きのうは、アメリカが日本や同盟国に対して原油輸入を止めることを要求したことがマーケットを混乱させたようです。この問題は、ずっと言い続けているのですが、例によって何回も何回も説明して、この米中貿易摩擦の帰結を考えていきたいと思います。
そもそもの根幹は何?
なんども言うようにこの問題の根幹というのはアメリカの財政赤字と経常赤字です。
アメリカ財政赤字
アメリカ経常収支このうち経常収支というのは、かんたんな理解でいえば財政収支と貿易収支で成り立っています。このうち財政収支は、年初のトランプさんの税制改革、つまり法人税などの減税政策によってより財政赤字が膨らんでしまったのです。
だったら、貿易収支を改善しよう、というだけの話です。その帰結が米中貿易摩擦などのさまざまな貿易摩擦の問題になるのです。つまり、トランプさんとしては、絶対に貿易赤字を解消しなければいけないので、この問題で欧州、中国、日本に譲歩することはないな、と簡単に想像がつきます。
このことを理解している人が報道をみると、何を勘違いなことを言っているの?と思ってしまうことは確かです。要するにこの問題は、アメリカの要求がすべて通ってしまうと予想できるのです。
だから、日本も譲歩しなければいけないのです。もう、そういう帰結になると決まっているのに、ガタガタと騒いでも仕方ないでしょ、ということです。アメリカから利益を得ていた企業、個人は既得権の侵害をされます。
新聞やテレビなどはそれらがスポンサーのことがほとんどなので執拗に騒ぐのです。そういうのが見えてこないといけないのです。そして、北朝鮮と戦争をすると騒いでいたのがトーンダウンしって対話路線に向かったのは、要するに戦争をする金がない、というだけの理由だと思います。
イランは暴発の可能性を私は指摘しました。実際に、テヘラン市内ではデモや暴動が頻発しています。この暴動に我慢ができなくなったイランは何をしでかすかわからない、と思っていましたが、アメリカが先に同盟国による原油輸入の停止という報復処置によって、イランを余計に追い込み、アメリカに反抗しないようにしただけの話です。
これで、何かを仕掛けようとイランが思っても肝心要なお金がない、だから何もできない、という状況に追い込もという作戦だと思います。やっていることは、貿易と財政という双子の赤字を抱えたレーガン政権と一緒のことです。
つまり、支持率をあげるために戦争を敢行する、という選択肢をトランプさん自ら断ってしまっただけです。この結果のトランプさんの支持はどうなるか、といえば、上昇します。
なぜなら、アメリカの富裕層の不満というのは、この双子の赤字の増加の解消がずっと訴えていることだからです。アメリカ人が外国人の借金のために働くのは許せない、というのがほとんどの富裕層の主張です。つまり、こういうことは予見できること、なのです。
ドル円について
さて、世間はボーナス期です。しかし、どこを見渡しても、売り上げが上がらないと騒いでいる人が多いようです。でも、世間のサラリーマンのみなさまはせっせと、アメリカの投資信託や株を買うために証券会社に送金しているのだな、という状況はよく見えるような気がします。
だいたいこの時期に株を買って、春にうれば、毎年、儲かるのですから、当然の帰結です。結局、きのうのドル円の戻りというのは、このアメリカに送金して、そのお金がアメリカやドル建ての金融商品を買うために行われているのだな、と思わせます。
それが一巡したら再び、円高局面なのだろう、と思います。そして、その資金がアメリカ株を買うのは第二営業日以降になります。すでにISM指数は悪化する可能性のほうが高いので、安いとこを買えるだろうね、と算段がつくのです。
その日本マネーが買ってアメリカ株が反転する可能性はあると思います。ただし、日米の経済を考えると、日本は4-6月期に大幅な円安ですので、企業業績は好調になるでしょう。
一方でアメリカはドル高ですので前期ほどはよくならないでしょうね。ですから、買うなら日本株なんだよ、ということなのです。ですから、ドル円は7月の中旬くらいからまた反転するのではないか、と思っています。
(この記事を書いた人:角野 實)