先週は、もうドロドロにひん曲がりというのがみなさんの感想でもあり、私の感想でもあります。
土曜日の朝、チャートを眺めて、こんなにも円安期待が多かったのか、と嘆息する次第です。週末の手仕舞いにて買い玉の投げでこんなにも下がるか、というくらいの下げになります。
投げ一巡であれば、本日は大幅に戻るはずなのですけどね。これだけひん曲がるとあまり自信がありません。もし、これがひん曲がっていなかったら、たぶん、絶好の買い場と叫んでいるのでしょうが、疑心暗鬼です。
アメリカGDP
事前予想やコンセンサスは、前期より下がるとの予想でした。みなさんはこの予想に対して疑問を感じませんでしょうか?去年の10-12月の経済指標は絶好調だったのに、なんで下がるの?と。しかも予想に定評があるアナリストやシンクタンクも外しまくっています。
先週、ひん曲がりまくっていなかったら、アメリカのGDPをきちんと解説をしたのですが、コンセンサスの2.9であっても、高すぎて当たり前だと思います。
つまりGDPを予想している方々にとって、経済指標がみな好調、だから前期の3.2よりもよくなって当然というバイアスがかかっていたとかんたんに予想ができます。でも、予想は前期比よりもマイナスに設定をしているのです。なぜか?
答えは簡単なことであって、ドル高なのです。つまり、前期よりも経済指標はおしなべて好調だったのですが、通貨の価値が上昇するとアメリカ経済の成長は鈍化をするのです。
つまり、アメリカ経済というのは、ドル安の恩恵をモロに受けていて、確かにアメリカ経済は好調になりますが、その第一の要因は、消費者が良くなってきていることではなく、通貨安が第一要因なのです。
その証拠に週末のNYダウは220ドル高になります。円高ということはドル安ですから、アメリカの株価は上昇をするのです。
もっといえば、アメリカ経済好調の原因は、ドル安であって、ドル安になると消費者サイドの需要が盛り上がるのです。そういった意味では、アメリカ経済というのは盤石ではない、ともいえると思います。
つまり、ドル高になればまた、なんで、良くなるはずなのに、アメリカ経済は冴えないのであろうとまた言い始めると思います。引いては、世界がまた、通貨安競争に走る可能性がある、ということです。
GDPの数字に関しての詳細をみると、なんでこの内容で前期よりも悪いのであろう、と思う数字がほとんどすべてになります。
いつもの等号、不等号
アメリカ経済のGDP10-12月期の名目が前期比2.6です。日本は名目GDP7-9月期が0.9です。今期は円高に若干なっているので変わらずから少し減るくらいになるか、若干増えるかどうか、というところです。
前期のアメリカは3.2で日本は0.9です。今季はアメリカ2.6、日本は0.8-1.1になるでしょう。
・前期「アメリカ3.2>日本0.9」
・今期「アメリカ2.6>日本0.8-1.1」
・3.2÷0.9=3.51ドル3.5円換算
・2.6÷0.8~1.1=3.25~2.361ドル2.36~3.25円
・3.5÷2.36~3.25=1.48~1.07
このGDPからすると、ドル円は最大で1.5パーセント程度しか動かないと計算上できます。金曜日の高値は109.5円くらいだったのが、1パーセントの円高となると、1.1円程度の円高が見込まれる訳ですから、108.4円になります。
1.5パーセントで1.6円の円高で107.9円です。週末の安値が108.2円程度ですので、ちょうど、真ん中が安値になっています。でも、「アメリカ>日本」は円高と言っていますので、この数字比較をみて、円安派というのはいったい何を考えているのか?ということです。
つまりアメリカの3パーセント近い数字と、日本の1パーセントの数字が逆転する可能性があるのか、ということです。ですから、120円近い円安に将来なるとか言っている方は、ど素人であって、何もわかっていない、ということになります。
円安になる条件は「日本>アメリカ」にならなければいけません。日本がアメリカの成長を凌駕するためには、相当な有望なことがないと円安にならないのに、円安と叫び続ける評論家というのは、わかっていないか、犯罪者なのです。詐欺師といっても過言ではありません。
もっとも、テレビや新聞、ネットでの円安論者は、こんなことを示されても、この計算自体が理解できないでしょうから、ど素人が大半なのでしょうね。
どこをどうみても長期的には円高なのに、なんで円安というのか、理解に苦しみます。そういう連中はバカと私は呼んでいるのですが、ダメでしょうか?参考までにテレビに出ている評論家の過半は、所属の証券会社に円安といいなさいと半ば脅されていると思います。
(この記事を書いた人:角野 實)