おはようございます。連日、アメリカ大統領のトランプさんがFRBパウエル議長を攻撃しています。私にはトランプさんが何を意図しているのかがよくわかりませんが、現時点でわかっていることを解説していきたいと思います。
そして、なぜ、私がイギリスに楽観を示すのか、そのほか、マーケットについて、疲れていなければ書きます。きょうも文字数、相当オーバーするのだろうな、と思います。
連日、ツイッターによるパウエル議長攻撃
何度も、何度も利上げが見込まれるFOMCでトランプさんは、パウエル議長に利上げを仕掛けるな、と攻撃をしています。まず利上げをすることによってトランプさんが恐れることは経済学では一般的に以下のようなことになります。
①利上げをするということは、今後、物価が上昇するという意味になります
②物価が上昇すれば、トランプさん、並びに共和党などの政権支持率が下落する
③物価上昇すれば、企業はそのコストアップができないために従業員を解雇する傾向にある
④故に、利上げは現在のアメリカ完全雇用状態と高給料水準を壊す可能性があるので利上げをするな、という。
これに対して、パウエル議長の主張は一点のみ。中立金利と政策金利が乖離をしているから、それを修正するために今回、利上げをするということです。どちらの言い分も、わからない方が大多数だと思いますが、もっともな両者の言い分です。
トランプさんのツイッターの注目点
トランプさんはきのうのツイッターで以下のように書いています。「ただでさえ、流動性がない市場をさらに流動性をなくしてどうするのだ、市場を感じ、無意味な数字を見て判断するのを止めよ、幸運を祈る」とあります。まず、驚きなのが、トランプさんがFRBの政策金利上げに伴う、オペレーションを理解していることです。
通常、歴代の大統領はたいがいの場合、経済音痴で私は今までの大統領の中で経済に精通している大統領なんてみたことがありません。流動性についてこれだけ言及できる大統領はそれほどいないであろう、と思います。
そして「市場を感じろ」なんて、まさに相場師のようなことを言っていますね。アメリカ債券の値動きをみている人はおわかりになると思いますが、アメリカ債券の流動性不足はどうしようもありません。
要するに値がつかない時間帯が多すぎるということです。この市場の流動性というのは、FRBのQEの停止について言っているのです。
つまりリーマンショック以降にFRBは大量の債券を購入し、その市場流動性を確保してきました。しかしこの債券の再投資の停止(QE停止)に伴い、債券市場の流動性は極端に低下をしています。
FRBが利上げをする場合、債券市場の金利を調整するために、今回の場合は利上げですので、FOMC直後に債券を売却して誘導金利に金利を近づけようとするのです。
この場合、応分の買い手がいない場合、また、流動性が不足するのです。ここのサイトには、経済学者や博士課程の人間もみていますので、言ってやりますが、こんなことも知らない奴が9割です。
こういう中央銀行のかんたんなオペレーションも知らずになんだ、かんだと偉そうなことを言い、そしてトランプさんを批判する、バカじゃないの、としか思いません。
トランプさんのほうがよほどわかっている、ということです。もう書くのが疲れてきてしまった。要するに、トランプさんは、FRBの政策金利上げによって起こる債券市場の流動性不足を心配しているのです。
FRBはQEを停止したのですから、その保有している債券を売却します。しかし、その売却に応分の買い手が出てこないので、金利が上昇をしやすいことを嫌っているのです。前回の利上げ後の金利上昇も、この流動性不足のせいだ、と指摘しているのです。
ところが、パウエル議長は、中立金利と政策金利が乖離をしているから、政策金利を上げると言っているのです。ここが対立点になっているんだ、ということを私が解説をしているのです。
モーサテのコメンテイター陣、わかったか? おそらく、あのコメンテイター陣のほとんどがこのブログを読んでいます。私が間違いだ、と指摘をしたことはすべて、言わなくなる。
意味が理解できない人がほとんどだと思いますが、そのくらいこの文章には価値があるということです。今度は原油の人がターゲットになるから(笑)。そしてトランプさんは18日のWSJの社説を読め、とも言っています。
理解できない人も多いと思いますし、有料ですので読めない人も多いと思いますので概要の説明をします。
①アメリカが今後、インフレになる可能性が少ない。ゆえに利上げをする必要はない
②中国、欧州の景気減速は明らか。そのときに利上げをするのは愚の骨頂
③労働コスト上昇による「コストプッシュ型」インフレが起こる可能性も少ない
④過去のFRB政策とは明らかに違い、過去の間違いを起こす可能性は少ない
具体的にはグリーンスパン施政下において低金利を放置した結果、金、原油などのインフレを招いたが、現在は金も原油も急落をしている。ゆえにインフレが起こる可能性は非常に少ない。
