おはようございます。FOMC前まで全く、為替市場は動きませんでしたが、ようやく同意づいてきました。いつものこととはいえ、今回は個人的には長く感じました。
フランスの実態
フランスは燃料税の増税によって黄色いデモ隊が混乱を巻き起こしました。なぜ、このようなことが起こるのかをまず、解説をしたいと思います。
フランス消費者物価
フランス非農業部門賃金
絶対値と相対値での比較になりますので、わかりづらい部分もありますが、過激的なデモが起こる理由はたった一つです。物価の上昇に賃金が追い付いていないからです。
その上に燃料税増税なんてアホなことをやればマクロンの支持率は急落しますし、彼はアホではないか、と思うのです。安倍さんは、庶民の給料が1パーセント半ばくらい上昇したら2パーセントの増税ですから本来は怒らなきゃいけない、ということです。
ただ、2年引き延ばしをしたことによって実質の賃金は消費増税以上に増えていますので、大きな反対がないだけです。フランスもドイツ、スペイン、イタリアなどのユーロ主要国は、何れも物価の上昇に対して、賃金が追い付いていない、ということなのです。
だから、景気が不景気になって当たり前です。中国の場合は、もっと深刻で企業の利益以上に、賃金が上昇している。これで景気が減速をしないほうが摩訶不思議な話であって、この中国のリセッションというほどでもないのですが、中国経済の調整は長引くでしょう。
そしてユーロの問題を解決するのには、物価の上昇を抑えればいいのですからユーロ高にする。そうすれば、給料は上がらなくても、物価は自動的に下がります。
ドラギさんが金融緩和を停止した理由は、こういう理由です。金利を上げれば、物価が上昇し、さらに政府が不安定になるのですから、ユーロの当面の利上げはないのです。
中国は、基本的には資本主義ではないのです。なぜなら、企業の利益以上に賃金を払う、なんてどう考えてもアホなことをやっている訳です。ほとんど国営企業だと思いますが(笑)。
この問題は、構造的な問題で、日本でも1970年代に多く頻発した労働争議と構造は一緒です。給料を上げなければ、中国の工場は稼働しなくなるでしょう。
つまり構造的な問題ですので中国の不景気循環は長引くことになるでしょう。逆にユーロは、ユーロ高にすれば、物価が下がりますのでヨーロッパで頻発するデモは5-6月には収れんすることでしょう。
FOMCについて
まだ、よく分析ができていませんので、何とも言えませんが、何ら目新しいものはなく、モーサテなどは利上げ見送りなどとほざいていますが、ここの読者のみなさまは、利上げなんて5-6月以降にしか、FRBはやるつもりがないのだから当然の結果でしょう。
しかし、きのうあたりにお話しをしたFRBの資産縮小の具体的なところまでは踏みこんでいませんが、それについては言及をしています。このことで確定をしたのは、利上げは当面なく、そして、低金利は維持される、ということです。
これは、すなわち「ドル安」を意味します。絶対値でもドル安、相対値でみてもドル安です。ですから、日本経済も中国が良くなる見込みが当面ないので、絶対値で「円高」、ドルも絶対値で「ドル安」の流れが決まったのですから、きのうは円高ドル安、相対値でも絶対値でも、なったのです。
結果として、金やパラジウム、原油などが急騰をしたのです。私から言わせれば、為替などやるくらいなら、商品のほうが儲かると思うのです。株は急伸しましたが、上記、低金利、ドル安と二拍子そろったら、株は買いになります。
しかし、ヨーロッパ、中国がパウエル、ムニューシンが悪いとまではいかないけど、良くはない、と言及しています。グローバルスタンダードの世界において、欧州、中国が悪くてこのまま続伸するかといえば甚だ疑問です。
テクニカル上は上抜けていますが、ファンダメンタルズでは低金利、ドル安、好決算が勝っているだけの話で、景気が好循環の中の調整局面という中ではやりすぎです。
私はこの株価急上昇は市場の勘違い、フェイクだと考えています。結論は、きょうの日経平均で出るのではないでしょうか?ともかくFOMCというのはこれから分析が出てきて、その結果がマーケットに反映されるのは1週間ほどかかるでしょう。
しばらくは円高が続きそうです。新興国通貨を書くのを忘れていました。トルコがあまり急騰しないのはメキシコや南アに比べて景気が悪いからです。
では新興国全体が、上昇したのもおそらくフェイクだと思います。これはドル安を反映した結果になりますが、通常、新興国は人民元にリンクをしています。
しかしドルも基軸になりますのでリンクをしています。平時のときはだいたい、人民元安なら新興国高になりますが、きのうのようなビックイベントのときにはドルにリンクする傾向があります何れ、新興国安人民元高に収れんすると考えています。
ともかく世界はドルを中心に動いており、アメリカ株が急落をしたときが心配です。アメリカの決算は、ほぼ、出そろったと思います。しかし、日本の決算も7-9が悪いので10-12は相対的に良く見えるのだろうね、と思ったりもします。
(この記事を書いた人:角野 實)