今回の北朝鮮ミサイル発射からの円高、そして急速な切り返し、というのは結局、何から起こっているのか?ということを今回は考えていきたいと思います。
ドル安相場は続く?!
今回のこのドル安というのは「2つの要因」から成り立っていると考えることができます。
先ず、第一番目には昨年のトランプ大統領の選挙戦勝利から発生したトランプラリーでマーケットが株やドルを買いすぎた反動になります。二番目には、アメリカの1-3月期の景気が大きく後退をしたこと。
要するにトランプ大統領が誕生してから、景気の実態以上にドルや株が買われたところに、「アノマリー」による景気後退が起こったというのが今回の訳のわからない相場の根幹と考えています。
そこでトランプ、イエレンが歩調を合わせてドル安政策を行ったことになります。この対象は、通貨安の恩恵を受けていたユーロになり、実際、ユーロ、とくにフランス、ドイツなどの自動車産業は隆盛ですが、アメリカは去年、車が売れすぎたことによって青色吐息なわけです。
そこで、トランプは選挙戦中から終わったあとも自動車産業を保護するような発言をしていたのです。ここで勘違いをしてはいけないことは、トランプは自動車会社を保護するのではなく労働者を保護しようとしているのです。
つまり、自動車会社の業績不振からのレイオフを嫌っているのであって、自動車会社にはあまり関心がないということです。自動車産業というのは、すそ野が広い産業で日本でも、自動車業界の生産高というのは「GDP」の2パーセント程度を占めるというのが実態です。
ですから日本に対しても無知蒙昧なことを言っていましたが、それはアメリカの労働者の権利を守るためです。年配の方は日米自動車摩擦を思い出すとは思いますが、それと同じ構造なのです。でもそのメインターゲットはドイツ、および、中国なのです。
ですから、ドル安政策を続けた場合は、ユーロや人民元が高くなるのが現実路線になります。だから、ユーロや人民元が買いになるのです。
有事のドル買い
年配の方はやはり、義務教育では「有事のドル買い」ということを学習していると思いますが、今回の北朝鮮のミサイル発射によって円買いばかりが注目がいっていますが、実はドル高であり、金高、ビットコイン高を示現しただけの話です。
その中で円の上昇が際立っているだけの話で実際問題、ドルも高いのです。その証拠にユーロドルは下落をしています。つまりミサイル発射直後は、円高、ドル高、ユーロ安になったのです。
そしてきのうの動きは、アメリカの指標によって、ADPや「GDP」によってドル高が継続し、円は反転しただけの話になります。そしてユーロ安が継続しただけの話です。
きのう「原油は戻る」と書きましたが、よくよく考えるとドル高ですので、戻るわけがありません。つまり、ドル安、円安、ユーロ高が基本の流れの相場で、きのうは、ドル高、円安、ユーロ安だったのが、現在も継続していることになります。
つまりミサイル発射の影響を受けて、本来ならドル安の流れに何も影響はないのですから、回帰をしなければならないのですが、未だにドル高になっているのはいつかドル安に転換をするわけです。
何度もいうように、北朝鮮ミサイル発射によって実態経済には何の影響はありません。つまり、本来の一番上の”基本の流れ”にいつかは戻るわけです。
この流れを分析していくと、月の動きとFXの動きは同調していることに気づきます。詳しい話は企業秘密になるのですが、明日の雇用統計で基本の流れに回帰するのではないのか、と思います。
自分で言うのもなんですが・・・これだけロジカルに為替の動きを解説しているサイト他にありますか?きちんとこのことをマスターすれば、それほど大きくFXに悩むようなことはないと思います。
つまり、雇用統計前後にユーロドル相場の押し目形成が完了するかどうかを見極めるというだけの話なのです。ユーロ安ドル高がユーロ高ドル安に転換することが、ユーロドルが押し目を完了するのと一緒のことです。
そのときにまた、ドル安円安ユーロ高に回帰をするのですが、圧倒的な円安は消えるのではないか、と思います。そのときにドル円が調整をすると考えれば非常にかんたんな話です。
普通にFXをやっていれば単なる経験値でそう思う方も多いと思いますが、そこに月の動きと同調をしているよ、というロジカルな部分があれば、その建て玉には自信が持てることでしょう。
たぶん今回の話はほとんどの方が理解できないことを承知しています。でも、理解すれば、三極圏通貨の動きに関しては悩みがなくなると思います。変なトルコとかに手を出すなんてこともなくなるでしょう。確実に動きがわかる通貨ペアをやったほうがいいですものね。
(この記事を書いた人:角野 實)