読み込み中...月末と月初は指標の集中期になりますが、その辺をすこし解説してまいりたいと思います。先ずはISMの非製造業、全体のポイントは先月比マイナス2.7の57.4になります。
これが50を超えているから景気がいいのだ、とシャウトする連中ばかりでなんだか何をみているのだ、とは思います。景気の良し悪しの分岐点が50であって、その基調判断だけの話であって、現状は良いというのは誰でもわかる。
しかし、私たち投資家が一番知りたいのは現状ではなく「将来の景気」なのです。つまり、全体の指数の流れをみて将来を判断する、当たり前のことがみなさんできない。
この57.4という数字を3か月の移動平均にすると完全に下向きになり、しかも、その実態線は移動平均の下に入る。つまり短期的には好景気の後退期に入る可能性が非常に高いのです。
それが良い、良いと騒いでもバカの一つ覚えとしか思えません。しかも全体の指数が50を超えている期間が95か月、つまり8年弱も拡大期が続いています。
こういう材料をみて、今後も景気が拡大すると判断するのはあまりにも楽観すぎるとは思うのです。
ISM非製造業20年trading economicsより
詳細の分析は、新規受注は-4.7ポイント、製造業が+0.4なのですが、非製造の落ち込みが激しすぎます。受注残も-2.0、製造業は変わらず、価格は-2.0で製造が-3.0です。
つまり今後の企業の収益は減る見通しになっていますので、本日のアメリカ株が売られるのは当然の話です。雇用統計の見通しについては、雇用が-2.2、製造業は-0.1、新規雇用者数も期待ができませんが、雇用統計の注目は平均時給になりますので、この数字は期待できるかもしれません。
レッドブックリサーチ
これは歳末商戦入りしたアメリカの小売売上高の毎週発表されるリサーチになります。先週、前年同月比4.8の過去最高記録を更新しましたが、今週は3.0と平凡な数字になます。
2017年は前年比で5.89パーセント売り上げを更新していますが、3パーセントという数字はどうなのでしょうかね。印象としては、あまりよくないよね、という感じです。ブラックフライデーの初日だけ売り上げがよかったのですかね。
新車販売台数
Haver Analyticsより
この数字は季節調整をした数字になりますが、年末商戦の割には売れていないような感じになります。新車販売が好調と騒いでいますが、やはり9月はハリーケーンの影響で売れただけの話です。
実際の数字、つまり季節調整をしていない数字は、9月よりも売れていますが、歳末商戦には寂しい数字です。去年の年末よりも売れていません。
ピックアップトラックというのは、バンとかSUVのことです。ピックアップトラックはアメリカでは排ガス基準が甘く、やはり、リーマン前からのアメリカ人の環境への意識の低さが如実に表れていますので、トランプさんが環境に無頓着でもそれほど支持が落ちないと計算をしているのでしょう。
まとめ
いままで、消費が絶好調ということを言っていましたが、この消費に若干の陰りが観察できると思います。
景気循環というのは、消費がピークに達したときに、そのとき企業が商品を増産したり、新商品を発売したりする設備投資が一番、重要なことになるのですが、その循環が消費がピークに達したときに新規受注が減り、価格も低下、受注残も低下では、企業は設備投資をしたくてできないわけです。
歳末商戦は出だしが好調、そのものでしたが、2週目は、大したことがない。平年よりは高い水準なのですが、もう少し盛り上がるのかな、と思っていました。今後、アメリカではいろいろな歳末商戦イベントがありますが、その売り上げ推移をみていきたいと思います。
（この記事を書いた人：角野 實）
