おはようございます。きのうはECBやトルコ中銀の金融政策決定会合があったわけですが、トルコ中銀の3パーセント利上げ予想が6パーセント超の利上げには驚くほかないと思います。今回は、このような不透明感の中でのドル円の動きを解説していきたいと思います。
アメリカ金利市場の動向
先月末にアメリカ国債30年物納会に関してファンドの乗り換えがあることから、金利が上昇すると書いてまいりました。その後はまた、金利が低下をしていくであろうと予想をしていましたが、実際は、金利は上昇していったままになりました。
おそらくこの動きは、ファンドがアメリカ国債を大幅に売り越しており、その関係でポジション調整が長引いた結果になるであろうという可能性と、世界との貿易摩擦の結果、物価が上昇している可能性があるのであろう、と可能性は2つあると思います。
ただ、アメリカの金利上昇に伴い、ドル円もアメリカ債券需要が増えることから円安方向になっていったと考えることが妥当になると思います。実際にユーロドルに関しては、ドル安方向になっており、通常であればユーロドルがドル安方向であればドル円は円高に行くということに反しています。
これはアメリカの金利上昇に伴い、日本からのアメリカ債券需要があることから円のドル転が進行した結果になると思います。そして、いつものようにアメリカ金利上昇が止まれば円高に反転をする可能性もあります。
アメリカ金利動向
先ず、金利の動向を決定する物価の動向になりますが、きのう、おとといと卸売物価指数、消費者物価指数と発表されています。
上が卸売物価指数、下が消費者物価指数(インフレ指数)となり、どちらも7月の物価は下がっています。この下がった原因は、今年の場合、1-3月までドル安になっていましたが、4月からはドル高に転じています。
日本は円安で物価が上昇し、円高で下がるのと同様、アメリカもドル安で物価が上昇、ドル高で下落になるのが基本線になります。4月からのドル高によって、卸売物価指数というのは3か月遅れで反映されるのが通常ですから、7月から卸売物価指数が減価に転じるのは理論通りになります。
消費者物価指数の場合は約半年遅れになりますので、この数字は今年1月以前の数字を反映したものになります。1月以前まではドル高でしたので物価が下がるのもやはり理屈通りになります。
今後は2月以降の数字が反映されますので、卸売物価は下がるだろうけど、消費者物価は上昇に転じるのであろうと予測することができます。
この場合、消費者物価が上昇してもお給料も上昇していますので問題はない、ということになります。これがお給料が横ばいか下がり気味で物価が上昇すると問題ありになるということはおわかりになると思います。
物価動向が金利に影響を与える
要するに、7月の消費者物価や卸売物価が下降しているのですから金利は多少、下がらなくてはいけないのですが、ここ数日は金利は上昇しており、理論通りに金利は動いていないことになります。
個人的な意見としては、おそらく国債金利市場はモメンタムの影響を受けただけの話であって、今後、金利は低下していくものと予想しています。
つまりアメリカの金利市場が下がるようになれば、いつものようにドル円は反転し、円高ドル安になるということです。これはユーロドルの方向性と一致することになります。
ただし、中国の人民元安がいまだに一時期に比べると、軟化をしているとは人民元安が訂正される気配をテクニカルでは感じることができません。
本日、中国の経済指標の各種発表になりますが、それによってまた考えればよいと思っています。人民元安であれば、ドル高なのですから、これが解消をするまでは本格的なドル安にはなりえないだろうというのが現時点での予想になります。
株価と金利、ドル円
ここ数日、イライラしていたのは株価が下がらない所為であるのは私自身がよく承知しているのですが、見事なほどに下がりません。
今朝の外電というのは、ドル安の結果の株高なのですが、本来であれば、本日の入電は下げで入ってくるのがセオリーだと思います。一度、撤退するほかないな、と思います。
しかし、企業の収入減である卸売物価が下がってきていますので、これで企業業績が良くなるとは思えず、どこかでまた売りは仕掛けなければいけないと思います。
やはり去年も衆議院の解散総選挙によって大きく曲がりましたが、私にとって選挙は大きな鬼門なのかな、とも思ったりもします。選挙に売りなし、という自分勝手な格言ができそうな気分です。
(この記事を書いた人:角野 實)