明日は「FOMC」を控えて、各社、さまざまな予想をしています。結果がどのようになるのか、というのは資産縮小を10月に開始をするのは織り込み済み、あとは物価見通しをどのようにするのか、ということが焦点です。
個人的な結論としては、きのう発表された輸入物価指数にしても、堅調な伸びをしめしており「イエレン議長」が物価見通しに関して強気な発言を行うのは変わらないと思います。
しかし、先月から今月にかけてのハリーケーン被害、そして、ドル安からドル高に転換したことによって、やはり新興、資源国の状態が悪くなっていることを評価するとよくわからない、というのが素直な感想です。しかし、年末の利上げに関しては予定通りやると思います。
全世界的に債務が急上昇中
きのうのWSJで、オーストラリアの不動産向け融資の不良債権化率が30パーセントを超えているという報道。この衝撃というのは理解できない人がほとんどになります。
まず、先進国の不動産向け融資での不良債権の割合というのは通常、1-3パーセントになります。いかにこの30パーセント超という数字が酷いかを物語っています。
今後、起こることは、先ず、不動産価格の下落がおきます。オーストラリア自体は好調だと思いますが、不動産価格の急落によって、話が相当飛びますが、賃金の低下につながります。ローンを抱える人たちはその支払に困窮します。
差し押さえが急増し、さらに不動産価格が急落します。これはどこかの国で起きた現象ですね。そうです、「リーマンショック」直後のアメリカや日本のバブル崩壊後になるのです。つまりオージーバブル崩壊ということになります。
「BRICS」だ、なんだ、かんだと騒いで新興国投資が「リーマンショック」前まで行われ、壊滅的な被害にあい、また、ドル安を利用して最近まで再び新興国ブームだと騒いだ連中はいったい何を考えているのだ、ということになるのです。
今の流れは、1990年代から「リーマンショック」までに先進国から新興国にお金が流れた時代の逆流になっているのです。この流れはオバマ政権後半からトランプ政権に移行してから続いています。
とどめを指すのはトランプ政権のレパトリ減税になるでしょう。おそらくアメリカの法人税減税は実施されますが、その減税分の減収はレパトリからの増収から賄う予定になります。
ものすごい勢いで新興国から、アメリカに資金が回帰、これをレパトリといいますが、します。これは、東南アジア通貨危機の流れと一緒のことです。
アメリカ経済には心配はいりませんが、世界景気がおかしくなるよ、と言っているのはこういうことになります。それで、株を買うというのは、私からみれば頭がおかしいのではないか、ということです。
日本の選挙
日本人のアナリストはこの全国区の選挙での「アノマリー」が大好きなので、さっそくみなさん、各々のご説を披露するのに余念がないのですが、海外の経済状況をもろにうける円相場や原油相場が下がれば、今の日本の物価上昇なんてかんたんに吹きとびます。
そうなると、再び「デフレ」になって、円高、株価低迷になることは火を見るより明らかでしょう。そこで政府、日銀はまた、海外の経済情勢の所為であって、私たちの政策の責任ではない、なんてお決まりのことを言いだすのも大事な「アノマリー」ですので忘れてはいけません。
そもそも現代の政策決定において、国際情勢を勘案して政策決定をするのが常識です。ただ、安倍さんは、最後に選挙ができるときに上手く決断したと思います。
政治的にも、経済的にも自民党総裁任期までに、これを逃すと選挙のタイミングはありません。自民圧勝であれば安倍さんは自民総裁再選を果たすことでしょう。
目先の動き
外国人投資家は日本の物価がそろそろ下がり始めるのを見越して、日経を大幅に売り越していました。その数は過去最高です。しかし、解散総選挙の報道を受けて、日経平均をあわてて買い戻しをしています。
だいたい、買戻しをするのはこういう場合は日経の大引けにかけてが一般的なルールになりますので日経のクローズ間際に一斉に踏みますので、きのうは日経が跳ねた結果、ドル円もその影響を受けたということになります。
これが、踏み足りない場合には、前引けやシカゴの引け、大証夜間引けにも踏んでくるので日経のクローズ間際の時間は要注意になります。
ドル円はきのう、よこよこか下という選択肢しかないと書きましたが、やはり当初の見込み通り「FOMC」明けに円高に行きそうです。本日は新月、満月殺法でしょうかね、笑。
(この記事を書いた人:角野 實)