アメリカ経済は好調と思うのですが、どうも理解ができない、と思うことがあります。それは、アメリカ人のお給料は今月のお給料が伸びているのに消費支出は増加しない、という現象になります。
このことをロジカルに説明できる人はアメリカにも、日本にもいらっしゃらない、こういうときに普段から専門家と称する人たちの出番なのですが、一様にみなさんわからない、とか、長い目でみれば消費は増えるとおっしゃる。それだと気持ち悪いので一生懸命、こちらは考え、調べているのですが、さっぱりその要因がわかりません。
アメリカ人の借金統計
上記はアメリカ人のクレジットの使用状況といえばいいのでしょうか、日本語には上手に訳すことができません。ここ数年、クレジットカード残高が落ち込んできています。
反対には消費支出は伸びています。個人的には、消費者側からみると、2016年よりも現在のほうが景気はいいと思うのですが、いまだに2016年の伸び率に今年は及ばない、というのが理解できません。
なぜなら、お給料は2018年のほうが、2016年よりも高いのですから可処分所得が増えているから、消費は増えるはずなのです。その要因は借金の多さに起因するのかな、と思いますが、クレジットカード残高をみるとそれほど借金をして消費をしている訳ではありません。
ただ、ここからはっきり言えるのは、アメリカの消費や景気は堅調になると思います。かんたんにいえば、このグラフから読み取れるのはアメリカ人が増えた可処分所得で貯蓄や投資を行っていると考えるのが普通だからです。
この貯蓄を行っているということはアメリカの経常収支にプラスですし、なんにせよ、借金で自分の生活が縛られるというのがなくなるからです。よく住宅ローン35年払いなど聞きますが、そんなもんで人生の過半を借金で縛られて生きるなんて私には理解できません。
これが理解できない、ということがわからない人は、がんばってFXで儲けて借金をなくしてみるといいと思います。借金がない、ということはどれだけ自由なのか、を体感すれば、借金なんか二度とするか、と普通は思うはずです。
精神的なプレッシャーがなくなり、自分の稼いだお金はすべて未来のために使える喜びというのは無上の喜びです。だから住宅ローンや自動車ローンなどは避けるべきですし、無担保ローンなんてもってのほかです。
専業トレーダーを目指すのに、現状で借金がある人は先ず、無理です。専業の人が周辺にいればわかると思いますが、間違いなく専業で借金がある人なんかいないはずです。どれだけトレードの精神的プレッシャーになるのか、なってみればわかります。
アメリカ金利と物価
先日、トルコ中銀が利上げを行いました。その結果、それを好感してようやくトルコリラが上昇をしました。この意味はトルコの物価上昇が年間12パーセント程度で、金利が今回17.25パーセントになったのですが、この金利と物価の関係ですと、トルコリラをもっていても損はないことになります。
つまり、「金利>物価」にならないと、トルコリラで現金をもっていても、損をするので、とりあえずトルコ人は他国の通貨建てで財産をもとうとするのです。これが今回のトルコリラが売られた原因になります。
要するにトルコリラが売られた原因というのは、一番の前提条件にはドル高とドル金利の先高感が前提条件にあったのですが、おまけに金利<物価だったので、トルコリラを保有しているだけでも損を毎日することになりますので、一斉にキャピタルフライトが起こっただけの話です。
4月から5月にかけてインフレ率が1.68くらい上昇し、トルコ中銀は1.75パーセントの利上げを行ったということはトルコ中銀のこれ以上、トルコリラを売らせないという意思表示になりますので、こういうことがわかる人には安心して買える材料なのです。
しかし、産業は、ボロボロですし、大統領選挙もありますので、まだ予断を許さない状況です。
つまり「金利>物価」ではないとお金が海外に流出することになるのですが、アメリカの場合を考えてみましょう。
上記はアメリカ国債の52週国債、つまり1年物国債の推移と入札状況になります。1年物金利が2.2くらいで、物価はPCE価格で2.0になります。トルコは金利<物価になったことによって、大幅なトルコ安になりましたが、アメリカは金利2.2>物価2.0になりますので資金流出は起こり得ない状況です。
その上、今週、FOMCでほぼ確実に0.25の政策金利を上げてくることでしょう。そうなると、上記の式が、「金利2.45>物価2.0」になりますので、ますます、ドルが強くなることになります。なぜなら資金流出をしないことになりますから。その上に、物価の見通しは、3-4月からドル高なのですから下がります。
ますますアメリカ人はドルを持つことによって儲かるという状態になり、私たち日本人や外国人はドルを保有することによってより豊かになるのです。
となると、アメリカの債券は、大量に販売することができ、債券は相対的に上昇し、金利は低下していく、そうなると若干のドル安になると思うのが7月なのです。
かなり難しい話ですが、かなり有用な話だと思います。この思考の組み立て方をマスターすればドルの上下動に関してかなり自分で組み立てられることになってくると思います。
となると、私のようにモーサテの評論家連中の間違い探しをできるようにレベルになると思います。今週はG7、FOMC、米朝会談ですが、これも書かなくてはいけないのを忘れていました。書くことがいっぱいあり過ぎて、何から書けばよいものか、とは思います。
(この記事を書いた人:角野 實)