テレビや報道をみているとFRBが利上げをすると騒ぎます。私からみれば、今回のPCE価格2.3という数字はFRBの目標を上回っていますが、この数字というのは1-3月にドル安によってもたらされた数字になります。
4-6月はドル高で推移をしたのですからこのPCEやそのほかの物価指標というのは下がる、とわからないのかな、と思います。要は、債券の価格は上昇して、金利は下がるということになります。こういった間違いのコンセンサスはいい加減にしてくれ、ということです。
貿易摩擦は拡大する
このコラムを読んでいる方にとって、貿易問題というのが、拡大すると思っていると思います。何度もご説明をしたように、トランプさんは経常収支赤字拡大を念頭にさまざまな政策を実行しており、貿易もその中の一部です。
要は7/6の対中制裁というのは直前で回避をされるとみている方が非常に多く、面倒くさいな、とは思います。マクロ的にはこの米中貿易や日米貿易の金額は極めて些少になるので影響が少ない、と言っている方も、間違いで、特に日本の場合には、影響が大きいと思います。
この貿易問題というのは、今の時点で私の考えは、予告している制裁はたぶん発動されると思っています。
おまけに週末にFOXテレビのインタビューでトランプさんは、法人税や個人向け減税の恒久化を発表しており、この経常赤字拡大の中のまたもや、拡大の材料があって貿易戦争を回避しようなんてつもりは、トランプさんにはないでしょう。楽観しすぎです。
要するにアメリカは、アンフェアということを嫌いますので、対米貿易相手国には関税を課すけど、ドルを切り上げるからその関税分は実質ゼロになる、ということになることをみなさん理解すれば、自動的に円安になるということがわかると思います。
この辺の円安になるというロジックが、円安主張派の中で、明確に指摘している人はいない、というのが感想です。
みんなアメリカの金利が上がるから円安とか騒いでいますが、上記に示す通り、これだけドル高になれば物価なんて上昇するわけもなく、秋には再び物価が下がってくるでしょう。となると、9月の利上げはなし、という可能性が高いのです。
マークイットPMI
アメリカではISMの工業指数が予想外に良い数字で、アメリカの景気の良さが確認をされています。今回は、紙面の都合でマークイットのPMIを解説したいと思います。
マークイット社の総合PMIというのは全世界の国のPMIが発表され、日欧は毎月第1営業日に発表になります。PMIというのは大丈夫だと思いますが、購買担当者指数のことで、この指数は、かんたんに言えば、世界最速の景気先行指数と思えばいいと思います。
景気の転換にはその反応の速さはやはり一番のスピードです。2月の株価の急落も、これをみていれば対処ができた、ことになります。こういうことを書けば、この指標がいかに大切か、お分かりになると思います。
アメリカPMI
ユーロPMI
どちらも下向きになっており、アメリカが56に対して、ユーロが54.8です。要は、どちらも景気が下降気味だけどアメリカ56>ユーロ54.8になっているのですからユーロドル相場はユーロ売りを示唆していることになります。日本のPMIはまだ、発表されていませんが、5月は51.7になります。
きのうの日銀短観が二期連続の悪化になったことから、大きい上昇は円安とはいえ、見込めませんのでアメリカ56>ユーロ54.8>日本51.7となり、GDPの序列の順番と一緒になります。
要はドル高が進行し、円安、ユーロ安になるということです。先週、円高と思っていた私はいったいなんなんだ、と思うのです。
覚えてほしいのはマークイット社のコンポジットPMIは、世界最速の経済先行指標であって、トレーダーはこの2月の株価急落を察知するのにはマークイットの総合PMIということを覚えてほしいと思います。
あのときは暴落の直前に3日で5パーセントの急騰でしたが、マークイットのPMIが株価が急騰しているのに悪化したからパニック売りになったのです。
ご質問ありがとうございます
昨日新興国通貨についてご質問がありました。
【質問内容】⇒ これから更にドル高になると、新興国通貨はどうなるでしょう?南アフリカランドがズマ大統領からラマフォサに交代して急騰した昨年末からは想像できない現状です。中国との関わりが深い南アフリカは、中国元安の流れを考えると 今より更に下落しそうですが。
新興国通貨に関しては、先ず、ドルが上昇したことから新興国通貨安ドル高から一連の下げが続いているということです。
どこもちょっと経済を知っている人は今後、円安になるということはドル高ですので、新興国から資金の流出が止まらないだろうということを叫ぶ人が多いです。
