フィラルディアフィア、ニューヨーク、リッチモンド連銀の景況感指数が発表され、何れも好調なアメリカ経済を反映したものになっています。
もう一度、繰り返しておきますが、これらの連銀の指数というのは、ISM指数の前哨戦、つまり先行指数となりおそらく6月上旬に発表されるISM指数は好調な数字になるであろう、ということが言えます。
現在のマーケットはPMIなどの景況感を中心に動いており、ヨーロッパはマークイット、アメリカは各連銀指数、ISM、日本は日銀短観をファンダメンタルズで分析することが非常に大事なことです。
もっといえば、今の相場をウォッチするのに景況感指数やPMIをみていないと話にならないということです。いくら、テクニカルや内部要因を観察しても、その先行きは見通すことができない、ということです。
冬場の不振
毎年のことなのですが、北半球の緯度が上のほうが雪の影響があり、経済活動が停滞する結果、冬場の経済成長は鈍化をします。今回、北半球の先進国の経済停滞は日本もアメリカ、ユーロも悪天候のため、と解説をされています。
もちろん、そういった部分もありますが、やはり、大きいのは1月の下旬から2月にかけてトランプ大統領がドル安からドル高の転換を示したことから株価が急落をし、そして各種の景況感指数、PMIが悪化したという事実を誰も言いません。
つまり冬場の経済活動の停滞というのは毎年の恒例行事でもあるのです。それを悪天候というのはなんだか、少し違うような気もします。
悪天候も要因の一つでしょうが、やはり、今までドル安で世界経済が盛り上がっていたのに、それがドル高転換でどうなるか?という恐怖、および、猜疑心からいつもの年以上に景況感が悪化したのではないのでしょうか?
アメリカの貿易赤字というのも、以前に解説をしたように冬に貿易赤字額というのは増加をするのです。ですから、トランプ大統領が貿易赤字のことに関して、キャンキャン騒ぐのは予定通りの行動であって、夏になればそれほどキャンキャン言わなくなるとは思います。
ただし、また今年の年末辺りからまた、騒ぎ始めるのはほぼ確定的ということもお忘れなく。ドル円でも3月から急速なドル高になっており、上記の各連銀景況感指数が好調ということは、ドル高への転換ダメージはほとんどない、と言っても過言ではないと思います。
つまり、先日、ムニューシン財務長官が年末に向けてアメリカ経済成長は大きく成長する、という発言に向かってGO!ということになります。参考までにムニューシンさんが短期的な経済予測を言うことは非常に珍しいことであり、かなり自信があることの現れです。
一方での疑念
みなさんはこのコラムを読んでいれば、おわかりになると思いますが、アメリカの労働者の賃金は上昇していることを把握していると思います。しかし、一方で小売売上が上昇しない、ということが私の疑問になるのです。
普通、お給料が増えれば消費は堅調になるはずなのですが、実際の小売売上はそれほど堅調でもない。もちろん、アメリカ政府は貯蓄を推奨していますので、増えたお給料は、貯蓄に回している、というありきたりの結論で本当にいいのか、とも思います。
貯蓄率もまだ調べていませんが、消費に回らないということは、おそらく貯金しているのでしょう。長い目でみれば、貯蓄率の上昇というのはアメリカ経済の後押しをするのですが、どうも、私の感覚ではあまり信じられない、というのが私の疑問になります。
この辺はまた、それなりに調べなければなりません。それなりの結論が出ればみなさんにご報告をいたします。
金利の問題
金利は今後も上昇していくとアナリストどもが付和雷同に騒いでいるのですが、私はこれに疑問を呈していることは以前に指摘をしています。
たぶん、これから金利は上がらないだろうな、と考えています。その原因は需給面において国債は均衡をしている、むしろ、需要のほうが今後も多くなるので価格上昇からの金利低下とみています。
もちろん、先日、解説をしたように今年はドルの正常化の年であり、そのヘッジとして金利を安くするような気配があるからです。その根拠は連銀の理事はみな、インフレにはならないだろう、と言っていることです。
アメリカの金利が上昇する見込みでアルゼンチンやトルコが売られているのですから、その金利があまり上がらないということが鮮明になれば、トルコはどうなるか、ということだけです。
大統領の再選はほぼ確実でしょうから、弱り目に祟り目の大統領が再選されればその政権は強くなるだけです。今の安倍さんも今回の苦境を乗り切れば、おそらく誰も意見ができない政権になるでしょう。
そうやって一部の事象をみなさん見ることは非常に得意なのですがたて、よこの知識や上下の知識、いわゆる関連の知識が不足しているように感じます。
つまり相場のたった1年で儲かったという人というのは、私からみれば単なる「まぐれ」であって、相場というのは経験に裏打ちされたものなのです。
リーマンのときにみなさん右へならえで何もかも売ったと思いますが、安すぎるので私はせっせと、もうレバレッジをかけずにトルコを買っています。その買い方は適当です。トルコがつぶれるというのなら話は別ですが、つぶれることはないでしょう、と思うだけです。
調整
調整というのには少ないレベルですが、きのう、おとといとドル高の大合唱の中、下落をしていることを考えると、そして、ドル円の押し目をいまだに拾っているような感じの場付きをみると意外に深い調整になるのではないのかな、とは思いますけど、私の感覚では。完全な調整局面なのに、円安、円安と騒ぐ連中は私からみると犯罪者にしかみえませんけどね。
(この記事を書いた人:角野 實)