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以前から、米国ナスダック市場が頭を打った可能性は高い、という指摘をしてきましたが、今回は「ドイツ株、ＤＡＸが頭を打った」という宣言になります。
そのほか、新興国市場では、オーストラリア株、ブラジル株はすでに頭を打ったという話をしております。今回は、その株価からわかる為替の話をしていきたいと思います。
何度も繰り返すが、サミットの裏合意はドル安
今月、行われたサミットの裏合意は「ドル安」になります。誰も国内では、こういうことを言う人がいないと思います。詳細は他のコラムをお読みください。とにかく、ドル安になれば、起こるのはユーロドルの急騰になります。実際に、今、ユーロドルが急騰をしているのは周知の事実になります。
つまり、南欧債務危機からの離脱を連想されますので、ＥＵ域内から無金利を嫌気して世界各地に投資されたマネーがＥＵに帰ってきている、レパトリ現象が起こっていますので、オセアニアを中心に資金流出が起こるのは当然の話です。
これは日本、アメリカ、中国、そのほかの新興国に投資されたユーロマネーが本国に回帰することになっています。つまり、日本の株式市場で海外登記マネーが日経を売り越しにしているということと連想させてもいいことです。
一方、ユーロで起こることは、ユーロ高によって起こる、輸出不振。特に、ドイツはＥＵ圏内でも輸出比率が高く、ユーロ高の影響をもろに受けます。つまり今後、ドイツの不振からユーロの景気拡大に釘が刺される形です。
その一方でドル安の恩恵を被る、アメリカは輸出がトランプの言う通り、不振でしたが、ドル安を契機に輸出が復活します。つまり、景気が軟調の中、何度も言う通り、特に先行指標が不振なわけですから、景気の先行きに不安があるのです。
ところが製造業を中心に、輸出拡大が起こるとこの先行指標がまた拡大をしていくわけです。つまり、この製造業が復活することによって、またアメリカは年末に向けて景気拡大になるのです。
このことも何度もお話をしますが、アメリカは好景気循環の停滞期には必ず、ドル安誘導を行い、前回は2014年に行っているのです。今回も同じパターンになります。
「イエレン議長」が金利を上げ続ける理由は、この自身が就任直後に行ったドル安誘導によって景気が回復をすると確信をしているから、金利を上げ続けるのです。つまり、アメリカ経済は盤石という方向性に現時点では、なるということになります。
ユーロ急騰なら？
「ユーロ急騰なら、当然、ドル安なのだから円高になる」ということになります。
ただ、これは、いつものパターンで、この円安になっている最中、いつものように、もしかしたら円安トレンドが継続するのではないか、とびくびくとするものですが、ロジカルにモノを考えると、タイムラグがあるだけで、いつものように目いっぱい円安に言ったあと急落するのであろうと思います。
そのメカニズムを説明すると、世界の三大経済圏というのは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアになるのです。それぞれの通貨は、ドル、ユーロ、アジアだけは人民元と円になるのです。
通貨というのは相対的になるので、ドルが安ければ、ユーロが上昇するのは当然の話になりますが、これを三極の経済圏で対比をすると、どうしてもタイムラグが発生をするのです。
それが今回の円安傾向になります。ただし、ユーロも2つの通貨があるとすると、ユーロとポンドになりますが、ドルと取引の多い、ユーロが上昇し、ユーロと対比して取引量の少ない、ポンドはユーロと比べれば上昇は緩慢になります。
しかし、経済はアメリカと同様、イギリスは政権が不安定ですが、経済は絶好調、誰に聞いても、イギリスとユーロ、どちらに投資をする？と言われれば、イギリスと答えると思います。初期段階ではユーロに注目が集まると思いますが、長い期間上昇するのはポンドになると思います。
しかも、今回のユーロ上昇は、サミットなどの政策的なもので、実態を伴いません。現実にドイツ株がユーロ上昇とともに、頭を打ったような形になってしまいます。日本円も同じことで世界2位、3位のアジア経済圏で注目が集まるのはやはり中国になります。
しかし、中国は実質の為替管理をしていますし、中国に投資をすれば、お金が外貨流出規制を行っていますので、お金が返されない可能性のある中国などに誰も投資などしたくない。したがって、現在は元高になりますが、将来は元安になって、円高になるというのが結末になると思います。
こう書くと、今の外為市場の流れはかんたんにわかりますよね。7月に入れば、まだ円安傾向は続く可能性がありますが、急落に備えるべきです。だいたいあと、2週間はかかると思います。
（この記事を書いた人：角野 實）