とくに6月ユーロECB理事会で、金融緩和の停止が決定しましたので年末にむけてユーロ資金が新興国から流出する可能性が高いです。そうなると、さらなる景気後退になるというのが主要な論旨になると思います。はっきりいえば、今回はこうならない、と見ています。
ただ、上記の説明ができない、という方は理解するように努めることはとても大事なのです。こういうことを理解していると新興国の通貨の動きはある程度読むことができます。
今回の場合は
アメリカのドルの正常化の流れがあります。しかし、トランプさんは年初に減税法案を成立させ、秋には再び、さらに減税を行うと明言をしています。
アメリカのドルの正常化の流れがあります。しかし、トランプさんは年初に減税法案を成立させ、秋には再び、さらに減税を行うと明言をしています。
これによってアメリカの財政はまたさらなる赤字になります。つまり、本来はドルは安くならなければいけないのに、ドル高に誘導しているのです。この財政赤字がある限り、ドルは大して上昇しないはずなのに、関税をかけることによってさらなるドルを上昇させようとしている、ということです。
それに協力をしているのが日本であって、日本の財政赤字が酷いから本来は円高にならなければいけない。でも、経済を活性化させるために、円安に誘導をしている。
本来は円高なのに、円安。アメリカも本来はドル安なのに、ドル高。意味がわかりましたでしょうか、日米両国で為替相場を操作をしているのです。とんでもない奴らなのです、安倍とトランプは。
こんなことをやって、うまくいかない場合は経済が崩壊します。だからシンゾー、ドナルド関係なのです。バカコンビです。それが気に食わない、中国は、預金準備率を引き下げて大幅に人民元を引き下げています。
この人民元安、異常ですよね。要するに、この人民元安というのは貿易では人民元安で有利に、そしてドル高によって保有の米国債の価値を高めるためにやっているのです。
この相場に対して、アメリカはいくら管理フロート制というわけのわかんない、実質上の管理相場に対して、何も文句は言いません。これは人民元安を容認しているということ、と認識もしていいでしょう。
さて、ドルは財政、経常収支に不安があり、それより財政がましな中国です。つまり基軸通貨に人民元が入ってきていると認識しておいたほうがいいでしょう。
先進国の雄がアメリカで新興国の雄が中国ドル高になれば先進国通貨は全部、通貨安人民元安になれば新興国通貨高ということになります。南アの場合はドル高ですが、人民元安。ドルは張りぼての強さ。クロス円の場合は円安になります。
この方程式を解明していくと「ドル高>人民元安」によって、ドル高は相殺されています。そうなるとクロス円の場合は、新興国通貨自体は、経済状態によって通貨の強弱が決定します。
トルコが買いなのは経済成長が年率で7.4です。南アは0.8です。新興国では異例の弱さですのでランド安。ところが、円安になりますので、クロス円は下がりにくいということになります。
これが「南アランド>日本円」か、「日本円>南アランド」になるかによって方向性が決まってくるのです。GDPで見ると、「日本1.1>ランド0.8」ですので日本の方が強いです。
ただ前期比でみると、「日本-0.2>南ア-2.2」です。難しいかもしれませんが、日本の円安はインチキだけど、数字上は、日本の円安よりもランド安のほうが進行しやすいということになるのです。
つまり安い、と言いたいのですが、日本の円安が私の言っている通り、20パーセントのドル高が進行すると、円安の影響が強いこと。そしてこれは非常に大事なことですが、南アというのはアノマリーのように1-3月の成長が悪いのです。
その1-3月のGDPが発表されるのは6月で結果、売られたのです。なぜなら、-2.2ですから。しかし4-6月は毎年回復するので、どこで底を打つのか、という問題だと思います。
GDPの発表はいつかしりませんが、おそらく4-6は8月に発表されるのでしょう。政治の状況というのは何が問題なのかよくわかりません。また、このようなアノマリーがなぜ、発生するのかもよくわかりません。ただ、南半球ですので夏場1-3月期は毎年、経済が悪いのは毎年のことです。
おそらく電力の供給問題だと思うのですが、調べていません。かなり難しい話だと思いますが、いつまでもドル高が進行すると、新興国から資金が流出するなんて思っていると見間違えるということです。
このレポートは見る人にとっては1億円以上の価値があるレポートだと思います。マークイットのPMIや、新興国の資金の流れを理解するのには、非常に有意なレポートです。
これが理解できると新興国通貨の流れがよくわかるし、マークイットをきちんとチェックすると、大きな流れはわかります。明日はたぶんお休み(笑)!
(この記事を書いた人:角野 實)