よく、「アメリカ>日本」というように等号、不等号によって為替相場の観察を私はしますが、今回はその解説を現状の相場で解説をしていきたいと思います。
去年の経済格差
去年までは、「アメリカ>ユーロ>中国>日本」という経済格差の序列になります。これは、「IMF」統計の「GDP」総額の順序になります。一番、肝心なことは、この統計はドル建てであるということを忘れてはなりません。
すなわち、円安になればなるほど、日本の世界での地位は低下をしていくのに、日本人は円安を喜ぶというアホな集団であるということです。
いい加減、国力が衰退していって喜ぶというアホなことを考えるのは止めたほうがいいと思うのですが、未だに円安、円安と叫ぶのをいい加減によしたほうがいいということになります。
自分の地位が低下して喜ぶというアホ、と思わないのでしょうか?目先はいいでしょうが、将来、通貨安でおそらく相当、悔しい思いをするはずです。そして、最近の現状はユーロ高、相対的にドル安になります。
となると、去年の「GDP」総額統計はユーロ高がドルに対して10パーセント程度上昇をしていますので、現状でユーロが世界一位の経済圏になるということを忘れてはなりません。
金利はつかないのですが、現在の世界最強の通貨は「GDP」総額ナンバー1であるユーロになるのです。つまりユーロに資金が集中するということになります。
この背景にあるのはやはり、南欧債務危機によってドイツの借金が膨らみ過ぎたことを国際協調によってその債務をユーロ安に誘導することによって、債務の圧縮を図ったのでしょう。
今回のサミットはそれも協議をされているはずです。ドイツのメルケルが最近、いつも愚痴っぽいのですが、富に愚痴っぽくなっているのはそのためです。
ドイツとしてはユーロ安の恩恵で国内の景気が回復し、それを続けたかったが、それをトランプが認めなかっただけのサミットです。つまり、世界の雄のアメリカとユーロの雄のドイツがガチンコに喧嘩をしている状態なのです。現状は「ユーロ>アメリカ>中国>日本」という勢力図になっているのです。
ユーロ買いは上記の図を見ると明らか
私がポンドを買ったほうがいいですよ、という理由は、ユーロが現在、左端にありますが、ポンドはユーロよりも経済成長率がいいからポンドのほうが有利になるのです。
もちろん、「GDP」総額はユーロの方が多いのですが、為替レートというのは、その通貨ペアの経済格差が1:1になるように決定していくのが基本になりますので、根本は経済成長率になるのです。
よく、「アメリカ>日本」というように等号、不等号によって為替相場の観察を私はしますが、今回はその解説を現状の相場で解説をしていきたいと思います。
通貨ペアを決定する際には、等号、不等号の左端と右端のペアを選ぶと良いという話をしましたが、現在では、表をみるとユーロ円、私が推奨をするのを勘案すればポンド円になるのです。こういう風にロジカルに投資する通貨ペアを決定するべきです。
ドル円の場合
現在は、将来の見通しでドル円相場は動いています。日本の景気は政府、日銀が言うように、景気は拡大期に入っているというのがコンセンサスになります。
ところが、アメリカは設備投資などの景気先行指標が低下をしており、今の景気拡大期が減速に向かっているのではないか、という見通しがあるのです。
その結果、マーケットは「アメリカ>日本」ではなく、「アメリカ<日本」になる可能性を見通しているのです。つまり、年末のアメリカの成長率と日本の年末の成長率を見た場合、それが「日本>アメリカ」になる可能性があるから円安傾向になっているだけの話です。
しかし、これだけユーロが安くなってくればアメリカのトランプ一押しの輸出産業が息を吹き返し、おそらく今の日本の評論家は、アメリカの今年の成長率3パーセントなんてあり得ないなんて言っていますが、ドル安になれば、楽々、この3パーセント成長を達成することがまるで理解できません。
トランプの予算案はアメリカの成長率が3パーセント前後になることを見通して、予算を作成しています。つまり、トランプ嫌いのみなさんには残念な話になりますが、トランプが議会での弾劾なんてあり得ない、というのが現状で、トランプ政権が倒れるとしたらロシアゲートです。
そして、先ず、これだけドル安になれば、アメリカ経済は6月の先行指標からだんだんと改善をしていき、夏ごろまでには「アメリカ>日本」となり、円高傾向が鮮明になります。
現状は、「日本>アメリカ」ですので円安に行き易いのですが、7月の中旬には「アメリカ>日本」になると思います。その証拠に1-3月期アメリカ「GDP」が予想の1.2から1.4に確定したとたん、1円くらいの円高になりましたよね。
株価は、日本経済は好調ですが、アメリカと比較した場合は、円高になる可能性が非常に高いので、海外投資家は売り越しに転じているのです。
それほど下がらないと思いますが、いつもは秋に、サミットの合意内容が履行されますので秋買いになるのですが、今年はなにも決まっていないので、政策要因の補助がない分、上昇なんてほとんどしません。
今年はいつも通りの秋買いなんて思うと、痛い目にあうと思います。蛇足になりますがアメリカに強い指標が出れば円高、悪い指標がでれば円安と私のコラムを読んでいる方はすでにご存じでしょう。
アメリカに強い指標が出ると、能動的にドルを買う日本人投資家は海外からみればいいカモです。だから、ソニー、モーサテに出ている尾河真樹というド素人はアメリカ経済が強いから円安、なんて言うからド素人なのです。彼女は何もわかっていません。素人ぶりが際立ちます。
(この記事を書いた人:角野 實)