きのう察しの良い方は気づいたかもしれません。PMI指数とドル円の関係性がどうなっているのかに。そもそも、漫然とこの文章を読んでいるだけで、GDPに関して何度も説明をした文章を理解しようともしていない人は何も気づかないと思います。
日米PMI総合指数比較
これをみると、いままでの文章をきちんと読んでいる方には、ドル円がどうなるかよくおわかりになると思います。たとえば日本が成長すると、円安になります。でも為替は株価のように単体での値段ではないのです。
たとえば、ドル円であれば、円の価値というのは、アメリカドルの価値が下がって、初めて円安になるのです。この根本をほとんどの為替アナリストと称する人たちが理解をしていないのです。
上記の図でいえば、要するに日本とアメリカ、つまり青と黒の線が近づくときには円安になり、離れると円高になるということです。たとえば今年の年初の円安というのは、私はずっと異常値だと言っていましたが、2018/1月の日米の差をみてください。かなり開いています。
この状態はアメリカが上向きで、日本は下向きなのですからアメリカ>日本となり円高に行って当然になります。だから、年初の円安は、異常値だというのです。そして2月は日本が上昇で、アメリカは上昇傾向ですから、ますます円高に行くのです。
3月は日本のほうが多少良く、そしてアメリカはおそらく悪いと考えていましたので、3月は若干の円安にいくと考えていたのですがおお外しをしました。すいません。
もっと精緻な分析
この分析は本当はGDPを根拠にやらなければいけない、ということを何度も話した通りのことです。
・第三四半期は、3.20÷0.60=5.333円/%
・第四四半期は、2.50÷0.40=6.25円/%
6.25-5.333=0.917円/%年初の始値112.65円×0.917円/%=103.3円
高値113.38円×0.917円/%=103.96円というのが目途になる可能性が高いのです。
これが今回の安値の目途になると思います。
なぜ、PMIとGDPをみるのか?
何度も解説しているように、PMIというのは経済指標の先行指標になります。その先行指標の中でも一番、早く変化の兆候が見られるのがPMIなのです。
PMIはギリシャ危機を予見したことから、このPMIは一番、世界で注目されている指数になります。一方で、GDPは速報値が出るまでにアメリカで1か月、日本で1か月半かかります。確定値はアメリカで3か月、そして日本は2か月半です。
しかもGDPはほぼ毎月、速報値、改定値、確定値と3回発表されますが、その発表は3カ月に一度に発表なのに対して、PMIは毎月発表され、markitやそのほかのシンクタンク、いろいろなところから発表されます。
つまりPMIは毎月、その動向を知ることができますが、GDPは3か月に一度しか発表されません。つまり速報性に関しては、PMIのほうが格段に優れているのですから、最新のものは、PMIを採用しないといけないのです。
もう一度復習すると
私の今まで実行為替レートからドル円の基準値を編み出す方法というのは、当たるときは非常に当たるということは実践でやっていて、非常に実感をしました。
しかし、理論値から乖離をした場合には、原点である、GDPに回帰をすればいい、というのが今回の相場で学んだことになります。実行為替レートは当たるときには、100パーセントに近い確率になりますので、採用をしなければなりません。
まだ実行為替レートから、為替相場を予測する方法に関してはまだまだ疑問点が多く、みなさんに説明できないのは非常に残念ですが、GDPから適正な為替レートを計算する方法というのは上記の通りになります。
基本はアメリカ>日本なのか、それとも日本>アメリカなのかを判断することであって、この等号、不等号がどちらを向いているかによって円安、円高の方向性がはっきりするのです。
今、感じていることは長期のことはGDPから算出し、そして中期的な視点というのは実行為替レートから考えるものなのか、とも思います。いえることは、おそらく、実効為替レートの年内予想に変更はなく、4月の円高のピークが先取りしてきてしまっているのだろうな、ということです。私はそう考えています。
上記のGDPの表は右と左に軸があるので非常に見づらいのですが
オレンジと赤のGDPの比較は、左軸、一軸なのでわかりやすいものです。上のほうのグラフでは日本のほうが、常に、成長が上回っていますが、これはグラフの作り方の問題であって、下のグラフをみれば、一軸にすればアメリカのほうがうわまっていることは確かです。
実際、日本の成長のほうが良い成長になるなんてことはないと思いますので、円高傾向は続きます。しかし、今年に限っては、アメリカの財政赤字によって、日本の成長のほうが上回る可能性がありますので、円安になると言っているだけの話です。
(この記事を書いた人:角野 實)