今週の見通しは、いつものことですが、材料的な見通しに関してはすべて外れた、ということは私自身も承知しております。ただ、米朝会談、ECBに関しての見方についてはこう解釈すればいい、ということは徐々に話していきたいと思います。
金融緩和の状況
何も私が、ECBのことを調べていないのが露見をした形です。要するにきちんと調べていなかっただけの話なのですが、決定内容は、再投資の停止、ということでした。
ECBの決定というのはFRBをなぞる形になるのは、よく考えれば誰でもわかることです。FRBは先ず、量的金融緩和の拡大の停止を決定し、そして、金利を引き上げ、去年、量的金融緩和の完全停止を決定しました。
そして、今年はドルの正常化という道をたどっています。ドルの正常化をするために、ある程度、金利の不正常なところは見逃すという姿勢になります。
上記の表は、現在の金融緩和策の進捗状況を表にまとめたものです。このグラフでわかるように、EUと日本は、アメリカに追随して金融政策を発動させていくことになります。
これが国際協調での通貨政策であって、今回のEU、ECBの政策はアメリカの工程表通りに進めていくことになるでしょう。なぜ、ECBはイタリアの政局やドイツの経済不振、移民問題を抱えたまま、金融緩和の再投資廃止を決めたかといえば、あとの日本がつっかえているからです。
EUが金融緩和をやめなければ、日本が金融緩和の停止をやめることができなから、だけの話だと思います。おそらくECBとBOJはどちらが早く、金融緩和の停止を行うかの競走を行っていたのだと思いますが、従前の予想通り、ECBの方が早かっただけの話でしょう。
今、どこかでFRB、ECB、BOJの首脳が集まって会議をやっているようですが、この政策調整を行っているだけの話です。このような工程表は、為替が相対的なものであるが故に、各国の協力と理解が必要なだけです。
つまり、為替相場は国際協調の中で動いているという認識をもたなければ為替を理解することができない、ということです。それを金利差だの、あーちゃら、こーちゃら言う、アホが多いのはみなさんもご存知だと思います。
ユーロが安いのではない?
ECBが金融緩和の再投資の停止を決定したということは、文章で書くよりはグラフにしたほうがわかりやすいと思いますので、グラフにして書きます。
ということになります。つまり、本来ならこの決定によって「ユーロ高」を演出しなければいけないのですが、実際はユーロ安になったことがみなさんの理解を妨げるわけです。
でも、金融緩和策撤収のフロントランナーはアメリカになるのです。そのアメリカが現在、ドルの正常化に向けて走っているのです。このフロントランナーが歩みを止めると、EUや日本は歩みを一歩進めることができません。
つまり各国の中央銀行総裁は、アメリカの政策を優先するように合意ができているのです。つまり現在のG7は何をおいてもアメリカの政策を最優先にさせるという思惑ができているだけの話です。だから、ユーロが本来、強くなるはずなので、ドル高になってしまっただけの話です。
つまり、現在の状況というのはドル>ユーロになっており、ユーロの景気はいいけど、アメリカの景気はそれ以上に良い、というデータがそろっているのです。
だから、いくらユーロが良くても、アメリカがそれ以上にいいのでドル高になっているのです。だから、タイトル通り、ユーロが売られたのではなく、ドルが買われたのです。
だからドル円は円安に行くと私は言っているのです。このロジックが理解できない方はまだ、為替相場のこと、FXのことを理解していないと言えます。
なぜ、「ドル>ユーロ」になると円安になるのか、こんなのは初歩の初歩であって、早く理解することを願います。また来週から円安ババァが出てきて、訳のわかんないことを言い始めると思うとため息が出てきます。
彼女の言っていることは出鱈目ですからね、みなさん、そう認識したほうがいいでしょう。しかし、先週のモーサテのコメンテイター陣は、頭の悪い連中ばかりで聞くに堪えなかったと感じた人は正解です。私も、みているだけで吐き気がしてきました。
なんで、トランプ嫌いの感情が優先して、その感情そのままに、マーケット予想ができるのか本当に思います。好きとか、嫌いという感情は、マーケットの予測に全く必要ありません。
なぜ、プロなのに、その感情が排除できないのか、と不思議に思います。そういうところが「ど素人」だ、というのです。
(この記事を書いた人:角野 實)