おはようございます。先週はさまざまなことが起こりすぎ私にとっても混乱の1週間でした。
しかし、日本では政治の存在感が薄れている中、やはり、経済を主導するのは政治になります。今回は、政治がマーケットに向けたメッセージを解説していきたいと思います。
WSJのFRB資産縮小棚上げ論
トランプ大統領がFRBに対して利上げをするな、と去年から脅しをかけています。それに対してFRBは利上げをしないかもしれないと応じ、終息したような形になっています。
しかし、従前から私が言うようにドル高は11月まで続いており、その半年後は5-6月なのですから、ここまで物価は上昇をしない、というのは過去のデータからは事実です。
物価が上昇しなければ、金利もあがらない、という当たり前の事実に帰する訳です。つまりFRBから言わせれば、トランプさんからの圧力に屈した訳でもなく、ハナから予定通りのことなのです。
このことも指摘をしましたが、トランプは、FRBに対して実は資産の縮小をするな、と要求をしているのであって、金利を上げるな、とは言っていないのです。
要するに年間3パーセント程度の物価上昇をするのであれば、ドルは上昇しますが、今回のドル高には、FRBの資産縮小、毎月500億ドルの債券を市場に放出していたことも、金利を上昇させていた要因にもなります。
今回、WSJがスクープしたのは、このFRBの資産圧縮計画の変更を示唆するものです。これはいつもの観測気球的な記事であろうと、考えられます。
つまり、これによってマーケットがどう反応をするのかを、FRB幹部はみていると思います。どちらにしろ、年5パーセントの資産圧縮を変更して、資産の売却を行わないのであれば金利は上昇しません。
つまり、政治的なメッセージでいえば、「ドル安」にするつもりですが、みなさんのご意見は? とマーケット参加者に聞かれているメッセージを逃してはいけません。つまり、いつ始まるかわからないけど、ドル安にしますよ、と言っているのです。
ベネゼェラの混乱
ベネゼェラでは選挙によって新大統領が誕生しましたが、これに反対する野党国会議長が新大統領就任に反対しています。そしてこの野党国会議長が暫定大統領に就任するというまさに混乱の極みになります。
これに対して、新任大統領を中国、ロシア、トルコ、などの第三勢力は承認、欧州は否認となっています。このメッセージのキーポイントは、石油にあります。
ベネゼェラは世界有数の石油産地になります。しかも、アメリカ、サウジに次ぐ、石油埋蔵量になります。ここでアメリカは新任大統領を支持していますが、なぜ、第三国側についたかが重要なのです。
まず、アメリカのシェールオイルというのが軽質油という原油の種類になります。一方で、重質油の産油国は、ベネゼェラや中東になります。日本の原油輸入の9割が中東からに頼っていると報道をよくされますが、これは日本の技術力が高いので、重質油でもガソリンなどの製品を製造することができるからです。
一方で第三国側はその精製技術がないので、割高な軽質油を輸入することになります。ただ、日本も第三国も共通しているのは火力発電に使う、重質油が圧倒的にイラン禁輸で府今後、不足をするということです。
同様なことはアメリカにも言え、アメリカの重要な重質油の輸入先はカナダのオイルサンドやベネゼェラ、サウジだったのです。このうちカナダからのパイプラインは停止、サウジはMbSの不祥事に対してされた処置を不服として米国に原油の禁輸を決定しました。
この上にベネゼェラとくれば相当なアメリカはピンチなのです。が、ほとんどの方はこのことについて触れません。アメリカはベネゼェラからまでの供給が止まれば相当なピンチです。
参考までに中国はベネゼェラに途方もない金額を貸し込んでおり、どうでもいいから早く原油生産を始めて、ゼニを返せ、という姿勢です。原油を中心にマーケットに一波乱あるかもしれません。
イギリスについて
おそらくどこかで離脱延長が決定するでしょう。詳細は後日、解説をします。
(この記事を書いた人:角野 實)