ここのところ、選挙の影響か、どうもしっくりしない相場観になっているのは、私はもちろん、読者のみなさんも感じられていると思います。夏から9月くらいにかけて「ECB」が「金融緩和」なんて緩めるわけがない、とずっと言い続けましたが、このところはその不安もよぎっていました。
各種の指標をみると、かなり良い数字で特にユーロ圏の先行指標PMIなどはなんでこんなによくなるのか、さっぱり理解ができませんでした。
ドイツの「IFO指数」などは下押ししているのは当然なのですが、先行指標が景況感指数とはいえ、これほど好調だと少しその確信が揺らいでいたのも事実になります。
ECB理事会後のユーロ
これで、ドル安とか騒いでいる専門家連中はアホであった、ということが証明されたと考えています。やはり、従前からいうようにGDP成長率が「アメリカ3.1>ユーロ2.1」のようにドル高が確認をされました。
すなわち、今年に冬は暖冬になる可能性が高いと思いますので、9-12月のみならず、来年の1-3月期も「アメリカ>ユーロ」になります。もちろん、3月くらいに確定をする、通年GDPも「アメリカ>ユーロ」になることは、よほどのことがない限り確定をしたと思います。
アメリカ、中国の冬場は国土が広いため、雪で、その経済活動が停滞をします。ユーロの貿易相手国はアメリカ、中国、イギリスなどになりますが、中国はユーロとの貿易量が多いので、ユーロ安であるのであれば人民元高になりますが、中国経済自体は共産党大会後に失速をするのは間違いのないことと考えています。
その証拠に「GDP」は6.9予想から6.8になっています。そもそも、ドル安で人民元高になっているのに、前年並みの6.9なんて貿易立国の中国がありえません。つまり人民元安になると考えます。
ここで今年の上半期、ドル安での損失を下期に出してくるのではないか、と考えています。そうなると、「IMF」のバスケット通貨に採用をされている、ドル、ユーロ、人民元、円、ポンドの強いグループは、ドル、円、ポンドで、一方で相対的に弱い経済連合はユーロ、人民元になると思います。
ただ、考えていただきたいのは、通貨安は経済を立て直しますので、来年の春には、おそらく、ユーロ、人民元高になることでしょう。
ドル円は?
明日は日本の「消費者物価指数」です。これだけ株価が上昇し、相対的に予想0.7という数字が出るとガックシというコンセンサスになると思います。0.7は先月の数字であって、今月のものではない、ということに注意をしてください。
どちらにしろ、消費者物価が1パーセントも高くなるとは考えていませんので、大したことがないと考えています。アメリカの「GDP」については前から触れている通りになります。
ユーロの据え置き決定によって、ユーロのリスクマネーが回収されることがないと判断をして、アメリカ株価上昇は定石になります。日本の株は、どうなるか、といえば、中国の7-9月は減速で、アメリカも3.1から2.5-2.7予想ですので減速です。
日本の主要貿易相手国が減速をしているのに、日本の株価が上昇というのは完全にバブルになると思います。目先はユーロのリスクマネーが再び参入してくると思いますが、主要貿易相手国が減速しているのですから長い目で下がると考えてよいと思います。
また、現在の動きですが、「ECB」の決定事項をみて、ユーロドルは暴落になりますが、ドル円はユーロドルが暴落ということはドル高、ドル高ということになりますが、人民元が安くなると考えられますので、結局、円高ということになると思います。現在の基準値は113.2円くらいになります。
ですから最大で114.3程度は見込めるかもしれません。ただし、0.5パーセントは113.8くらいで現在値です。今のチャートの形では売る気にはなりませんが、時間がもう少したてば、チャートの形が整うかもしれません。ただ、ECBなどはアピタイザーであって、メインディッシュは明日のアメリカGDPになります。
(この記事を書いた人:角野 實)