トランプが喧嘩を吹っかけたり、引っ込めたりと忙しいおじさんだな、と思います。この2日間ばかり出張に行っていましたのでコラムを書くことができなく申し訳ありません。
基本的な動き
以前に記したように、このドル円の動きは非常に簡単で、基本的には円高の流れです。ただし、戻る可能性もあると記した通りの帰結です。 このトランプと中国が貿易戦争じゃない、といってみたり、追加処置を講じてチラつかせたりと忙しいようです。
出張先で報道は見たり、見なかったりだったのですが、なんだかどういう状況になっているのか、わかりません。 ただし、言えることは、トランプが攻撃的な姿勢を見せているときはアメリカ債券の価格が下がっており、融和的な言動をしているときは債券価格が高いのです。
要するに中国はアメリカ債券を売りたくて、売りたくて仕方がないような状況で、それに対してトランプは債券価格が上昇すれば、融和的な態度を取り、そして、下落をすれば攻撃的な態度をとっているだけです。
ですから、債券の価格をみていれば、いつ?トランプが豹変するのかはなんとなくわかるということです。 この顛末は、中国がアメリカ債券を売りたがっている部分を日本がどれだけ買うかにかかっているだけです。
だから、日本の報復関税処置は取れないのです。安倍ちゃんが、アメリカ国債を買うのに、ノコノコ、トランプの別荘まで出かけていって、買え、と恫喝されるだけの構図です。
もうだいたい、その金額は決まっているのでしょうが、一応、お友達のトランプさんに敬意を表して、正式合意になるだけの話です。もちろん、そんなことはメディアには発表しないで、訳のわからない声明を出すことでしょう。 日本がアメリカ債券を買えば、おそらくアメリカの市場金利は下がるのでしょう。
債券高というのはイコールの関係でドル高という原理原則がわかっていない人が多すぎます。 この年初からのアメリカ国債安は、もちろんトランプ減税の影響もあるでしょうが、陰に隠れて中国が売っていたのではないか、と思います。
アメリカの貿易赤字というのは、冬の間に増える、というのも以前に解説した通りです。つまりすでに春なのですからきのうの貿易金額の発表が、今年、最大の貿易赤字金額になる公算が高いのです。このことを知らない人は今後も増えつづけるなんて、知ったかぶりをして解説をするのです。
つまり冬の間に、貿易赤字が増えるので、その分、赤字はアメリカのGDPからマイナスをされるのですから、アメリカの1-3月期のGDPは悪い傾向が顕著なのです。春以降はアメリカの輸出も増えますから、減少傾向になるのです。単なるそれだけの話です。
今夜の雇用統計
何度もお話しをしていますが、雇用統計の注目は、新規雇用者数ではなく、平均時給です。なぜなら、アメリカは完全雇用状態ですから、ほとんどの再就職者は転職になるのです。
つまり今までお給料がゼロだった人が過半の状態ではなく。転職をするということは前の職場よりもお給料が良くなるからほとんどの人が転職をするのです。
だから、新規雇用が何人であろうとあまり関係ありません。もちろん、大規模な倒産などがあった場合にはその限りではありませんが。たとえば、トイザらすなどは、以前から業績不振で、民事再生を年末に申請しました。
基本的には民事再生ですので従業員の雇用は確保されていますので、倒産によって町に失業者があふれるわけではありません。日本の報道では、倒産と民事再生をごっちゃにして報道をしますが、倒産と民事再生は天と地ほど違います。
倒産は、会社が消滅することですが、民事再生は、会社は事業を継続します。わかりやすい例は、日本航空が数年前、民事再生の適用を受けましたが、今も存続をしています。日本航空は倒産ではなく民事再生であって、倒産ではない、ということです。
話が逸れましたが、雇用統計の新規雇用者数は、ADPや失業保険申請者数の推移をみればさほど悪くはならない、ということです。ただ、アメリカ政府の閉鎖の影響がありますから、どうでしょうか?
ということです。もちろん、ADPには、政府部門の雇用者数はカウントをしていませんので含まれません。ただ、常識的に考えて、華々しい数字が出ても驚くに値しません。
平均時給
過去1年のもの
過去5年2017年秋に賃金が下がったのは、非常に簡単で今まで私の説明をきちんと読んでいる人はおわかりになります。2017年の秋には、FRBのQEの完全停止があって、その結果、ドルの需給が引き締まったのですからドル高です。ドル高になると、アメリカ経済は悪くなるのですから、その結果、賃金も下がっただけの話です。
年初から一方的にドル安が進行をしたのですから、賃金が上昇しなければいけないのですが、年初から賃金はじり安傾向です。 景気がよくて、転職をしてお給料が上がるはずなのに、じり安なのです。
これでアメリカ経済は絶好調とか言っているやつは私から言わせれば、何もわかっていないのに、わかったフリをしているんじゃないよ、というだけの話です。
要するに雇用統計の注目はこの平均時給が、2月の水準を維持していれば御の字なのです。維持できなければ、問答無用で円高、株安が進行すると予想するのが普通の感覚だと個人的には思います。
企業の景況も悪いなかで、通常に考えれば、賃金が上昇なんてするわけないですよね。こんな当たり前のことが起こっているのに、雇用統計の良い数字に期待とか、、、いったいアメリカ経済の何の数字をみているのでしょうか? と個人的には思います。 まだ未定なのですが、4/12からも出張予定です。
(この記事を書いた人:角野 實)