貿易戦争は、アメリカの貿易比率は5パーセント程度、日本は15パーセント以下だから経済に与える影響は少ない、と断言する専門家が跋扈をしています。
実は、この数字の真偽は私も確かめていないので定かではありません。しかし、言えることは日本とアメリカ「だけ」は世界でも特殊な国なのです。貿易比率が10パーセント程度なのは世界でも、日本とアメリカだけなのです。
結論的にいえば、日本とアメリカにとっては貿易が経済に与える影響は大きくないのですが、ほかの国は軒並み20パーセント以上なんだから、大いに関係があるわけです。
本日はヨコの関係からこのことについて考えていきたいと思います。
中国とヨーロッパ
今週に入って、改めて、中国経済とヨーロッパ経済の不振が明らかになっています。
■中国製造業PMI
景況感指数は50が基準です。基準というのは景況判断が50を境に良い、悪いを判断することになりますが、もうすでに50すれすれの状態です。2015年のチャイナショックよりはまだましな状況ですが、今のファンダメンタルズをみていると、50を割るのも時間の問題です。
■ドイツ製造業PMI
ドイツのPMIも悪化中になっています。本来は貿易を取り上げようかと思いましたが、よいグラフがありませんので諦めました。ここでよく考えていただきたいと思うのですが、中国は世界2位のGDP大国。そしてユーロはアメリカと同規模の経済になります。ユーロの中で一番、注目されているのがドイツです。
以前から私から言うようにドイツが没落するというからフランスではないか、と思う方も多いと思いますが、フランスもドイツに引っ張られて悪くなっています。
要するに世界の3位までの国、経済圏の1位と3位が悪化しているのに、世界経済が悪化しない訳がない、ということなのです。ただし、日本とアメリカは貿易の比率がほかの国よりも貿易依存率が非常に低い、珍しい国ですので、ほかの国よりも大きな影響を受けないのです。
だから、株価が上昇をしているからといって、景気がよい、というのは私からみれば不可思議なことであり、現状はIMFや世銀が言うように世界の景気は後退中なのです。
世界的な金利上昇は何を意味するのか
10月にアメリカ株が急落をして、現在も金利の急騰が続いています。
■アメリカ10年物金利
ヒストリカル10月と同じ水準に金利がなっているのに、株がまだ高い、というのはどういう意味なのだろうか?と思うのが普通です。
しかし、この金利水準にて、専門家と称する人たちは、まだ株が高いと騒ぎます。それが仮に事実とするのであれば、10月の株価急落の原因が金利の急騰ということがウソだと言っているようなものです。
時間の経過に伴い、その、金利上昇に企業が耐えられるようになったという説明もできますが、たった1か月で?と思うのが普通です。そこで、いま、問題視をされているのが、アメリカの設備投資が減じていることです。設備投資というのは何度も言うように、経済指標の先行指数です。
経済指標のサイクルというのは、「企業⇒家計」のように流れるのです。
現在は消費者信頼感指数が過去にないような急騰ぶりですので、この消費好調を背景に企業が設備投資を増やして増産するのか、が今後の焦点になる、と以前に話をしました。
現在、企業の設備投資は、確認のしようがないような状態なのですが、在庫は増えています。この在庫のとらえ方というのは非常に難しく、年末商戦に向けて在庫を増やしているのか、それとも、消費が現在進行形で増えていないのか、のどちらかの判断になります。
ここで結論を出すのは非常に難しいものです。しかし、同じ、先行指標である住宅関連のファンダメンタルズの減速が非常に際立っているのです。
金利が急騰しているのですから、ローンを組んでマイホームを建てる人が減るのは当然のことです。この住宅関連が低くなっているのですから、設備投資が減っていると判断するのです。
くわえて、ドイツ、中国経済を筆頭にGDP大国が経済減速をしていて世界経済が、まだ、まだよくなるというのは、ちっともロジカルではありません。
では、今後は
日本やアメリカは貿易の影響をうけにくい国になります。したがって日本に住んでいると貿易の不振から、世界経済が減速をしているということは実感しにくいものです。
ついでに言うと、小学校のときに学習する日本は加工貿易国というのは、もう、すでに時代遅れの学習であり、日本は内需の国だということは理解できたと思います。
世界の1位(ユーロ圏)、3位(中国)の経済が減速をしていて、なんで今後も経済がよくなるというのでしょう。不思議ですね。参考までに2015年は、チャイナショックだけで、あれだけの円高、株安になったのです。
そしてブレグジットと大統領選挙で、追いうちをかけたのです。具体的にいえば、私は円高だと思いますが、年末までアメリカ株は大きな急落はないと考えています。しかし、年明け以降は、中国の不振がピークを迎えることでしょう。
つまり2015年のチャイナショックのようなことが起こると踏んでいます。日本の株価は、上場企業で中国関連を稼いでいるところが多すぎますので、現状の株価は高すぎる、でも、アメリカ株の影響も受けるので難しいこところです。
為替に関しても同様で、中国人民元安は、折に触れて進行をすることでしょう。この人民元安が進行するということは、ドル高、結果として円安になります。しかし、世界の人が中国やドイツが悪いということを認識したら一気に元安、円高が進行をすると思います。
何度も言いますが、アメリカ株は年末までは好調という観測は、変わっていません。しかし、4月から大幅なドル高になっていますので、物価はドル高で半年後の10月から上昇しなくなります。つまり金利もピークアウトしている、と考えています。
政治の部分でトランプさんが新たな減税策をぶち上げなければ素直に下がると思います。しかし、国債先物の納会がまた今月末にあり、ファンドは大量の売り越しです
。となると、限月乗り換えの買い
戻し、新規売りがまた起こることも注意が必要です。そして、思った以上に債券が下がらないことからアンワイドも発生すると思います。
戻し、新規売りがまた起こることも注意が必要です。そして、思った以上に債券が下がらないことからアンワイドも発生すると思います。
債券トレーダーが大損するような場面だと思います。要するに円安になる要因など、今後はあまりないのです。私は、きょうからまた再び売り初めています。
(この記事を書いた人:角野 實)