相も変わらず、日本の報道も、アメリカの報道もトランプ批判が続きます。私は彼が好きではないけれど、でも今年1年に限っては非常に「まとも」であるという印象があります。
2016年の流れ
2016年は年初から日本銀行がマイナス金利を導入しました。これは、一般的にチャイナショックと言われるように中国経済の下振れから、人民元をお盆の最中に引き下げ、中国の株価が崩落をした事件になります。この対応がお粗末すぎたので、中国は世界から非難をされたのです。
空売り規制だの、売買停止だの、いろいろやっていましたが、FXでもそうですが、株式市場でも中国は売りたいとき、買いたいときの売買の自由を奪ったというFXや株式では当たり前のことを中国ではできない、と改めて認識させた事件になります。
その後、中国はこの声明文をみたとき中国政府は相当に疲弊していると思いました。その内容は、中国は資本市場に未成熟な部分があり、今後、先進国を参考に改革をしていく、とのこと。
あの中国がここまで反省するのは、というか、日本政府でもこうような不祥事が発覚した場合でも、反省の弁を述べることなどないのに、中国がそれを述べるのは相当な反省をしているのだと思いました。
その後は、みなさんもご記憶に新しいイギリスの国民投票で、ドル円が100円を割れたことは記憶に新しいことです。そして秋にかけてはトランプが大統領選挙に勝利すると、トランプが政権に就くことによってアメリカのリスクが増える、という意味不明な噂が流布されマーケットは低迷したのです。
ところが、その勝利が確定すると、マーケットは急上昇になったのです。いわゆる一般的に言われる、トランプラリーとなって、その流れが現在も続いているといっても過言ではありません。
この事実をどう考えるのかの、問題
トランプ大統領というのは、結局、2016年末から弱気一色であったマーケットを強気に変えたのです。アメリカの1-3月期のGDPが低下する見込みがあると、4月1日にすぐに北朝鮮リスクについて言及し、そしてシリアを攻撃しました。
そして5月には、サミットでメルケルと喧嘩をして、いままでユーロの不景気に配慮をしていたユーロ安を国際的に容認したのを、いい加減にしろ、とやって逆にドル安方向にもっていったのです。
そして、自身がかかわる初めての予算編成で、公約である減税、税制改革を敢行し、現在、その税制改革は年内に成立することでしょう。
考えてみてください。もし、このトランプラリー相場がなかったら、これほどまでに日経平均は上昇しましたでしょうが、世界的な景気拡大になったのか、ということを考えてください。
そのトランプ大統領の行動や言動には目をそむけたくなることが多いのですが、でも、事実としてアメリカ主導で世界景気を回復させ、そして、アメリカ国民に約束したアメリカ・ファーストを実現させようとしているというのが、トランプ大統領の現実像です。報道によって、まともじゃない、ダメだ、支持率低下、下品だ、だのいろいろ言われますが、結果をみてください。
経済面においては、見事な手腕といわざるを得ないのに、報道やみなさんが、その事実から目を背けているだけだと個人的には感じます。
今後の動き
トランプ減税によって、アメリカの景気がさらに拡大をする、と言っていますが、少なくてもFXには逆風が吹きます。何度も書かないと、おそらく、上記のような事実認識がない方には、相変わらずトランプはどうしようもないやつだ、という意識が出てくるので、何度も書かなくてはいけない、と思います。
まず経済はFXを支配するというのは政治だ、ということです。これは特別レポートを読めばよくわかります。政治でしか、経済は動いていません。その次に金利です。その株価やFXのレートは結果であって、原因は政治や金利だということです。この年末のイベントは、トランプ減税です。
日本の補正予算や政策パッケージに何の意味があるのか、と思います。日本は、その幼児教育を無償化してどういう政策効果がでるのか、全くわからない。単に、選挙に勝って約束したからばらまくだけの話であって、本当にこの国は財政赤字なのか、と思います。
それだけの予算はばらまけば、GDPは押し上げられるのですが、その効果は予算1に対して、結果は1なのです。ばらまきというのはそういうものです。
通常は、最低でも予算1に対して、10の結果を出さないといけないのです。なぜなら、10の結果がでれば、10に対して1割の税金が国家の収入として入ってくるのですから、評価に値する政策なのですが、今回の幼児教育無償化によっていくらの結果がかえってくるのか、全く不明な予算を執行しようとする政府はアホではないか、と誰しもが思うと思います。
この国は、借金大国の国で、増税しなければこの難局を切り抜けられないとか抜かしているのに、その予算の執行が幼児教育無償ですか、あきれ果ててものも言えない。
トランプは減税によって、その税収補填は10年間かけて、税収増によってそれを補填する、という意思が鮮明です。なぜなら減税すれば景気が拡大して、税収が増えることは誰がみても明らかで非常にわかりやすい。
つまりトランプは減税をすれば、その国家財政赤字を増やすことになるが、その税収減は、10年かけて景気を回復させるから問題ない、これで議会がどうやって反対するのか、ということです。
だから前々から申し上げるように、議会を通るのは当然なのです。それを通らないかもしれないと煽るマスコミは本当に自分のことしか考えていないから、アホなのです。
売り上げアップのためにそういった扇動をするのです。日本の場合は幼児教育無償化といって、それに反対する国会議員がいないから、そういう政策が出てくるのです。
幼児教育無償化なんかに反対をすれば、女性や主婦からの支持は一切なくなりますから、また幼児の教育負担を国が肩代わりをするのですから、心情的に反対しにくいから、そういう政策を出すのです。やっていることが無茶苦茶なのは日本で、まともなのはアメリカなのです。
財政赤字が増えるということは長期国債の金利が上昇する、そこで金利差拡大ということを言う輩がいるのですが、金利差の拡大で一瞬円安になって、すぐに円高になるだけの話です。
今の株が上昇している原因の一番は低金利です。その低金利の前提が崩れれば、株価はどうなるのか?日本銀行はここのところ連日、株、ETFを買い増していますが、これはアメリカ株が下がってその影響が日経にも出ると思っているから買うだけです。
ドル円は日経平均が高すぎるからヘッジで円高ポジションに投機筋は傾けるのだから、円高傾向になるのは当然の話なのです。ただし、アメリカ株が押し目を完了したとき、日経の底値がどの辺なのかはわかりませんが、その底を確認したら、ヘッジが外れるのですから急速に円安になると、予想できます。
底値もついていない段階で、円安のことを考えるのはナンセンス以外なんでもありません。でも、ウェブを眺めていて、皆さん円安好きですね。なる訳ないと個人的には思っています。
細かいことですが、これだけ日本の不動産価格が上昇して、GDP統計では家賃の上昇はマイナスですよ。ワンルームマンションなんかに投資して、その返済、家賃が下がっているのにどうするの?と思います。日本の不動産バブルもそろそろ、ですし、ビットコインもCMEに上場したら、、、ですよ。
(この記事を書いた人:角野 實)