トランプ大統領がツイッターで雇用統計の内容を事前にフライングして発表してしまったことに批判が集中しています。こんなことを批判しても仕方ないし、それを追及しても、おそらくはぐらかされるのでしょう。
何を言ったのか私は見ていませんが、どうせ、俺様のおかげでアメリカ経済はよくなったんだ、とでも書いたのでしょう。はい、はい、そうですか、としか言いようがありません。
しかし、好調とは予想できましたが、先週、私が予想したものと比べると結果は、個人的には釈然としません。要するに家計部門はそれほどよくないと思いましたが、好調そのもの。企業は好調であるのは正解ですが、なんか釈然としません。
つまり私が思い描いていた数字とは違うような気がするから、釈然としないのです。要するに、今のアメリカ経済というのはなんだかよくわからないけど、好調なんだろう、ということが言いたいだけです。
ほかの国の経済指標はあまり取り上げないのに、お前は、アメリカばかり取り上げると、感じる、読者の皆さんも多いでしょう。
でも、アメリカドルは基軸通貨であり、ドルの動向がわからなければ、FXの先行きなんかわかるわけがない、ときちんと理解をしている読者の方はおわかりになると思います。
たとえば、ユーロなどの下げのきっかけはユーロのイタリアにあるのではなく、ドルが高くなったから相対的にユーロが下がったのに、イタリアの所為でユーロが下がった、というのは見当違いです。
もちろん、材料の一部ではあるのでしょうが、本質的には違うと思います。きのうも指摘をしたようにこれからのイタリア経済は世論調査などアテにできないものを見るのではなく、イタリアの家計部門を中心に見るべきです。
おそらくこの数字が悪化するごとにユーロは下がるでしょうが、本質的にはドルの強さ次第です。
予想通り、結果は良かったのですが、コンセンサスの数字に届かずの結果になりました。いつものこのグラフで強調をしたいのは、ここにドル円相場を当て込んでほしいということです。そうすると、円安に行くときにアメリカの経済が落ち込んでいることがなんとなくわかると思います。
もちろん、同時にGDPも落ち込んでいるのです。そうなると、現在は円安なのですから、ドル高ということになります。ドル高時には、アメリカの経済が停滞するのですが、今回はどうなのでしょうか?
これが、今回の注目点になります。今回のISMはドル高になった4月の数字であり、それが前月よりも良い数字というのは評価できます。ただ、月の後半から急速にドル高になりましたので、5月も引き続き注視をしなければいけません。
また、ISM指数は、PMI指数と同列の指標になりますので、景気の先行指標ということもお忘れなく。
自動車販売台数
雇用統計では賃金の上昇が確認できましたから、自動車販売や住宅販売などの高額商品の販売動向に注目が集まりますが、この数字はそれほどよくない結果になります。
要するに世間のアナリストが悩む、賃金が上昇をしているのに、なぜ、消費が伸びない、ということが課題にあるのです。通常はもっと売れてもいいのに、上昇をしない、私もみて、そう思います。
誰もが思う、疑問です。今回は違う視点から。ライトトラックの売り上げは伸びていることに注目してほしいのです。全体の販売額は伸びないのに、SUVなどのライトトラックの販売は上昇しているのです。
たとえば、トヨタ自動車などは、高級ブランドのレクサスや、SUVの代表格はRAV4といい、国内で生産してアメリカに輸出をしています。このライトトラック部門でRAV4はアメリカでのかなりの売れ筋になります。
そこにトランプ大統領が25パーセントの関税をかけるといえば、価格面ではトヨタ自動車は勝負にならないのです。要するにアメリカ市場では販売量が激減する可能性があるのです。日経平均がさえない理由にはそういう理由もあると思います。
番外編、アジアPMI
まだ、いろいろ触れないといけないものがあるのですが、そのほかの指数は各自でお勉強ということでお願いします。時間や紙面があれば、書くと思いますが、書くことがいっぱいありすぎて対応ができません。ご迷惑をおかけしますがお願いします。
上記はアジア圏のPMI指数。PMIは50が平均になりますので、マレーシアはそれ以下です。このマレーシアのPMI推移をみていれば、経験則から政権交代が起こってもおかしくない、と私は予想します。
そして、実際に政権交代が起きました。日本やイタリアの政権交代よりもまともな政権交代ですが、現状の政権交代をした政権が大衆に阿ることなく、誰もが納得する政策を今のところ行っていますので混乱をしていません。
しかし、日本のようにできもしない消費税減税や無料化、イタリアではECBへの借金を減免しろ、とか言い出す可能性は大です。なぜなら、一度権力を握った連中というのは、その権力の座から引きずり降ろされないように、大衆受けが良い政策メニューを並べるのです。
要するにこれからダメになる国というのは大まかにいえば、景気が悪い国、その上、政権交代などが起こると最悪のパターンで、日本のようにデフレに陥る可能性を秘めているのです。その景気の良し悪しというのはPMIなどをよくみていれば、あなたでもかんたんに予想できますよ、ということです。
(この記事を書いた人:角野 實)