ムニューシン財務長官は、いつものように、判で押したように「アメリカは強いドルを求める」と就任以来、言い続けていることを繰り返し、トランプさんの放言の説明をG20の会議中にしました。
メディアというものは、面白ろ、おかしく伝えるのもメディアの役割なのですが、よくよく考えれば、トランプさんは、大統領就任前からドル高に対しての持論は今と同じような意見であって、いまに始まったことではありません。
大統領報道官は、以前から言っていることを大統領は繰り返し言っているだけで、特段、目新しいことを言っている訳ではない、と以前コメントをしています。その通りだな、と思います。
中国はどうなのか?
麻生財務相との会談で中国は「意図的に人民元安を誘導していない」と明言したとのことですが、誰がどうみても意図的に元安にしているでしょう、と思うと思います。
中国の通貨当局はこれを意図的ではない、というのであればどういう解釈でいるのかと考えた場合、こういう解釈しか成り立ちません。国際合意の中で、元安誘導を行っただけの話であって、中国の通貨当局が意図的に人民元安を行ったのではない、という風にしか解釈ができません。
結局のところ、トランプさんが、このドル高の状態で政策金利を上昇させると、景気が停滞する可能性がありますので、適当に言い放題に言ったのか、ロシアの疑惑を解消させるために言ったのか、または貿易摩擦の解消のためにブラフとして言ったのか、のどれかの選択になると思います。
個人的には貿易摩擦解消で有利な立場に立つために、金利と通貨問題をわざわざ、G20前に言ったのだと思います。ただし、以下のブルームバーグの記事からもあるように、ロシアの国債売却も数量的には大きな額ではありませんが、これも関係しているのかな、とは思います。
また、アメリカ国内の金利上昇とドル高によって、経済指標の何かが悪化をすることを踏まえて、これらの発言をしている可能性がありますので、注意が必要だと思います。直近の主要な経済指標はGDPになります。
これは4-6月のもので、この間に大きくドル高に動いていますので、4-5パーセントという驚異的な成長が起こるか、どうかは非常に懐疑的です。どうもなんちゃってアナリストさんたちはこのドル高の傾向を軽視する傾向があり、ドルの転換が起こったときはいつも、このGDPの数字が外れています。
ただし、最近は各連銀が、GDPの予測値を発表しており、その結果を反映していますので、一概に外れていると断言するのも違うのかな、と思います。ドル高になると、成長が鈍化をする、といつも言っていることを忘れないでください。その上に金利が上昇すれば景気は鈍化をします。
テクニカルの観点から
日足ではドル円はやりすぎと出ており、戻りは急速になりそうな感じもします。しかし、1時間足や4時間足でみると、この戻りには、時間がかかると出ており、なんとも言えないよね、という感じです。
ともかくこの円高の流れを底値固めしなければ,時間足ベースでは戻りそうもない気配になります。
ただ、週末の足では、すでに止まりつつある足を示現しており、あとは、誰かが余計なことを言わないことだけなのかな、と思います。「日足はやりすぎでしょ」としか思えなく、わからないというのが本音になります。
(この記事を書いた人:角野 實)