ロンドン金属取引所に上場している「銅価格」が下落をしています。
上記のグラフはロンドン銅価格になりますが、先週の週末に急落をしているのがわかります。
今月の中旬にも、この価格は高値から急落をしていますのでかなり話題にはなったのですが、そのときの注目材料は中国の経済減速になります。
今回の急落の原因もわかりませんが、前の陽線3本と陰線2本で包んでしまい、強烈な売り線とまではいいませんが、テクニカル上の地合いは相当悪いということができると思います。
なぜ、商品相場の銅が重要かといえば、たとえば、私はよくFXのサイトなのに原油価格を話題にしますが、この銅も同様に「経済状況を大きく左右するもの」だからです。
原油の価格、それは、電気料金に直結をし、原油価格が上昇するということは、物価の上昇に大きく寄与をします。銅の場合は別名「産業のコメ」と言われ、この銅の需要が伸びると、経済が成長をしている証拠とされ、逆の場合は停滞をしているといわれています。
だいたい、3ドルを超えていると景気は良好であるというのが目安になります。しかし、ドルの価格が上下動を行っていますので、3ドルという基準はあくまでも目安ということを覚えておいてください。
銅の場合、10月から高騰をしており、それはちょうど株価に歩調を合わせるようかな形になります。つまり銅の価格というのは、先行して、上昇、下降することもあり、マーケット目安、つまり景気先行指数としても注目されています。
今回のこの銅相場が、下落を開始したということは、世界的な好景気循環の後退期に入った可能性があります。そしてよくチャートの形をみればおわかりになると思いますが、典型的な英語でいう、ヘッド&ショルダーの形であり、日本風に言えば、三尊天井、三山になります。
このことからわかること
今回の急落の意味はよくわかりませんが、週末は感謝祭で休場であったことも影響をしているかもしれませんが、おそらく火元は中国であろうということは容易に想像がつきます。
なぜなら、中国は別名、世界の工場といわれ、通電性に優れる銅のおもな需要地は中国だからになります。つまり、中国の需要減をはやして、このような急落を起こしているのだと思います。
そして、アメリカやヨーロッパでは感謝祭、そしてアメリカではクリスマス商戦がスタートし、本日発表されたEコマースの売り上げは16.8パーセント増とまたもや、週末の18パーセント増に次ぐよい数字になります。新築住宅販売も好調というなか、アメリカの景気の良さがフォーカスされると影に中国の悪化が伝えられるというスパイラル現象となっています。
何れにせよ、アメリカの景気は冬を控え、設備投資が減退していますので、好景気循環の中の後退期に入っているだろうな、と思います。
本日のドル円相場
きのうは、このビックフライデーの売り上げや現地の様子をみて、かなりの売り上げが期待できることから戻ると記しましたが、日経平均の弱さばかりが目立ってしまい、そのヘッジの増加から、余計に円高傾向になってしまいました。
通常の相場では、アメリカの小売が上昇する見込みがあり、本当に景気がよかったら日経平均も大きく戻るはずなのですが、戻らなかったということは、やはり日本経済は、日本人も外国人も全く信用をしていないということの証左だと思います。
もちろん、安心しきって政府系の買いが入らなかったのも要因ですし、きのうは月末の4営業日前ということも影響していることでしょう。
どちらにしろ、テクニカル上はこの辺で円高は修正される場面であり、いいところであろうとは判断をしています。戻るようで戻らないで、いきなり戻り始めるパターンか月末をやり過ごしてから、戻るのかはわかりません。
ただ、金融機関の連中の実際のディールは11月までで、12月以降はクリスマス休暇になります。つまり、これから年末の閑散相場になっていくと思います。債券相場が、量的緩和の停止、縮小開始ということも忘れないでいただきたいということです。ディーラーがお休みでもFRBの資産縮小が続くということです。
(この記事を書いた人:角野 實)