年初から、世界的な景気回復によって株高が進行していますが、個人的にはそんなに景気がいいのか、と思います。特に日本の株価がひどく、こんなに高くしてしまって大丈夫なのであろうか?とは思います。
何度もお話しをしているように、日本経済などちっともよくなっておらず、みなさんが今、見ている景気の良さというのは単なる「蜃気楼」です。
経済指標を見る限りなにも、日本経済はよくなっておらず、先行きも見通しがよくなっているような感じがない、ということなのです。
では、なぜ、日本経済がよくなっているように感じるのか?
たとえば下記は、日本の実質GDPの前期比の推移になります。
この表をみると、日本のGDPは極端に前年が悪くなると、翌年に良くなる傾向にあります。つまり、経済の好況、不況を占うためには、前年か、ないしは前期比が極端に悪いと株は売りになり、そして、前年、前期比が極端に悪いと翌期はよくなるという傾向があります。
このことは、上記は実質GDPでみるとあまり明白ではないのですが、名目GDPでみると明らかなことになります。
たとえば、なぜ、2017/9月に解散総選挙を実施したのかといえば、2016年の第三四半期は上記の表をみると前期比0.3パーセントのプラスになりますが、実は、名目GDPはマイナスの0.9パーセントだったのです。
日本経済が、私が冒頭、申し上げたように、何も変わっていないのであれば平均律の法則が働き、前期や前年が悪ければ、その翌期は良くなるのが至極当然の話であって、安倍首相は、世界各国でサミットでの合意内容を各国に持ち帰りうその審議を行う時期に、解散総選挙を行ったのです。
たとえば、アメリカはアメリカファーストを具現するために、減税法案をメインに審議をし、ヨーロッパでは自動車のEV化や環境問題を中心に経済を活性化するような法案を審議していたのですが、日本は、何も審議することがない。
つまり、TPPは破談になり、アメリカを除いた残りの参加国でその成立の審議をしましたが株価が全く反応をしない、だから、目玉になる政策がない、つまり単なる破れかぶれの解散だったのですが、小池が勝手に凋落し、民主党はわけのわからないことをやっているので、勝手に勝利しただけの話です。
アメリカやヨーロッパは国を活性化するための法案を次々と成立させているのに、日本は全く目玉の法案が何もない状態、つまり国会で審議することがないから、解散しただけの話です。
それに加えて、去年のGDPは悪かったので、要するにトランプが大統領に当選したらアメリカがリスクになるということで、株価もドル円も低迷していたので、一般的に表記をされる経済指標は前期比か、前年比ですので、だいたい、その去年や前期に比べてよい数字が平均律の法則によって出るのは当然ですから、株価をPKOすることによって上げやすいことになります。
単なるそれだけの話であって、安倍首相の政権維持能力は素晴らしいですが、それが日本経済を活性化させるために良いことをやっているのか、とは決してイコールの関係ではない、ということです。
では今年はどうなるのか?
去年の1-3月期の実質GDPは0.3パーセントのプラスになります。前年比の実質は、1.0と可もなく、不可もなくという形です。2016/10-12月の前年比は1.2、前期比は0.3ですから、ほぼ、平年並みという数字になりますから、マーケットは大して動きません。
要するに今の日経平均株価というのは完全にやり過ぎな状態であって、何れ、売られます。ところが、2017年/4-9月の実質GDPは2.5パーセントになりますので、この数字よりも上に行くのは非常に難しいことであって、4月以降はおそらく相当な円高が進行すると考えています。
ただし、株価についてはアメリカや中国がお休みや冬の期間になりますので、経済が停滞しやすく、その結果、為替は相対的に売られやすい傾向にあり、そして株価もアメリカや中国、欧州を買うよりも、それらの国よりも冬の影響が少ない日本株が買われやすい傾向になるということだけの話なのです。
つまり、日本の景気の良さなど長くもっても、4月までであって、早ければ今週か、来週には反転するだろうな、とは考えています。
その反転の根拠
実は年初からドル安ですよ、と私は騒いでいましたが、年初から一転ドル高になっているのは明白なことです。その証拠にユーロドルは反転、ユーロ安になっています。
ただ、通常はそれより早く反応する金や原油が、そのドル安からドル高になって下げに転じることが遅れているので世間ではまだドル安だという憶測が流れているのでしょう。
原油は、アメリカの原油在庫減少によって、買われていますし、注意としては決してオペックの減産の影響ではないこと、なぜならアメリカは世界一の原油生産国であること、金に関しては、おそらく資産ポートフォリオの変更、おそらくビットコインがもうだめなのは明白なことであって、ビットコインから金に乗り換える投資家が多数なのだと思います。
ですから実際はドル高になっているのに、市場はまだドル安の雰囲気が流れていること。そして、アメリカのイールドカーブが縮小してきており、そして、その金利高も明白になってきているということです。
今回のドル高は円高を伴う、ドル高であって、決して、ドル高だからと言って円安になるようなものではなく、ドル高、円高のパターンになるのです。
これが一時的な押し目になるのか、どうかわかりませんし、長期的な下落になるかはわかりません。しかし、円高傾向であることは間違いないと個人的には信じております。
(この記事を書いた人:角野 實)