きのう発表された日本のGDPは、ふーん、と思いました。この詳細の数字をみて日本は景気がいい、とか言っちゃうんだ、というのが素直な感想です。
明らかに報道をみていると、去年よりも景気がいい、という論調で、そして、前期7-9月よりもいい、という報道でしたが、まるでダメじゃん、としか言いようがない。メディアなんて信用ができません。
一方でアメリカは、消費者物価指数が予想以上に良い、とか言ってしまっているのですが、これだけドル安になれば当然の話です。これを日本で考えれば、円安になれば輸入物価が上昇するから物価は上昇します。つまり、それを背景に株価やGDPも上昇する、ということになります。
一見、好調に見えるアメリカ経済になりますが、以下のグラフを見ていただきたいと思います。
これは小売在庫と景況感のグラフになります。在庫は、赤い線、景況が青い線になります。不況時には、商品が売れないのですから在庫が増加します。リーマンの時は在庫が急上昇しています。
その後、在庫が増えていくのは景気が良い中、企業や小売がその品薄を防ぐために在庫を増やしているのですからはこの在庫循環は良い在庫循環で特に問題はありません。
ところが年末に、あれだけ売れたといわれた年末商戦なのですが、在庫が増えているということが注目なのです。つまり、もっと売れると踏んで、在庫を積み上げすぎた、ということができます。
でも、結果、1月、2月は売り上げが落ちるのがわかっていることなのに、在庫が増えたということは、作り過ぎた、ということになります。となると、供給サイドは商品製造を低下させる、雇用に関してはクビが多くなり、そして、在庫を処分させるために価格を下げる、つまりドル安によって価格が上昇した増益分を吐き出すことになる可能性が高いことになります。
それがISMの価格項目になると思います。このまま在庫が増えていくようになってくると、消費売り上げ、つまり、きのう発表された小売売上は落ちるということになります。
きのうの小売売上の12月分が前年比、前月比ともに変わらずになってしまったこと、これは衝撃的なことです。つまり年末商戦は売れた、売れたと言っていますが、実は売れていなかったことが証明されてしまったということになります。
そのうえ、今後はローン金利も上昇しますので住宅販売、自動車販売も低下することになります。そうなると上記は景気の先行指数になりますので、好況と私がいままで言っていた家計部門も雲行きが怪しくなってきます。
ただ、アメリカ経済はドル安で下支えしていますのでそれほどひどいことにはならないでしょうが、こういう経済の変調というのは、要注意になります。
日本の株価は蜃気楼なのですから下がって当然で、GDPの内容を見ると上値の見込みもなくなるのですから、なぜ、これで上昇するのか、ということになります。
ただ、アメリカの消費者サイドの不調というのは、必ず、経済を停滞させますので、もう一度、高値を取りに来たときに、今度は本格的な調整になりますよ、と言っているのです。これが4月ですよ、ということです。
テクニカルの話
上記のドル円の週足、月足をみてほしいと思います。テクニカルの専門家と称する連中で円安とか言っている方は、上記のグラフをみて、たとえば、今週、円安に進む根拠なんて全くなかったし、2月に円安に行く根拠なんかまったくなかったのです。
よくこの10.30をみている人は、今週は円高に行くよね、月足はゴールデンクロスをしそうになったことろを切り返して、デッドクロス維持になっているのです。このゴールデンクロスをしそうになって、回避されたとき、逆の場合も同じですが、強烈な値動きになります。
春からFXのレバレッジが変更されるそうですが、今回の現在、106.5くらいの安値を付けましたが、これで、ボラの変化がでます。今までのような低ボラではマーケットは推移をしなくなります。
またVIXを売って、死亡する投資家がたくさん出ますね。金融庁はコインチェックで失敗をしましたが、既存のマーケットには正しい指導を出しています。
今回のFXレバレッジ規制を強化というのも、たぶん、このボラが上昇するということを読んでいたと思います。そのほか、さまざまな規制方針などをみていると、今度の長官というのは歴代の中で一番まとも、というよりは極めて優秀だと思います。
金融庁の動きをみていれば、相場の先行きはなんとなくわかります。去年、やった株やFX、銀行への規制を見てみてください。まともなことしかしていません。
ランダム性を理解している方は、このボラやきょうの展開はすぐにおわかりになると思います。私は、106.5が安値になることは事前にわかっていましたので、買いましたけどね。
ここの読者で何人、その計算方法がわかるのでしょうか?でも、円安に行く可能性はまだ、低いかな、と考えています。単なる戻りの可能性が現時点では非常に高いと考えています。この辺は判断を迷うことです。株の動きとユーロの動きを注視します。
(この記事を書いた人:角野 實)