雇用統計の内容は良いのか、悪いのかはよくわからない内容になりました。まったく注目されていなかった非製造業部門の雇用者数は31万人と、かなりよい数字でした。
上記のように過去1年間ではもっともよい数字だったのですが完全雇用下ではいくら数字が増えてもこれは転職者がほとんどの数字になります。失業者が収入ゼロから職を得るのと、転職者が収入アップのために転職するのではGDPの伸び率が違いますので、この数字というのは、完全雇用下ではあまり意味がありません。
ただ、転職者のお給料のアップなどはほとんどが成功をしていないであろうというのが私の経験値ですので、賃金の上昇率はあまり伸びないだろうな、と思います。今回の発表はそれが如実に出た結果になります。
上記はアメリカの前月比での賃金上昇率で去年の10月にマイナスだったのを除くと今月の0.1はかなり少ないというわけです。ですから、賃金の上昇はよくないと騒いでいたのですが、
このように年率でみると別に悪くはない、ということになります。
つまり先月の数字が2.9でかなりいい数字であったのですから、今月が前月比と比べて相対的に同じように上昇をしても悪いように感じるのは当然の話なのです。個人的な結論を言うと、今回の雇用統計、注目された平均時給というのは、かなりいい数字だったと思います。
でも、メディアは前月比で報道をしていますので、先月が良すぎたので、今月は前月比よりもあまり増加しないのは当然の話です。要するにメディアというのは数字が全くわかっていないから、間違いだらけの報道をするのです。
いつも私が言っているように、相対値でデータを分析していると間違えるということです。この平均時給の数字をみて、悪い、とかいう専門家はそもそもアホです。
私が、アホというと、人を批判する、とか言う方がいますが、誰がどうみても、数字をよく分析もせずに「数字が悪い」と人前で言えるやつはどう考えても無知を晒しているだけです。そもそも、専門家を名乗るな、とは言いたくなります。
雇用統計にはいろいろな発表がある?!
雇用統計にはいろいろな発表があるといっていますが、今回はその中でも労働参加率の話をしましょう。以前にも、生産人口の話をしていますが、要するに、総人口の中で働ける人のことは生産人口といい、そしてその率を労働参加率というのです。アメリカの労働参加率は以下の通りになります。
これをみると2000年以降に、労働参加率が一気に下降しているのがよくわかります。そして、リーマンショック以降には急落をしているのです。要するに労働参加率が低下するということは、経済は、多くの人で稼いだほうがGDPは上昇しますので、参加率が低いということは経済の停滞を意味します。
つまり、2000年以降は、アメリカは停滞するべくして停滞をしたということになります。注意をしてほしいのは、アメリカの人口は増えていて、それで参加率が減ったということは、このグラフ以上の経済の停滞があったということです。
そして、2014年を境にして、参加率は増えていますが、これはすでに人口が増加をしていますので率は、小幅にしか上昇をしていませんが、人口が増えているので1960-80年代以上の経済成長の可能性も、今後の参加率の増加によってもあるのです。
ご存知のように、アメリカの人口は今後も増えますので、参加率は自動的に増えます。経済がよければの話ですけどね。一方、日本の参加率もみてみましょう。
まず、これはアメリカのサイトで見つけたものになりますが、日本にはこのような秀逸なサイトがない。あるのかもしれませんが、ワンクリックでこのようなグラフを作るような人がいないのです。
これは儲けの種かもしれませんね。このようなさまざまな日本の統計をきちんと作る人がいれば、私に知らせて下さい。利用しますから(笑)。だいたい、原本のサイトに行って、自分でグラフを作るなんて面倒くさくてやってられません。
話がそれましたが、日本のピークは1992年と何度も話しています。そのころから労働参加率が低下をして、現在は、2013年くらいを境にして上昇をしているのです。いつも私がいうようにトランプが政権でなくても、あっても、誰がアメリカの大統領をやっていても、アメリカの景気はよくなる、と言っているのと同様、日本も安倍が首相をやろうと、やらまいと、景気はよくなるということがわかりましたでしょうか?
安倍の施政下から労働参加率が上昇し、景気もよくなっているのです。でも、そんな解釈をした人はやはり、相対値の間違いに陥っているのです。日本は2014年くらいからわずかですが人口が減っているのです。つまり、相対的に労働参加率は上昇しているのです。
でも、欧米の投資家はそんなことを知らないから、この数字をみて日本株に投資をするのです。つまりこの数字をハタとみて、日本の今後は明るいなんて安易な考えをしちゃいけませんよ、ということになります。
今後、日本に何が起こるのか、といえば、日本は現在、少子高齢化が進行しているのは周知の事実でしょう。この少子というのは、出生率の低下を示します。最近は最低からは回復をしていますが、でも、低い水準のままです。それで、高齢者は平均寿命の延びとともに、増えていきます。
よく少子高齢化イコール、人口減少と考える人がいますが、それは間違いです。なぜなら高齢者の平均寿命が延びているから、人口が減らないことになるのです。このままの水準、人口1億人前後がしばらく続くでしょう。しかし、高齢者が増えますので、労働参加率は減るのです。
その時期というのは、団塊ジュニアが65を超えるとき、20年後くらい、そして団塊世代が平均寿命を全うするとき、2030年くらいには人口が減り始めるのです。その20年後には団塊ジュニアも全うすることになります。
そのときに出生率が上がらなければ、日本の人口は7000万人に突入するとなんとなくわかると思います。現在は、出生率があがり始めたころの子、要するにゆとり世代が成人をしたから参加率が上昇しているのです。
震災前後に大幅に出生率が低下をしていますので、2030年くらい
にはまた参加率が減るのです。そうすると2030年くらいには日本は未曽有の不景気になると予想は誰でもできると思います。
にはまた参加率が減るのです。そうすると2030年くらいには日本は未曽有の不景気になると予想は誰でもできると思います。
この参加率というのは、成人になる人に比例して増えます。つまり、今から20年前、1998年くらいに生まれた人達は今も増えていますが、2000年前半になると出生率が大幅に低下をしますので、東京オリンピック後にも大不況がまっているということになります。
だから、いま、国会で、18歳で成人の法案が通ろうとしているのです。2019-20年にかけてこの参加率は再び低下をします。つまり、今年の株価や為替は円安に行きやすいですが、それ以降は、、、ということです。こうやって考えると最悪のタイミングでの消費増税ということになります。
(この記事を書いた人:角野 實)