以上が論旨になります。つまり、FRBが12/20に政策金利上げを発表する理由はほとんど存在しない、ということです。ここで注目するのはトランプさん自身が、欧州、中国の経済が減速をしているということを認識していることです。
しかし、他方で中国や欧州が減速しているのであれば、その追及の手を緩めるのに、華為を筆頭にその追及を緩めようとしていないということです。
その原因は貿易戦争であることは当然、当人も承知していることでしょう。なぜなら、世界2位と3位の経済減速はアメリカ経済の減速をも意味しますので、自国経済が悪化するリスクを考えると欧州や中国に対する追及は自国経済を毀損するのですから、通常は緩めますがさらに過激に追及をする、要は、トランプさんはアンフェアな貿易慣行を是正するためには、自国経済の景気後退も辞さないくらいの本気だ、ということが想像できると思います。
要するに年明けの日米交渉や今後の米中交渉は相当、長引くことがわかると思います。そして彼の特徴として、就任前から、言っていることはアンフェアな貿易慣行と「為替システム」を問題にしているのです。
つまり、貿易慣行は今、取り組んでいますが、残っているのは、「為替システム」です。この貿易問題と、為替システムの変更は間違いなく近々に起こることでしょう。なぜなら、彼のやりたいこと、アメリカファーストは、アメリカの経常収支赤字を改善することによって達成されるからです。
財政は、減税によって、赤字拡大、貿易もリーマンを除けば過去最大です。去年の経常収支の赤字は2.7だったので、2018年の経常収支の赤は私が少し考えた結果(決して計算したわけではない)は、3.5になります。トルコの経常の赤が5.5ですからそれに匹敵するような赤で、経常の赤だけをみれば、新興国並みです。
為替システムの変更は何をやるか、といえば、これらの問題を解決するのは、プラザ合意のようにドルを切り下げるか、ウルトラCで金の価格を引き上げるほかないのです。
だから、中国、ロシア、インド、トルコ、メキシコなどの新興国、第三世界は金の買い付けを必死になって増やしているのです。これだけ借金の多い、日本やアメリカを誰が信用するのでしょうか?
しかし日本もアメリカもますます、借金を増やして、予算を拡大している、やっていることが破綻に向かってまっしぐら、国を思う気持ちがあればこんなことはやらないはずですが、平気なのは、こういう背景があるのであろう、と思うのです。
私が万年「円高論者」の理由を少しだけ解説したつもりです。最後のほうは詳細の解説を書くのには、字数がオーバーしすぎですので、割愛。
イギリスについて
イギリス下院にて内閣不信任案が提出されました。この内閣不信任案が可決されても、法的拘束力はありませんのでメイ首相は辞任、解散総選挙はしません。私は、見ていませんが、また、出鱈目な解説を書いている奴がいっぱいいるのだろうな、と思うのです。
さて問題は、今後のイギリスの選択肢とその可能性を書きます。
①メイ首相の解散総選挙 × 本人が辞めないと言っている
②メイ首相の辞任 × 本人は2020年まで続けると言っている
③ブレグジット案の議会通過 × 勢力的に可決する訳がない、修正案も同様
④国民投票 ○か▲
労働党も保守党も合意なき離脱はない、と明言しているのだからどこかで妥協すると思っています。それがクリスマス前になるだろうと予想しましたが、すでに既報の通り、1/20頃に修正案の可否を可決することになっています。
上記の可能性の選択肢では、④しか選択肢がないのです。だから、最終的に④になるでしょう。ただ、その国民投票を行う場合には、ブレグジット延期でしょうね。
EUは、離脱をするか、しないかの二択だ、と言っているのです。修正案は認めないと言っているのです。となると最終的なゴールなんて、もう見えているのです。
やっぱりやーめた、というのがロジカルに考えるとここに帰着するほかないのです。労働党が政権をとったらとか、現時点でありえないことを論じているアホや詐欺師は、消えてくれ、という意味はわかりますか?
今のFX動向
疲れたから一言。毎年、同じパターンなのにやたらと喧伝するアホがいる、バカじゃねーのとしか思わない。私は去年のチャートをみていませんが、見なくてもどうなるかわかっている。
アホが弱気を宣伝している。バカ、としか言いようがない。きのうも書いたようにクリスマス前後には小売が劇的に回復して、またあがると思うよ。きのう書いた意味が全く理解していなかった人は反省するように。
あー疲れた。じゃ、年初はどうなっているんだよ、ということ。トランプさんが利上げに反対する理由をもっと考えよ。利上げは一瞬のドル高、利上げすんな、ということはドル安を容認しているということ。少しかんがえりゃ、わかることを考えない、アホだよ、としか言いようがない。
(この記事を書いた人:角野 實)