アメリカは感謝祭明けのシーズンからブラックフライデーといい、クリスマス商戦のスタートになります。
このブラックフライデーは日本ではイオンなどがやっていますが、アメリカのクリスマス商戦は年内いっぱい行っており、このブラックフライデーというのは、主に耐久消費財のバーゲンセールとお考えいただくといいと思います。
詳細な内容
「耐久消費財」というのは、いままで何気に書いてまいりましたが、一言でいえば、毎日、買わないものと考えればよいでしょう。
その代表例は食料品であり、食べ物は毎日買うというのが原則だとは個人的には思っています。なぜなら、野菜や肉などは新鮮なほどおいしいのであって、都会の人にはわからない感覚になると思います。
野菜などは市場を通しますので、店頭に並ぶときには収穫から少なくても3日以上経過したものであって、とれたての野菜とは全く味が違います。その違いを知っている人というのは都会に暮らす人はほとんど知らないことでしょう。
私も那須に越してくるまで、不味い野菜を食べ続けたものです。耐久消費財とは家具や家電などのことを指し、値段の嵩張るもの、このような耐久消費財が、アメリカでは、ブラックフライデー前後で値引き率も最大となり、大量に売られるということから、注目をされているのです。
はっきりいえば、このブラックフライデー前後で一番、耐久消費財が売れるのはずっと変わっておらず、小売業者はこの時期に売り切ろうと必死ですし、消費者はこの時期を逃すと安いものが買えないということになります。
今までの説明
景況感指数、たとえばISM指数、ミシガン消費者信頼感指数など、は今までの調査によると、このブラックフライデー前の調査は新規受注減、在庫増、受注残減少と、このブラックフライデー前に大きく売れるということを予想している数字ではありませんでした。
そのうえ、従業員の給料はアップ、雇用状況も改善というような状況では、企業は収益が見込めないのにコストはかかるということを意味しており、企業業績の改善というのは、この冬がピークでないか、というような様相だったので、新規受注が減ったということは、去年ほど売れないのではないか、ということを意味しているのではないか?と予想をしています。
詳細な統計
前週末のEコマースでのブラックフライデーの売り上げは前週比18パーセント増という驚異的な売り上げを記録して、予想以上の売れ行きになります。
これはミシガンの消費者信頼感指数では解説をしませんでしたが、現状の景況感に関して消費者はピークの数字をたたきだしており、一方で、今後5年の景況見通しに関しては、悪化をするというような見方が大勢を示しています。
つまり販売店、製造業者は小売の売り上げに関しては、弱気の見通しで生産量を減らしたのですが、消費者の側は、今年は買い物をするぞ、と意気込んでいるということからこのような現象を引き起こしたのです。
アメリカで一番権威のある小売売上はレッドブックといい、以下、その10年の小売り上げの年間変化率になります。
前週は、ブラックフライデー前の指数になり、その数字は前年同月比で4.1パーセント増になったのです。比較的高い数字になりますが、2014年には及ばない数字であって、今後、この数字がどうなってくるのかに要注目になります。つまり売れている、売れていると報道は叫びますが、2014年と比べると売れていないのは現状の数字では表現できると思います。
しかし、今後の数字如何によっては「リーマンショック」以降最高の数字になる可能性はあると思います。しかし、このグラフをみると、2015年、2016年というのはアメリカの景気が低迷をしていたのはわかります。
具体的な解説
先ず、小売売上というのは経済指標の中では「遅行指数」になるということが一番の注目です。
つまり、企業が儲かったのを確認して、その結果、従業員の給料が上昇し、その結果、小売売上が上昇するので、景気の良さを確認する指数のなかでは、感応度が非常に遅いことから遅行指数に判別されるのです。
通常、景気がよい状態では、この小売が良い状況では、先行指数は上昇してくるのですが、上昇しているのは住宅販売だけであって、そのほかの設備投資や在庫投資などの伸びが鈍化をしているということになります。
つまりアメリカ企業は今後、売れ行きがよくないと判断をしているから設備投資や在庫投資に慎重なわけです。ただ、このブラックフライデーから始まるクリスマス商戦の売れ行きによっては、設備投資が増えていく可能性もあります。
ただ、今後の米国の日程をみると「FRB」の利上げ、そして、税制改革法案の執行など、金利が上昇しやすい局面にきています。
ローンで、自動車などの購入をした消費者の可処分所得が減るという結果にもなりやすく、また冬場の経済停滞の時期にこれから差し掛かることを考えれば企業の設備投資の減少というのは、毎年のパターンであり、決して楽観できないということになります。
今後の見通し
ともかく、先週のeコマースの売り上げなどをみるとバカにできない状況であり、アメリカ経済が好調のことを背景にアメリカ株の上昇、引いてはリスクマネーの増大によって、日本の株価も上昇することになるでしょう。
日本株においては今まで、株買いのヘッジに円高ポジションをもつファンドが主流でしたが小売売上の増大はアメリカの「GDP」を確実に押し上げますので、日本の株価にも波及効果があることから過剰なドル円ヘッジポジション解消の可能性もあります。
ただ、今後の日程を考えるとやはり、円高見通しは変わりがありません。何せよ、アメリカの成長率が3.0から3.3程度になる見通しで、円安になると私が言うわけがない、というのは読者の皆さんが一番おわかりのことでしょう。
(この記事を書いた人:角野 實)