おはようございます。ようやく、きのう地方から帰ってきて値洗いに愕然としています。予想していたこととはいえ、もう面倒になって105円の買い玉までぶち切ってしまいやり直ししています。
今回は、この暴落というものが世間で言われているような、貿易戦争や米政府閉鎖ではない、ということの話をしたいと思います。加えて、この反省をもとに今後、どのようにマーケットを個人的に注意してみていくかを見ます。
今回の暴落の要点
①ムニューシン財務長官の夏の発言「年末には株価はピークを迎えるだろう」
②絶対値でみればアメリカ経済の成長は盤石だが、相対値でみると去年よりも成長していない
③年末のパターンに固執しすぎた
上記①~③が個人的には今回の暴落の要点だと思います。②と③に関してはいままで、かなり説明をしてきましたので今回は①に関して説明をしていきたいと思います。
夏のムニューシン発言
こういう記事が氾濫をしていますが、ムニューシンさんをトランプさんがクビにするようなことはあり得ません。なぜなら、ムニューシンさんは今年、ないしは去年、減税政策を達成した立役者だからです。
トランプさんご自慢の税制改革は、ご存知のようにアメリカは巨額な財政赤字です。それを仕切ったのは、ムニューシンさんであり、ムニューシンさんがクビを縦に振らなければこの減税政策は実現しなかったでしょう。
その手腕をきちんと知っている人は知っていますし、また、この財政赤字の最中に減税を達成したのでトランプさんの信頼は厚いと考えるべきなのに、なぜこのような記事が出るのか私には理解不能です。いかにメディアが何も考えずに情報を垂れ流しているのかわかる記事だと思います。
この減税を達成したことによって、私もそうでしたが、過度にムニューシンさんを信頼しすぎたことが今回の暴落の原因だと思います。夏の発言をネットで探したので見つけることができませんでしたので概要をお話しをすると、アメリカは年末に向けて好調になるだろう、と発言をしたのです。
この発言を真に受けて痛い目にあったのがソフトバンクモバイルでした。つまりソフトバンクとしては、株価が高いときに、株式を公開したいので12月にソフトバンクモバイル株の公開を決定したのです。
これは以前に将棋ソフトAIのHEROZ(4382)をご紹介しましたが、あの株は初値が50万円弱、4月公開で現在は1.2万円です。何パーセント急落したのかの計算をすることも面倒くさいくらいの暴落です。
ソフトバンクモバイルはまさにこのムニューシン発言を受けて、12月に設定したのでしょうが、大失敗になった理由はそういうことです。
私もムニューシン発言を、信用していましたので、ここのコラムでも何回もご紹介していますし、また、結果、いつもこうなっているから、ちゃんと見なければダメだよ、と言っていたと思います。
おそらく夏の時点で、FRBが利上げすることにトランプさんは、何度も抗議をしていましたが、そのときムニューシンさんは、国債の需給には問題がない、と発言をしていたのです。
要するに拡大する債券発行と、そしてFRBのQE停止で余剰に債券がFRBから売り出されることによって長期金利が急騰した、というのが今回の暴落の原因だと思います。
トランプさんがFRBを非難するのは政策金利上げによってQEで再投資をしていたFRBが保有の債券を放出していることにトランプさんは文句を言っているのです。
債券の需給が緩和してその結果、金利が上昇することがトランプさんの言いたいことだと思います。ですから、パウエル議長のことを非難しても、それは前任のイエレンが決めたことであってパウエルには責任がないというのが真意だと思います。
話が逸れますが、トランプさんが金利を上げるな、と吠えることは結局、ドル安にしろ、と騒いでいるのと一緒のことです。今後、日米の経済格差が開くのですから円安には長期的にはならずにひたすら円高になるのに、なぜ、円安と騒ぐのか私には全く理解できません。
元に戻せばその信頼できるムニューシンさんは夏に①アメリカ経済は年末には今よりもよくなっている②減税によって債券の需給には問題がないと言っているのです。
現在の金利、債券の動きをみた場合、②に関してはムニューシンさんの言った通りになっています。しかし①は多くの人に関係があり、この発言を聞いて株を買った投資家は非常に多いと思います。
これがクリスマス前まで続いた「換金売り」の原因です。要するに10月に急落した時点で多くの人が株式を買い増ししたのですが、年末になって上昇しないのでみんな一斉に諦めただけの話です。
ムニューシンさんの無念
ムニューシンさんは就任以来、その発言の正確性に注目していたのは私だけだと思っていたのですが、そうではなかった、ほかの多くの人たちが彼の発言に世界が注目していたことが今回の件でよくわかりました。
わかった事実はほとんどの投資家はメディアの垂れ流し報道なんか信用していない、というのはよくわかりました。
これは、今年の2月の報道になりますが、ちょうど、そのときに株価が急落し、ダボス会議前にコメントを求められたムニューシン長官は、いつもの定番のコメントのようにアメリカの国益はドル高であり、と従前から言っていたことを言っただけなのに、メディアはその発言を捻じ曲げて、財務長官ドル安を是認と報道して、余計に円高になったという苦い思い出があるともいます。
参考までに、私はこのときにトランプさんがドル高転換発言を行ったことを何度も、何度も注意喚起をしたと思います。ただし、そのときに、2月からドル高になるのではなく、4月からだよ、と何度もここで書いたはずです。
つまり2月の株価急落時に、自分の発言が世界に向けて、間違った発信をされ、その結果、自分の思惑と違う方向に向かったことの反省から、それ以降、メディアに向けてはアメリカの国益はドル高といういつものいつも通りの発言を辞めた時点から、彼の発言に世界の投資家は注目をしたのです。
その中の一つに年末までに株価は今以上に上昇するだろうというものがあったのです。おそらく、自身のこの発言に今回も大きな反省をして、今後、また発言の内容を変えてくることでしょう。
参考までに、アメリカの財務長官というのは、主な仕事はアメリカ国債の発行で、財務長官の責任の一番重いものは、国債の市況を安定させることです。
つまりムニューシンさんは国債の専門家であることは間違いないことですが、株に関しては門外漢になるということでしょう。その門外漢の言葉を信用した世界の投資家や、私は単なるアホであった、というだけです。
本日はレッドブック
このレッドブックはここ数日解説をしたように、これが上伸しているか否かによって年内の相場が決定します。すなわち戻るということです。消費がアメリカは一番良いのですから、その数字の好調さが確認されれば、株価もドルも戻ることでしょう。
ただ、ここ数日、私の友人と何人かと話をしましたが、年内の株は、今年儲けた分の株の損切りを出して、税金をタダにすると言っている人が多数になります。
つまり、上昇しても揚げは鈍くなる可能性が大きいです。そして、株価が下がったので可処分所得が減ったので、しばらくはぜいたくできない、と言っていることです。
このような心理要因がレッドブックに影響するか否かも注目になります。株価が下がると不景気になるというのはこういう意味なのですが、それをわかっていない人があまりにも多すぎます。
(この記事を書いた人:角野 實)