新年の最初の発表はアメリカISM製造業指数でした。この発表は、年末にも記したようにシカゴPMIが良かったので、内容もよかったということになります。
PMI製造業
上記がPMI指数、製造業の結果になります。みなさんは、もう何度も書いていますのでおわかりだと思いますが、この指数は全体指数など何の意味もなく、大事なのは中身になるのです。
ページの中央部に、かんたんな図表になっていますのでそれをみればおわかりになると思いますが、まず、企業収益に直結する、新規受注、製造が軒並み増加になります。
そして価格もドル安の影響もあるのでしょうが、上昇になりますので、この2017年9-12月の業績は悪くなるのではないか、と考えていましたが、この数字をみると業績期待でアメリカ株は買われることになりそうです。また先行きの見通しに関しても、受注残が56.0と良好になります。
一方で雇用だけが悪化をし、-2.7の57.0になりました。このISMの数字が、週末の雇用統計の数字の新規雇用数の減少ということになりました。つまり、雇用統計の非農業部門の新規雇用者数というのは、ISMをみていればある程度わかることになります。
つまり、雇用統計の新規雇用のコンセンサスが19.1万人というのは、先月22.8万人から約20パーセント減です。ISMの雇用は59.7から57.0で約5パーセントの減になります。
この差というのは残りのISMサービス業によって埋め合わせられるのかも、と想像しておけばいいのかもしれない、と考えればいいのです。
以下が金曜日に発表されたISMの非製造業になります。
雇用は55.3から56.3へ上伸することになっています。ただし、雇用統計との整合性はありませんが、方向性はあっていることになります。つまり、雇用統計の新規雇用者数というのは、ISMの製造業、毎月第一営業日発表になりますが、この内訳の雇用をみれば大体、数字が増えるか、減るかなどはわかるというものになります。
さて、ISMの非製造業に関しては、製造業ほどよくなく、サービス業が本当にアメリカでは製造業と比べてよくない、といえると思います。
特に非製造業のISM指数というのは2016/12月と比べても悪く、製造業と比べても悪い、ということです。この原因は製造業には季節性のあるものですが、非製造業には季節性がないということも影響していると思いますが、平年でみるのであれば、個人的には非製造業のPMIのほうが信用できると考えています。
ただ、一般的な見方というのは製造業ISMのほうが非製造業ISMよりも歴史が古く、非製造業、サービス業のISMの判断の仕方が固まっていないというのが一般的な認識になります。
ともかく、非製造業ISMをみると、景気の見通しや現状、企業の収益に関してはフラットであり、決してアメリカ経済がよくないと言えると思います。
また、同日に発表された工場受注は、先月比1.3プラス、前年比でみても7パーセントプラスになります。つまり、このISMの製造業の数字を裏付けており、製造業の好調さが見て取れます。
ここで話が全く違うのですが、アメリカの中間選挙がトランプに不利なんて報道をみていますが、彼が就任当初、アメリカの製造業に活気を取り戻すと騒いでいた結果はどうでしょうか?たとえば、アメリカの国外に工場を移そうとしていた企業に対して恫喝を浴びせ、その結果、移転を断念した工場など報道されましたが、彼が公約をした通りになっています。
つまり、中間選挙でまたトランプが負ける、と騒いでいるのですが、彼は忠実に公約を実現させており、アメリカの中間層の大部分を占める工場労働者の雇用は守られ、今後、賃金上昇が見込める状態で、彼らがトランプを支持しないわけが現状ないわけでしょう。
オバマのときと比べて、雇用は格段に向上しており、それがトランプのおかげと認識しているようであれば、中間選挙も共和党の勝利になるでしょう。
トランプ嫌いもほどほどにしろ、と日本のインテリ層や報道も何度やっても懲りないのだな、言いたくなります。もちろん、報道は売り上げアップのためにそうした報道を行うのはいつものことですが、きちんとトランプの支持層をみていないと、つまり工場労働者の賃金や雇用が守られた結果、トランプの大統領選挙の勝利があったということなのです。
それがますます改善をしているのですから、今度は投票率の上昇がなければ、民主党の勝利がない、というのはわかっていることなのに、トランプ嫌いだけで報道をするのはいかがなものかと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)