アメリカ経済が本当に好調というよりも、バブルになっているような感じもします。
明日の未明に発表される「FOMC」の結果は待たずに、世間ではもう利上げは織り込み済みという論調が規定路線になっています。
財政拡大
今は、トランプ次期大統領が財政拡大、約60兆円ということを囃したてて株価も金利も上昇をしています。
その付属としてドルが上昇している現実です。ドル高ということは、輸出不振につながり、またシェールガスの海外向け価格の上昇ということになり、アメリカの国益には反しますが一方で金利上昇は、アメリカへの直接投資を増やし、国債の消化が早くなるというメリットもあります。
それに付随をして、金利上昇ということは住宅ローンの返済額の増大、そしてドル建てで借金をしている新興国は窮地に立たされますので世界経済にはマイナスになるのです。株価の上昇は、もうすでに、高すぎる水準まで押し上げており、バブルを形成しつつあります。
アメリカ経済は今後もずっと好調を維持するであろうが、現状はやりすぎ感がぬぐえず、たった1カ月強でこれだけの上昇はやりすぎであるという考え方は根底にあります。
つまり財政拡大によって、財政赤字が再び、拡大するという懸念から金利を上昇しているという根本を忘れてはいけません。しかし、トランプ氏が実際に大統領に就任してから実際にこれらの政策をやり遂げるのかといえば、個人的には疑問をもっているだけです。
そもそも暴言王と言われたトランプ氏ですが、その選挙戦、予備選は2位狙いが間違って共和党候補になり、その選挙戦略の緻密さから新大統領に選出された側面もありますので単純に財政赤字を増やすような真似はするのか、どうかは甚だ疑問でしょうが、おそらくハネムーン期間はこれらの政策の半分は実行すると思います。
この短期間に上昇した、咎めは必ずどこかで出るものであって油断はできないと思います。
ECBの緩和の縮小
先週の「ECB」は量的緩和の縮小を来年の4月から行うことを決定しました。これで、「リーマンショック」以降、日米欧の金融政策の協調はまだ生きているということは半分証明されたと思います。つまり、アメリカはほぼ間違いなく金融政策の変更を行うということになります。
しかし、ユーロ圏では再び、イタリーの銀行資本の毀損が鮮明になり、増資が行われる予定ですが、その増資が不調になる可能性が高いということも出てきました。ユーロ各国の金利は上昇傾向にあり、国債金利が上昇すると、イタリーの銀行も約束の利率を上昇させざるを得ません。
そうなると公募増資をしても、予定の資金調達ができない事態になればまたユーロ危機になります。ただ、金利上昇がユーロ経済圏に活気をもたらしていることは、確かであろうと思います。
日本の場合
日本の日銀による金融政策決定会合は来週19-20日に行われます。おそらく、ユーロはすでに政策変更を決定しており、そしてアメリカもほぼ行う予定になると日本も多少の、国際合意を背景に行わなければいけません。
その場合、ユーロをみならい、緩和の縮小になると思います。なぜなら、これだけ円安になれば、物価は間違いなく上昇しますので、消費者物価も企業物価も今後、上昇することが明白になります。
その上、「OPEC」による減産になりますから、物価が上昇します。そうなると、今年の1月から小規模な緩和の拡大を続けてきた、言いかえれば、物価下落の部分を補う部分の緩和の縮小が予想されます。そしておそらく、物価が上昇できたことを確認した場合は、今月、ないしは来年1月にはマイナス金利を解除するのではないかと思います。
そうした場合、先進国経済は相当なバブル化が進み、株価もドルも相当な上昇になるのでしょう。それでおそらく日銀サプライズとして、また、日本銀行が叩かれるのでしょう。でも、考えてください。
「マイナス金利」や小規模な量的緩和は、物価がマイナスに転じたことから発生した政策であって、景気が悪いからではありません。1カ月で10パーセントも円安になれば当然、物価も上昇しますよね。ユーロの変更というのは、やはり物価下落です。
「デフレ」は回避される見込みで、金利は正常化を目指す。財政の拡大はまだ行われてもいないので、夏から言い続ける年内の利上げをいうだけなのでしょう。つまり、何が目的で「金融政策」の変更を行ったを考えれば、何が起こるかはかんたんにわかるものです。
(この記事を書いた人:角野 實)