりません。
つまり必要な経済統計が出ていないので、政策決定ができない、というまさに悪夢のような事態になります。トランプは自らのためにアホなことをやったものだ、ということがみなさんもおわかりになると思います。
現在は、その遅れていた統計作業を発表する作業が行われていると推測され、その政策決定は、その後になるのです。
いかにデータ不正やデータの遅れが罪深いことなのか、おわかりになるかと思います。ただ、悲観することばかりではなく、今後は2月の中旬に向けて、企業は設備投資などの先行投資を増やしてくるということが明るい材料です。
以前からお話しをしていますが、消費が不調になりかかるときに企業が先行投資をしてその景気を下支えするというのが景気循環論、サイクル論な訳であって、今回もそれが当てはまってきます。
しかし、良い材料にはなるのですが、消費者が年末のまま、絶好調であれば、企業は最大規模の先行投資をするでしょうが、今回の場合は絶好調から不調になりつつあるときにその設備投資の時期にくる訳です。
絶好調であれば、過去最高の設備投資をして、株価も跳ね上がるでしょうが、今回の場合は、設備投資はするでしょうが、まだ、悪化するかもしれない、という思惑によって通常の経営者は、必要最低限の設備投資しかしないでしょう。
つまりシナリオが今回の失業保険申請者数によって変わっている意味で、相当な重要な指標であった、と言えることが言えます。
結論からいえば
ドル安は雇用発表後も、大きな数字の上下動がなければ、継続されるでしょう。つまり円高、ユーロ高が継続するだけの話だと思います。
それよりも貴金属や原油などの商品相場のほうが良い訳であるのはここ数日、触れていました。債券も値洗いは十分によくなりましたが、少し、やりすぎのような感じがあります。
金やパラジウムには多少、過熱感がありますものの、まだ、高いだろうね、と思います。ともかく先進国がみんな悪くなっているのに、新興国だけは好調になる?なんてアホな妄想はしないほうがいいと思います。
きのうもお話しをしたように、新興国高はフェイクの可能性のほうが高いと思います。株価だって、去年の決算を受けて続伸しているだけで、良くはないでしょう。日経はきのうは陰線引けですのでよくはありません、と判断しています。
(この記事を書いた人:角野 實)