「ドラギECB総裁」が将来の利上げをにおわせる発言によってユーロが急騰しています。
ここでは、ユーロドルを買うよりもポンドドルを買ったほうが賢明である、と何度も説明をしています。今回は、この発言の真意について考えていきたいと思います。
今年のサミットの裏合意はドル安
何回もここでは触れていますが、今年のサミットの裏合意は「ドル安」であると記してきています。これは、トランプのわがままによって、自由貿易を堅持するためにはドルを安くしろ、という要求が他なりません。
ただ、私もトランプのわがままと記しましたが、以前にも書きましたが彼の主張は理に叶っていると思います。なぜなら、「リーマンショック」以降、世界にドル安をお願いし、「イエレン議長」就任後はドル高をその反動で認めました。
そのドル安政策からドル高政策への移行は4年ごとに起こっています。つまり、今年、2017年は再び、ドルを切り下げる年であることになります。
ですから、アメリカ経済がドル高によって不利益を被ったことは明らかなんだ、という彼の主張は決してまちがってはいないと思いますが、何かまちがっていると感じると思います。
そして、6月のサミット移行、各国の通貨当局はドル安を誘導するような発言や政策を取るであろう、と、以前に私は触れました。これが、今回のドラギ発言の利上げの可能性を示唆につながるのです。
もちろん、急激なユーロ高は困る、というのもありますが、ある程度、インパクトのある発言をしなければマーケットに伝わらない、というジレンマがユーロ高のほうに言ってしまったということになります。
ユーロ高ということは?
ユーロ高というのはその世界の通貨取引の44パーセントを占める、ドル安を意味します。ドル安ということは新興国通貨高を意味していますが、ここで、注目をしなければいけないのはここ最近のヨーロッパ諸国とオセアニア通貨ペアの活発な商いになります。
変動率上位にユーロ、ポンドとオセアニアの通貨ペアはここのところ毎日、登場します。これは何を意味するかといえば、「リーマンショック」の代表的な事例というのは、やはりポンドオージーなどの通貨の大幅下落になると思います。
これはヨーロッパに滞留している資金のほとんどがオセアニア経済に流れたことを意味し、そのオセアニアに流れた資金が今、ヨーロッパに還流、レパトリしているということです。
つまり、オセアニアを筆頭とする新興国諸国は、資金流出による経済停滞が予想されます。つまり、今、新興国通貨全般が買われていますが、経済の実態は資金流出によって悪化が予想されますので、停滞をするということになります。
日本円について
前記のように、新興国というのには、中国も含まれます。人民元はドル安なので、人民元高に当然になり、人民元高になれば、今の流れのように円安になります。
しかし、中国はいくら外貨流出の防止を図っているとはいえ、資金の流出は免れない状態で何れ、ほかの新興国同様、経済悪化から人民元安になることは明白です。
元安になれば、ドル安の流れは変わる見込みがありませんから勝手に円高になります。そもそもドル安なのに、日本円が円安になるというのは非常に合理性を欠いたロジックになり今の円安は蜃気楼になると思います。
以前に振れたように、日経は2015年の高値からぴったり3パーセント止まったところで上昇が終わっています。その上、もうすぐ、中国が北朝鮮制裁をする期限の100日になります。
個人的にはなんだかんだ、といって中国は引き延ばすでしょうが、支持率で追い込まれたトランプが待てる余裕があるかといえば、はなはだ疑問符です。
トランプのツイッターや発言をチェックしていると明らかに以前のトランプとは違うトランプの中国の対応になっていることに気づくと思います。円の見通しは円高傾向で変わらない、というのが私の個人的な意見になります。
(この記事を書いた人:角野 實)