おはようございます。トランプ大統領のツイッターでの発言にマーケットが翻弄されています。ただ、これはテクニカル分析でのランダムな動きに過ぎないと判断をしています。
今回は、ご質問をいただきましたので、その回答と、もう一度、おさらいをしてまいりましょう。
【詳しい質問内容はこちら】
質問なのですが、ムシューニンはドル高発言をし、今回、ムシューニンの上司のトランプは、ドル安発言およびFRBの利上げについても非難していますが、米国の為替政策は、「ムシューニンのドル高」と「トランプのドル安」のどちらの考えに基づいて行っているのでしょうか。もうさっぱり、米国の為替政策がわかりません。
質問なのですが、ムシューニンはドル高発言をし、今回、ムシューニンの上司のトランプは、ドル安発言およびFRBの利上げについても非難していますが、米国の為替政策は、「ムシューニンのドル高」と「トランプのドル安」のどちらの考えに基づいて行っているのでしょうか。もうさっぱり、米国の為替政策がわかりません。
アメリカの方針
トランプさんは常々「ドル高になるとロクなことがない」と発言しており、ドル高にはしたくないのが、特に選挙を控え、本音であろうと思います。一方でムニューシン長官は、年初からの減税政策によって債券発行が増えるので一貫して「ドル高」と発言し続けています。
これは記憶に新しいことですが2月のダボス会議での記者会見にて、ムニューシン長官はドル安誘導発言をしたとして一斉にドルが売られたことがありました。
もちろん、この会見の趣旨からすれば、この報道が間違いそのものであり、後にまた記者会見をしてドル高の確認をしてマーケットが落ち着きました。ムニューシン長官は、アメリカ債券を発行するトップの財務省長官であり、そのアメリカ国債の価値を毀損するドル安容認発言などするわけがありません。
海外投資の鉄板の法則は「外国に投資する場合、その国の通貨が安くなる見込みの国には投資をしてはならない」という鉄則が存在をします。つまり、年初からのドルはずっと下がり続けているのですから、まともな投資家はアメリカ国債には投資をしてはいけない、ということになります。
それを忠実に実行しているのは中国であり、年初に今後、アメリカ国債を売却する可能性とリークをし、アメリカ政府に暗にドル安にするなよ、とけん制をしています。
どんな投資家であっても、その国の通貨が安くなる見込みの国に投資はしてはいけません。ドルは年初113円から105円まで下落をしたのですから、中国にしたら、アメリカ債券は売却対象だったのです。
つまり、1月下旬から2月にかけてトランプさんがドル安政策からドル高政策に変更をしたのは中国政府を意識したものだと考えられます。
その方針は現在でも変わっていないと推測されます。なぜなら、トランプさんは第二、第三の減税についてしばしば言及し、その財源は国債であるのは当然の話です。
その買い手というのは日本や中国なのですから、ドル高にしなければアメリカ債券を気持ちよく日本も中国も買ってくれません。おそらく米露首脳会談において支持率を落としたトランプさんは目先の視線を変えるために米露問題から貿易問題に目そらさせようというだけだと思います。
最近は、特にドル高の進行が早いのですから。そして為替操作国として、ユーロと中国を意識していますが、なぜか、日本については言及していません。
おそらくシンゾーは忠実にアメリカの言うことを聞いてくれていると認識しているだけの話でしょう。つまりいくら口先で、ドル安と騒いだとしても、今後、自分のやりたい政策を続けるためにはドル高にするほかないのですから、結局は、ドル高に回帰するほかありません。
単に、経済がこれだけドル高になればどこかで失速する懸念、そして月末発表のGDPが異常に良い数字になることによって、FRB政策金利上昇が見込まれることから、早いペースのドル高に警戒をしているだけだと思います。
現状ではアメリカのドル高を止める訳にもいきませんし、貿易問題も衝突するだけ衝突するのではないか、というのが妥当な見方だと思います。
来週の展望
来週のアメリカ国債入札は、通常、月曜、火曜に入札を財務省は終えるのですが、来週は月曜から木曜日まで毎日のようにアメリカ国債入札があります。
中国としては貿易問題を回避するために、できるだけ多くのアメリカ国債入札をしたいのですから、同じ予算で多くアメリカ国債を買うためには、人民元安にすればいいだけです。
それが20日の人民元の切り下げになるのです。本来、株価は上昇しなければいけないのに、なぜか株価が下がってしまったのは想定外でしたが。
トランプさんとしては、もっと中国にアメリカ債券を買ってほしいという思惑があるだけですから、貿易の関税障壁をもっと上げるためにけん制をしているだけの話だと思います。
ただ、あまりにも、中国がアメリカ債券を買いすぎると、アメリカ国民は中国に借金を返済するために働かないといけなくなる、そしてそのお金でアメリカの資産を買い占める可能性もありますので、安全保障の問題だ、と言っているのです。要するに、茶番にマーケットがお付き合いしているだけの話です。
ムニューシン長官の発言をメディアが2月に勝手にドル安容認発言と仕立てあげ、実際、マーケットもドル安になったのですが、それと同じようなことが起こっているだけだと個人的には思います。
ともかく、アメリカがドル安に変更をするということは諸所の事情からできないのは確実なことであろうと思います。そしてアメリカ債券の入札がある場合には、なんだかいつも大きく円安になるな、というのが感想です。
(この記事を書いた人:角野 實)