今朝の記事では一切、ドル円相場に関して書かなかったが、例のど素人のコメンテイターがドル円は100円の可能性がある、なんてコメントしてくれたものだから、ま、円安はほぼ確定かな、ということです。
しかし、彼女は本当に見事に逆指標になってくれるので非常に助かる。相場観の組み立てができない方は彼女の言う逆をやればいいのですから、楽なものです。
ともかく、人を不幸にするコメントしかしなくて、しかも偉そうな人というのは毒にしかならないのでお引き取り願いたいのですが、逆指標としての価値は相当にあると思います。
ドル安がピークになる可能性がある
今の相場というのは中国の人民元とユーロにあるということはさんざんに書いてきました。このアメリカ、ユーロ、中国の3か国と経済圏は世界のワンツースリーの経済圏であって、それぞれの通貨が互いに影響しあっているのはお分かりになると思います。
すなわち、ドルが安ければユーロは高くなり、そしてユーロが安くなればドルが高くなるということです。中国に関しては管理フロート制で、しかも、去年5月に為替の決定システムを変更しているので、およそ自由市場とは呼ぶに値しない市場なので、なんとも言えません。
今朝の時点で、ユーロドルのチャートが長い上髭陽線であったことから、目先、頭かな、と考えた人も多いと思います。それは、それで正解で、ひとまず、ユーロドルは押し目を形成することでしょう。
ただし、これが反転して押し目買いから戻り売りになるかは現時点ではわかりません。ただ、現時点で言えることは2-3日、ユーロドルは押し目を形成という表現が正しいか、ないしは下落するという表現が正しいのかはわかりませんが、要するに下向きになる可能性が高いということです。
すなわち、ユーロドルが下落するということは、ユーロ高ドル安に推移をしていたものが、ユーロ安ドル高に転換するということになります。今回の株高というものは、ドル安によって示現されたものであり、それゆえにユーロドルのチャートと、アメリカ株価のチャートは非常に似た形になっています。
つまりドル安が転換してドル高になった場合、株高は解消し、そしてユーロドルは押し目か下落をするという形になります。
ファンダメンタルズからの部分
つまり、今回の年初から始まる株高局面、ないしはドル安局面というのは、ユーロ高から派生をしていると考えるとユーロの経済指標が悪くなっているか、どうかを確認すればいいだけの話です。
前にもお話しをしたように、ユーロ経済圏というのは域内貿易がほとんどであり、その供給というのはほとんど域内で賄っている状態になります。つまり、不足品というのは、域内での調達であるということです。しかし、一方でドイツのように輸出で飯を食べている国もある訳です。
つまり輸出は相当に落ち込むは訳で、ドイツがユーロ圏内では勝ち組でしたが、それはユーロ安の恩恵を被ったから勝ち組になり得た訳であって、ユーロ高の現在、ドイツは苦しいことになります。
前にも話しをしましたが、ユーロの盟主がドイツからフランスに移行する可能性もある、ということです。このことは国際社会では、トランプに逆らうと国が衰退するという良い一例になるわけです。
トランプとメルケルが仲が良くないのは周知の事実だと思います。要するにドイツの経済指標の悪化というものが、ユーロ安を直撃するということになります。
そう考えると下記のようにドイツの経済指標、卸売物価指数が急落になります。
このWPIというのはどういう概念なのかわかりませんが、ともかくPPIとすればかなり悪い結果でしょう。12月の数字になりますが、そのユーロ高はそれ以前から進行をしていましたから、相当悪い結果と受け止めなくてはいけません。そもそも、ユーロ高がこれだけ進行していたのに、ドイツの物価が上昇し続けたのが不思議なことになります。
要するに、これが本格的なユーロの下落につながるかは今後ユーロ圏の経済指標に掛かっており、特にドイツということになります。中国は春節になりますので、発表されなかったり、発表されたりする経済指標があります。ただ、基本は月末か15日と覚えておくとよいでしょう。今月のGDPは18日の予定。
ポイント
まず、ドル安が転換をすれば株価は大きく下落する可能性が高いことです。その下落幅によっては、ドル円は今まで円高だったので、円安と安易に考えるのではなく、いったん株価と一緒に円高に行ってから、円安に反転すると考えるべきです。
どう考えても世界中の株価が下落しているのに、円が安くなる可能性は低いということです。また、直近の安値の110.3は日本時間には出しておらず、日本時間にきちんと110.3をつけてほしいと考えるのが自然なことです。つまり、二番底をいつつけるのか、ということを考えるべきです。
つまり円高一辺倒で考えるのはそろそろ考えを改めなくてはならず、現時点では株価の急落があり得るので、円高も念頭に置いてトレードしなければならないということです。
(この記事を書いた人:角野 實)