なんとも、発表をみたときは、はーーーーーー?というかんじであった。GDP7-9月期の2次データが「実質で2.5」「名目で3.2」ありえないとしか思えません。
しかも、1次データが1.4で1パーセント以上の修正になります。こんなことは過去にあったのであろうか、と思いますが、よく、考えるとたまにあります。
実質GDPと名目GDPの違い
上記は内閣府が発表をした、データになりますが、上記の表をみると、非常にわかりづらく、理解しにくい。私でも、めんどうくさいな、これ、と思うくらいわかりにくい発表です。
個人的にいわせれば、胸を張って発表できるような数字ではないからこんなわかりにくい、形式にしているのだろうとしか、邪推できないのです。
まず、一番に説明しなければいけないのは、「実質GDP」と「名目GDP」の違いになります。同じような項目で実質金利と名目金利というのですがこの金利の名目と実質とGDPの名目と実質は全く意味が異なりますので注意をしてください。
この実質GDPというのは、円建てのGDP総額のことであって、通貨建ては円になります。一方で名目GDPというのは、ドル建てのGDP総額のことであって、通貨建てはドルになります。
この違いは非常に大事なことであって、つまり国別に成長ランキングや経済的な裕福なランキングを作る場合、用いられるのは、ドル建てのGDPであり、名目GDPということになります。
一方で安倍首相が目標と掲げるGDP600兆円というのは、円建てになりますので、実質GDPになります。
この違いは重要ですので、よく覚えておいてください。
つまり、アメリカのGDPと比較をする場合は名目GDPと比較をしないといけません。私は今まで勘違いをしていました。ごめんなさい。
■いつもの不等号
こうなると、年率換算のGDPは「アメリカ3.3>日本3.2」となり、ドル円相場は、2016/7-9月期とほとんど変わらないということになります。
参考までに、その発表というのは、アメリカの速報値が10月末、日本が11月中旬、確定値は、アメリカが年末、日本の2次速報が12月中旬になりますので、だいたい、去年のこのデータの反映というのは、マーケットでいえば、10月の末から12月末まで反映をしていることになります。
その間の時系列は、
・始値 104.8
・高値 118.6
・安値 101.2
・終値 116.9 になります。
・2017年の9月の引値 112.5
その間の平均値は月足でみると、111.95、週足で111.37くらいになります。つまりこの間よりも0.31パーセント円安になる計算になりますので、112円くらいが妥当な値段になると計算もできます。
これで計算をすると、今の水準、113.5くらいというのは多少円安になっているのかなとも感じます。
一方で2016/7-9月期は、
・始値 102.8
・高値 107.5
・安値 99.6
・終値 101.4
・平均 102.4
・2017/9 引値 112.5
2016年7-9月の平均よりも、1割円安になっていますので、年率換算が実質で、2.5というのも、むしろ低いくらいの水準とも考えられます。
この辺が相当難しいのですが、円安というのは数字が上昇していくことになりますので円建ての実質GDPは増額することになります。つまり実質GDPは上昇して当然になります。
ところが、名目GDPは円安ということはドル高ですからドルが高くなるということは、実質GDPも高くなるということ、その数字が3.2というのも、ま、妥当なのかな、とも思います。
つまり、この数字が異常に高く見えるのは、単なる、去年との比較になりますので、その成長が異常に高いということになります。もっといえば、去年が悪すぎたということになります。
要するにパーセンテージという相対値を使うと日本経済の実力を勘違いすることになり、去年と比べると3パーセントGDPが上伸しているというのは、あながち、間違いではないということになります。
だったら、去年の7-9月期の実質成長率というのは、-0.4だったのですが、この数字というのは円高が前期より10パーセントも進行したのに、-0.4という数字はおかしいだろ、ということになります。原油高でしたけどね。
自分でも書いていてよくわからなくなっていますが、去年のドル円の7-9月の引値が112.5で、そこから、0.31パーセント理論上上昇するのですから、112.9円くらいが妥当になります。その平均値から、0.31上昇ということになれば、平均が102.4なのですから、102.8くらいが安値の目途になります。
一方で、発表基準でみると平均が113です。その安値は101.2、高値は118.6です。引値が116.9になりますので、そこから1.0031をかけた水準が適正になります。
読んでいるみなさんも、よくわからないと思いますが、ファンダメンタルズからみた場合、いちど、この名目GDP、実質GDPのそれぞれ、3.2、2.5パーセント上昇してから、そこから、112.5×1.0031=112.9くらいまで下がるのではないか、ということが予想できます。
また、前期比で0.8、名目で成長をしているのですから、7-9月の引値が112.5に1.008掛けた数字113.4くらいも妥当な数字になります。
こうやって考えていくと、去年の相場の数字と比較をするとだいたい113円が妥当な数字になりますが、でも、それは去年の数字が正しい場合の話です。そうなっていないと、このドル円相場の、整合性が全くなくなってしまいます。
ただ、総額という絶対値で比較した場合、この数字というのは全く整合性がなくなり、その辺がドル円の難しさとも思います。書いている本人もよくわかっていませんが、この出した数字を参考に妥当な値段を探るのもファンダメンタルズ分析になります。
(この記事を書いた人:角野 實)